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VWが驚異の空気を誇る「Mission Efficiency(ミッション エフィシェンシー)」発表。市販化前提なるも「見るからにエコ」なスタイルが受け入れられるか

フォルクスワーゲン「ミッション エフィシェンシー」のエクステリア〜リア上部
Volkswagen

| 抵抗値「Cd 0.158」を誇る市販前提EV。1,000km超の長距離走行で見せた驚異の省電力性能とは |

おそらくは相当に高額なクルマとなるはずである

電気自動車(EV)の航続距離とエネルギー効率を高めるうえで最も重要とされる要素の一つが「空気抵抗(エアロダイナミクス)」。

フォルクスワーゲン(VW)はこの空力性能の限界に挑戦し、世界最高レベルの効率を誇る市販前提のEVプロトタイプ「Mission Efficiency(ミッション エフィシェンシー)」を発表することに。

特筆すべきは、このクルマ単なるコンセプトカーにとどまらず市販車向けの「MEB+」プラットフォームや量産パーツを巧みに活用しながら世界記録を樹立した点で、かつての伝説的な超省燃費車「XL1」の遺伝子を受け継ぎつつも”現実的な日常使いまで考慮された”最新プロトタイプの全貌に迫ってみたいと思います。

フォルクスワーゲン「ミッション エフィシェンシー」のエクステリア〜フロント
Volkswagen

この記事の要約

  • フォルクスワーゲンが世界最高の空力性能「Cd値0.158」を達成した市販前提のEVプロトタイプ「Mission Efficiency」を発表
  • ID. PoloやID. Crossに導入される量産用「MEB+」プラットフォームをベースに開発され、実走テストで7.51 kWh/100 kmという圧倒的な低電費を記録
  • ソーラーパネル付きルーフや空力ホイール、超低圧延抵抗タイヤなど、航続距離を飛躍的に伸ばす先端技術を多数導入

Mission Efficiencyの概要

Mission Efficiencyは、VWの次世代前輪駆動(FF)向けプラットフォーム「MEB+」をベースに開発された2+2シーターの電動クーペ。

しかしながら「特別な実験車両専用パーツ」に頼るのではなく、今後の量産モデル(ID. PoloやID. Crossなど)に搭載される技術やパーツを可能な限り応用することで「一握りの限定車ではなく、誰もが享受できる高効率技術」を体現したことが大きなトピックです。※この点からも「市販化を強く意識している」「数字を稼ぐためだけの一発屋ではない」ことがわかる

フォルクスワーゲン「ミッション エフィシェンシー」のエクステリア〜フロントサイド
Volkswagen

そしてこの「有効性」を証明するため、フォルクスワーゲンは「1回の充電で」VW本社があるヴォルフスブルクからポーランド〜チェコを経由し、オーストリアのウィーンまで走破する1,278.36 kmの公道実走行テストを実施した結果、急速充電は途中でわずか1回のみにとどまり、ウィーン到着時にも164.0 km分の航続距離を残すという極めて優れた実用電費を実証した、ともコメントしています(つまり1回の充電で1,000km以上奏功している)。

特徴・スペック・デザイン

Mission Efficiencyの最大の特徴は、公道走行可能な車両として世界最高数値を誇るCd値「0.158」という驚異的な空力デザインで、水滴(ティアドロップ)型の流線形ボディをはじめ、フラッシュドアハンドル、アクティブ冷却エアフラップ、フルカバーされたアンダーボディおよびリアホイールハウジングにより、空気抵抗を極限まで低減するというスタイリングを有します。

フォルクスワーゲン「ミッション エフィシェンシー」のエクステリア〜サイド
Volkswagen

80 km/h以上の高速域ではベースとなったID. Poloに対して電費が30%以上向上し、さらには140 km/h走行時のエネルギー消費量が(ID.Poloの)標準モデルの100 km/h走行時と同等という圧倒的な空力効果を発揮するのだそう。

フォルクスワーゲン「ミッション エフィシェンシー」のエクステリア〜リア上部
Volkswagen

さらに、ルーフおよびリアウィンドウには370 Wのソーラーパネルが埋め込まれており、車載電装系へと給電することで1日あたり最大30 km分の航続距離をアシストすることとなるもよう(走行用としてではなく、電装系へと給電することで、本来電装系が使用する電力を駆動力に回すという考え方)。

フォルクスワーゲン「ミッション エフィシェンシー」のエクステリア〜ソーラーパネル
Volkswagen
項目スペック / 詳細
ボディサイズ(全長×全高)4,775 mm × 1,392 mm
空気抵抗係数(Cd値)0.158(前面投影面積 A = 2.08 m²)
駆動方式前輪駆動(FF / MEB+プラットフォーム)
モーター最高出力99 kW(135 PS)
バッテリー容量54.9 kWh(ネット容量)
実走電費(充電ロス除く)6.89 kWh / 100 km(約14.5 km/kWh)
実走電費(充電ロス含む)7.51 kWh / 100 km(約13.3 km/kWh)
ラゲッジ容量481 L
乗車定員2+2名(後席は身長約1.60mまで推奨)

ホイール・タイヤ周りにも細やかな空力チューニングが施されており、空気抵抗の25〜30%を占める足回りを最適化するため、特許取得済みのリムディフレクターをホイール内側に配置して空気の巻き込みを防止。

タイヤにはコンチネンタルと共同開発した超低転がり抵抗タイヤ(EcoContact 7ベース、転がり抵抗4.9 kg/t)を装着し、EUラベルクラスAの基準値をも25%下回る低抵抗を実現しています。

なお、リヤのホイールカバーはこんな感じで開くことができ、その奥には充電ケーブルなど小物を収納することが可能です。

フォルクスワーゲン「ミッション エフィシェンシー」のエクステリア〜リアの収納スペース
Volkswagen

競合比較・市場での位置付け

EV業界における効率化レースでは、これまでリチウムイオンバッテリーの増量や急速充電性能の向上が注目されがちで、しかしバッテリーの大型化は車両重量の増加とコスト高を招くという課題を内包します。

フォルクスワーゲン「ミッション エフィシェンシー」のインテリア〜ダッシュボード
Volkswagen

Mission Efficiencyが提示するアプローチは、「バッテリーサイズ(54.9 kWh)を控えめに抑えつつ、空力と軽量化によってロングレンジを実現する」という極めて合理的な手法であり、Cd値0.158という数値は、現在市場にあるハイエンドEVやラグジュアリー空力モデルをも凌駕する世界トップの記録であるとともに、今後の量産EV開発における新たなベンチマークとなることは間違いないものと思われます。

フォルクスワーゲン「ミッション エフィシェンシー」のインテリア〜ダッシュボード
Volkswagen

補足情報・新しい気付き

なお、内装においても徹底した軽量化とミニマリズムが貫かれていて、従来のスピーカーシステムを廃してポータブルBluetoothスピーカーを採用するほか、インフォテインメント画面の代わりにスマートフォンやタブレットを装着する「Bring your own device」コンセプトを導入することに。

また、ブレーキシステムにはフロントにMacPherson式と油圧ブレーキを組み合わせ、リアにはVW初となる「電磁メカニカルブレーキ」を導入していますが、これによってフリクションロスやブレーキ液の配管を削滅し、回生ブレーキの効率向上とコーナリング時の車両安定性を高めることに成功しています。

この車両は既にEUの公道走行認可を取得しており、安全基準やクラッシュテストにも適合している点も見逃せず、いつでも「市販OK」というわけですね。

フォルクスワーゲン「ミッション エフィシェンシー」のインテリア〜センターコンソール
Volkswagen

ただ、ちょっと気になるのは、いかに既存パーツを流用しているといえど、なんだかんだで専用パーツも少なくはなく、それなりの高額な車両になるであろうということ。

そして実際の使用環境にて「4人が乗車したり」「エアコンを積極的に使用したり」すると急激に電費が悪化するという懸念であり(もしかすると加速や最高速、エアコンの使用も制限されるのかもしれない)、つまり「実用的なのかどうか」ということ。

フォルクスワーゲン「ミッション エフィシェンシー」のインテリア〜リヤシート
Volkswagen

さらには「おそらくは(エコのために)何かを我慢して乗らなくては乗る必要があり、それはスタイリングであったり、快適性であったり、自動車本来の運動性能なのかもしれません。※周囲のドライバーから軽んじられる可能性も高い

要するに「それでも買う人がどれくらいいるのか」ということで、量産化に際しては技術面のほかにもクリアせねばならない課題が山積なのでは、と考えたりします。

結論

フォルクスワーゲン「ミッション エフィシェンシー」のインテリア〜シート
Volkswagen

フォルクスワーゲン「Mission Efficiency」は、EVの航続距離を伸ばす鍵が単に大きなバッテリーを搭載することだけではなく、優れた空力技術と効率的な駆動システムの融合にあることを証明してみせた存在で、その手法、さらに「記録稼ぎのコンセプトカー」にとどまらず「市販可能な」設計を持たせたことが大きく評価できる1台です。

高価な特殊素材だけに頼るのではなく、次世代の量産プラットフォーム「MEB+」や市販コンポーネントをベースにこれらの世界記録を打ち立てた意義は非常に大きく、このモデルの市販のみ成らず、近いうちにぼくらが手にすることが可能な次世代のVW製EVにも「これらの革新的な高効率技術」が受け継がれていくことが大いに期待されます。

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参照:Volkswagen

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