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【動画】日本のバブル崩壊によって1台のみの生産で終了した「イズデラ・コメンタドーレ 118i」がイベントに登場!フェラーリ創業者に敬意を表した幻のスーパーカー

2021/10/09

日本のバブル崩壊によって1台のみの生産で終了した「イズデラ・コメンタドーレ 118i」がイベントに登場!フェラーリ創業者に敬意を表した幻のスーパーカー

| もしも時代が味方すれば、イズデラの「今」はまた違ったものになっていたかもしれない |

ここまでこだわり抜いたクルマを作ることが出来たメーカーは数少ない

さて、コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステにイズデラ・コメンタドーレ 112iが登場して話題に。

イズデラを興したのは元ポルシェとメルセデス・ベンツのエンジニア、エーベルハルト・シュルツ氏ですが、同氏はメルセデス・ベンツ在籍中に300SLの後継モデルとしてCW311を開発し、しかしメルセデス・ベンツがこのCW311の市販を見送ったために同士がこのプロジェクトを買い取って1983年にイズデラ・インペレーター 108iとして発売しています。

なお、このイズデラ・インペレーターは 108iは1991年までに20台もしくは30台が製造され、その価格は当時としては「異常に高価な」1台あたり1億2000万円。

そして、このインペレーター108iの後継モデルとして登場したのが今回紹介する「コメンタドーレ118i」。

イズデラ・インペレーター
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イズデラ・コメンタドーレ 112iはエンツォ・フェラーリに敬意を表したクルマだった

このコメンタドーレ(Commendatore)とはイタリア語で指揮官を意味しますが、同時にイタリア共和国功労勲章の勲三等を指しており、これを授与されたエンツォ・フェラーリもまたイル・コメンタドーレの愛称にて呼ばれていたと言われます。

そしてこのコメンタドーレ 112iはエンツォフェラーリに敬意を表して製作されたものだといい、インペレーター108iに比較して「モータースポーツを強く意識したクルマ」。

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イズデラ・インペレーター118iに搭載されるエンジンは6リッターV12(M120)、トランスミッションはルーフ(RUF)製の6速マニュアル。

トランスミッションがルーフ製なのは「メルセデス・ベンツがM120用のマニュアル・トランスミッションを持たなかったため」だとされますが、メルセデス・ベンツのエンジンにルーフのトランスミッションをドッキングさせるのには相当な手間がかかったようですね。

なお、エンジン出力は400馬力、最高速度は時速340キロという記録が残ります。

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コメンタドーレ 112iのボディパネルは軽量化のためGRPで製作され、シャシーはスペースフレーム、そしてサスペンションはポルシェ928からの流用だとされますが、これはポルシェのエンジニアを務めた経験上、「(当時)928のサスペンションがベスト」という判断を下したからなのだと思われます(そのほか、内外装にもポルシェやメルセデス・ベンツからの流用パーツが見られる)。

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見たところアクティブエアロを採用しており、これはル・マン24時間レースへの参戦を視野に入れていたとされることから、高い最高速が要求されるミュルザンヌ区間に対応するためだったのだと思われますが、実際にメルセデス・ベンツの風洞実験によると、公道走行時に空気抵抗はわずか0.306にすぎなかったとも。

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ちなみに「ブレーキランプが点灯すると」リアスポイラーが立ち上がっているようなので、これは「エアブレーキ」を兼ねたものなのかも。

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その夢は日本経済のバブル崩壊とともに潰える

そしてこのイズデラ・コメンタドーレ 112iは1台のみを生産しただけでそのライフを終えてしまい、というのもイズデラが当て込んでいた日本経済がバブル崩壊によって低迷したためで、これによって販売が見込めなくなり、結果としてル・マン24時間レース参戦のためのホモロゲーション(最低生産台数の制限が含まれていた)を取得することが叶わなかったわけですね。

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ただ、幸いなことに、このプロジェクトはスイスのコンソーシアムによって救済され、6年後の1999年に開催されたフランクフルトIAAでは、(このコンソーシアムが)オリジナルのコメンダトーレを「シルバー・アロー」という新たな名前に変更して展示したことも。

しかしながらオリジナルのコメンタドーレ112iが備えていたBBS製の2ピースレーシングホイールやペリスコープ式のリアビューミラーはなく、この際にはCLK GTRのような5ツインスポークアルミホイールやウィングミラーに変更されていた、と記録されています(1997年にはレースゲーム「Need for Speed II」にも登場している)。

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その後2005年に一度売りに出されたことがあり、さらに2016年末にはイズデラ自身がこのクルマを入手して「製造された1993年当時の仕様」へと戻すことに成功しており、当時の仕様とはつまりBBS製のホイールや、運転席側のルーフに取り付けられた後方確認用の「潜望鏡(ペリスコープ)」などを指しますが、これによってレーシングカー然とした雰囲気を醸し出しているようですね。

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ドアは「ガルウイング」、そしてインテリアはブラックにブルーアクセント。

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ステアリングホイールにはイズデラのマーク「鳥」が描かれます。

なお、イズデラ=ISDERAは「Ingenieurbüro für Styling, DEsign und Racing」の略。

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このイズデラ・コメンタドーレ 118iは昨年に一度売りに出されていますが、現在はドイツで登録されているといい、走行距離は10,500キロ(まだ買い手がつかず、よって書いて募集中なのかもしれない)。

イズデラによる「このクルマが真正である」ことを示す申請書も付属しているそうで、時間の経過とともに価値を上げそうなクルマでもありますね。

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なお、イズデラは2018年に突如「復活」をアピールしているものの、未だ納車がなされておらず、思うように生産が進まないのかもしれません。

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参照;:Automotive Mike

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