ポルシェ911GT2RSの裏側はこうなっている。クルマの表より裏側が好きな人は必見
ポルシェ911GT2RSは言わずとしれた「ニュルブルクリンク王者」であり、ポルシェ911の頂点に君臨する「王の中の王」。
これまでも数々のレビューが公開されているものの、今回ポルシェ・クラブ・オブ・アメリカ(PCA)がTPCレーシングのガレージを訪問し、整備中の911GT2RSを使ってその構造を説明しています。
911GT2RSは911ターボとは根本的に違う。レーシングカーに近い
なお、911GT2RSはターボエンジンを積むことから、「911ターボから全輪駆動を外したモデル」と捉えられがちではあるものの、動画を見ると根本から911ターボとは異なる、ということがわかります。
そして動画は「さすがレーシングチーム」というべきか技術的な観点からのみにおいてなされ、「なるほど、そうなっていたのか」と思う部分も多数。
まずこちらはリアバンパーですが、外側や固定方法は普通の911とさほど変わらないものの、バンパーと車体を固定するパーツはオートクレーブによって成形されたカーボンファイバー。
ポルシェはもともと「目に見える部分よりも、目に見えない部分のほうがはるかにお金がかかっているクルマ」だとされ、まさにそれを地でゆく部分ですね。
⠀そしてオイル交換にはエアクリーナーボックスを外すのが好ましいそうですが(ほかの911のような美しいエンジンカバーは911GT2RSには存在しない)、TPCレーシングによると」エアをエアクリーナーボックスへと送るシュノーケルを外せばオイルフィルターにアクセスできる、とのこと。
これは工具を使用しなくとも、引っ張るだけでポコンと外れる構造を持ち、サーキットでの走行をメインに考え、頻繁にオイル交換を行うことを前提とした仕様なのかもしれません(911GT2RSについて、他モデルとは異なり、ポルシェはサーキット走行ごとのオイル交換を推奨している)。
なお、911GT2RSの前に「ニュルブルクリンク最速」を誇ったランボルギーニ・ウラカンはオイル交換に「非常に手間のかかる」クルマですが、これは設計思想の差だと言えそう(一般にドイツ車は整備性に優れ、イタリア/フランスなどラテン車はそうでない傾向がある、と言われる)。
さらに911GT2RSのインタークーラーは「モータースポーツ仕様」で、911ターボとは全く異なる、とのこと。
エアを送り込むハウジングについても911ターボは樹脂だそうですが、911GT2RSではアルミ製を採用しています。
ちなみにブラケットは鍛造カーボン製。
そしてサスペンションも「レース用スペック」で、ビルシュタイン製の電制ショックアブソーバー、スプリングは911ターボに比較して直径が太く、ジョイントも「ピロボール」。
スタビライザーは中空カーボン製となり、これまた「見えないところにお金が注ぎ込まれている」ことがわかりますが、とんでもないコストが突っ込まれているクルマが911GT2RS、ということになりそう。
そのほか、色々なパーツが911ターボに比較してアップグレードされ、レース用のパーツや構造も多数導入されており、911ターボSの2630万円に比較して1000万円も高い3656万円という911GT2RSの値付けの理由がよく分かる動画となっています。
正直言うと、ぼくはクルマの目に見える部分よりも、こういった普段目に見えない部分、同じように目に見えない「歴史」や「思想」のほうに惹かれるタイプですが、「いや、これは凄いな」と思わされる内容ですね。
それでは動画を見てみよう
こちらがめったに見ることができないポルシェ911GT2RSのメカニズムを解説してくれる動画、「PCA Spotlight: 2018 Porsche 911 GT2 RS technical analysis」。
VIA:PCAHQ-Youtube