
| EVなのに「ガソリン車そっくり」の仕上げに感動するところがちょっと不明 |
一方のBMWはガソリン車よりも先に行っており方向性が大きく分かれる
「電気自動車は速いけれど、エンジン音やシフトショックがなくてエモーショナルさに欠ける」
そんな内燃機関ファンの懸念を吹き飛ばすかのような強烈な発言がメルセデス・ベンツのトップから飛び出すことに。
これはメルセデス・ベンツのオラ・ケレニウス(Ola Kallenius)CEOが次世代のフル電動スポーツセダン「メルセデスAMG CLA 45 EV」を試乗した際の出来事だといい、あまりのドラマチックな走りと擬似演出に感銘を受け、「生まれ変わったような衝撃を受けた」と明かしたのだそう。
単なる「音をスピーカーから流すだけ」にとどまらない、メルセデスAMGが仕掛ける“エモーショナルEV”の全貌、そしてニュルブルクリンクを激走した超絶スペックについてもう一度振り返ってみましょう。
【この記事の要約】
- CEOの衝撃発言:メルセデス・ベンツのオラ・ケレニウスCEOが、新型EV「AMG CLA 45」に搭載された疑似V8サウンドシステムを試乗し、「これまでに運転した中で最高のV8だ。キリスト教徒として再誕生した(生まれ変わった)ような気分になった」と大絶賛。
- 五感で楽しむEVギミック:模擬シフトショック(変速感)に加え、新開発「AMGForce shakers」によるシート振動機能を搭載し、内燃機関(ICE)の脈動をリアルに再現。
- ニュル最速レベルの怪物:3基の電動モーターからシステム合計671馬力を発生し、ニュルブルクリンクで7分32秒070のクラス最速記録を樹立。

CEOが「最高のV8」とまで言い切った擬似サウンドと体験
「最初にこのシステムを載せたCLA 45を走らせたとき、私はまるで再誕生したキリスト教徒(Born-Again Christian)のような衝動を覚えたよ。私が今まで体験した中で『最高のV8』だった。本物のV8が持つフィーリングをすべて備えながら、より強力なパワーとトルクが溢れ出てくるんだ」
英Autocar誌のインタビューに対し、オラ・ケレニウスCEOは熱っぽくこう語っていますが、ぼくはキリスト教徒ではないので、この表現の意味や重さについてはちょっと不明(ただ、最大級の驚きの表現であると思われる)。
新型AMG CLA 45 EVには、従来の2.0リットル直列4気筒ターボエンジンを模したサウンドプログラムのほか、発表当初には明かされていなかった「疑似V8サウンドモード」が秘かに組み込まれていて、これは単なる音の再現にとどまらず、加速に合わせて変速の切れ味を再現する「模擬パドルシフト(シミュレーテッド・ギアシフト)」と連動し、高回転域まで吹け上がるエキゾーストノートと過激なシフトショックを完璧なタイミングで同調させるというロジックを持っています。

シートが物理的に揺れる。新開発「AMGForce shakers」の全貌
さらに注目すべきは、今回新たにフロントシートへ組み込まれた「AMGForce shakers」という振動デバイスで、電気自動車は本来、不快な振動が一切ない静粛性を売りものとするはずですが、AMG CLA 45ではこれを逆手に取っており、エンジンのアイドリング時の微振動、そしてシフトアップ時のツインクラッチが繋がる瞬間の縦揺れ・ノック感をシート背面からドライバーの身体へ直接伝達します。
耳からのサウンドだけでなく、身体全体で「今、大排気量マルチシリンダーエンジンを回している」という錯覚を物理的に作り出す点が、これまでのサウンドジェネレーター付きEVとは一線を画すアプローチだというわけですね。
車種概要、性能・デザイン・スペックなどの特徴
新型メルセデスAMG CLA 45 EVは、環境性能だけでなくサーキット性能でも妥協のないパフォーマンスを備えていて・・・。
新型AMG CLA 45 EV主要スペック
- パワートレイン:トリプル電動モーター(フロント1基 + リア2基)
- 最高出力:680 馬力
- 最大トルク:1,759 Nm)
- 0-100 km/h 加速:3.0 秒(AMG Dynamic Plus Package装着時)
- 最高速度:270 km/h
- バッテリー容量:94 kWh
- 航続距離:670 km(WLTPモード)
- ニュルブルクリンク北コースタイム:7分32秒070(クラス最速記録)
- 演出機能:AMGForce shakers(振動シート)、模擬ギアシフト、疑似V8/直4サウンドプログラム
3基のエレクトリックモーターによる緻密なトルクベクタリング、そして94kWhの大容量バッテリーがもたらす一瞬のレスポンスにより、直線加速だけでなくコーナー立ち上がりでも従来の4気筒ガソリンモデルを圧倒するアジリティを獲得しています。

EV時代の「ドライビングプレジャー」を巡るライバル比較
現在、ハイパフォーマンスEV市場では「無音の速さ」から「内燃機関のようなエモーショナルな体験」へとトレンドがシフトしつつあり・・・。
| 項目 | メルセデスAMG CLA 45 EV | ヒョンデ IONIQ 5 N / 6 N | ポルシェ タイカン ターボS |
| アプローチ | 疑似V8音 + 模擬シフト + 振動シート | 疑似4気筒音 + 模擬8速DCT(N e-Shift) | 固有のEVサウンド(Porsche Electric Sport Sound) |
| 感覚的演出 | ★★★★★(五感・振動で体感) | ★★★★☆(変速フィールが秀逸) | ★★☆☆☆(EV独自の未来感を強調) |
| 最高出力 | 671 hp | 650 hp(ブースト時) | 952 hp |
| ニュルタイム | 7分32秒070 | 7分45秒59 | 7分07秒55 |
| キャラクター | V8の鼓動を完全再現するラグジュアリースポーツ | 体を揺さぶる本格ラリー/サーキットマシン | サーキット最速を目指すピュアEVツアラー |
これまで「擬似変速&擬似エンジン音」の分野では、8速DCTの変速ショックやレブリミッターを再現したヒョンデ「IONIQ 5 N」が高評価を得ていて、しかしメルセデスAMGはさらに一歩踏み込み、「V8サウンド」と「シートから体に伝わる物理振動」をかけ合わせることで、高級プレミアムブランドならではの官能性を追求している、ということに。

結論
「電気自動車は味気ない」という先入観は、もう過去のものになりつつあり、メルセデスAMG CLA 45 EVが見せた回答は、単なるスペック競争(馬力や0-100km/hタイム)ではなく、「ドライバーの心をいかに震わせるか」というフィーリングへの回帰ともいえるもの。
CEO自らが「最高のV8」とまで称賛したこの最新ギミックが、今後のハイパフォーマンスEVの新たな世界基準となっていくのかどうか、実車のデリバリー開始とともに世界中大きな注目を集めることは間違いないのかも。
ただ、ぼくがここで思うのは、EV懐疑論者、あるいはEV否定派は「内燃機関っぽいEVを求めているのではなく、本物の内燃機関を求めている」のであって、EVを内燃機関ぽく仕立てたとしても興味を示さないんじゃないかということ。
よって、こういった人々の考えをひっくり返すには、「ガソリン車の真似っ子EV」ではなく、ガソリン車にできないことを全面に押し出して「なかなかEVもやるな・・・」と思わせるしかないと考えているのですが、これを行おうとしている(ガソリン車っぽくないEVを作ろうとしている)のがBMW、しかしガソリン車っぽいEVを作ろうとしてるのがメルセデス・ベンツ。
これは直近のBMW iX3、メルセデス・ベンツCLA(HV版ですが)の試乗でぼくが感じた偽らざる印象ではあるものの、市場がどういった評価を下すのかには注目したいと考えています。

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参照:Autocar











