| ボクの観点だと、お金に余裕があれば718ケイマンをオススメ。そうでかければ987ケイマン |
さて、YoutubeチャンネルEverydayDriverが「ポルシェ・ケイマン3世代を乗り比べ、どれがベストなのか」を語るという動画を公開。
ポルシェ・ケイマンは2005年に初代が登場し、2013年には981へとフルモデルチェンジを受け、2016年には「718(形式は982)」ケイマンへとスイッチしています。
ちなみに「ケイマン」とはワニの一種で、その高い敏捷性を、新しく発売するミドシップスポーツカーの運動性能とオーバーラップさせたわけですね(マカンは東南アジアの言葉で”トラ”を意味しており、ポルシェは意外に動物好きなのかも)。
987ケイマンはこんなクルマ
まずは初代ケイマンたる987ケイマンですが、これはボクスターのクーペ版として登場。
ボクスターそのものがオープン専用設計であり、オープン状態でも高い剛性を誇っていたため、それをクローズド化することでボクスター比2倍のボディ剛性を誇ります。
なお、エンジンやブレーキ等、走行性能に関わる部分はボクスターよりも「やや上」に設定されているのも特徴。
今回の動画に登場するテストカーはスパルタンモデル「ケイマンR」で、0-100km/h加速は4.4秒を誇ります。
981ケイマンはこんなクルマ
981世代のケイマンもボクスターの「上」に設定され、さらにケイマンSでは(ベースモデルの)911のサーキット走行タイムを凌駕することが公的にコメントされています。
なお、ポルシェはドイツの自動車メーカーらしく序列を重要視しており、同じモデル間でも、オフィシャルフォトや動画において「上位グレードの前を下位モデルが走ることを許さない」というヒエラルキーを守り続けていましたが、なんと911の「下」に位置づけられているケイマンが下剋上を果たすという革命が起きたのがこの世代。
エンジンは先代同様に自然吸気6気筒を採用しており、テストカーは上位モデルのケイマンGTS(0-100km/h加速は4.2秒)。
718ケイマンはこんなクルマ
718世代最大のトピックは(一部ハードコアモデルを除いて)4気筒ターボエンジンへ変更されたこと。
そして4気筒エンジンへ変更するためのエクスキューズとしてポルシェは過去のレーシングカー「718」の名称を復活させたことになりますが、これに伴い、これまで「ケイマンのほうがパフォーマンス的にちょっと上」だったボクスターとの関係性が変化し、718の名のもと「同列」に扱われるようになっています。
今回のテストカーは718ケイマンGTSで、0-100km/h加速は3.9秒。
結局どうなのケイマンの各世代?
なお、ぼくは987ケイマンにこそ乗っていないものの、同世代の997カレラを所有しており、その後は981ボクスター、そして現在は718ケイマンに乗っています。
さらにその前には初代ボクスターも所有しているので、ある程度は現実的な判断が下せるとは思いますが、この3世代の中でどれがいいかというと、文句なしに最新世代の718。※外観については981ケイマンがいちばん好き
ただ、現実的に購入するとなれば200万円台から購入できる987ケイマン一択です。
ざっとそれぞれの印象について述べておくと、987世代はそれ以前の「986」ボクスターに比較すると飛躍的な進歩を遂げていて、それは主に足回りに感じられるところ。
グリップそして快適性が大きく向上してスタビリティも申し分なく、現代の基準に照らし合わせても「第一級」。
このクルマを200万円台で購入できるのは奇跡のようなもので、お金に余裕がある場合は別として、987ケイマンは「まず間違いない」選択肢ですね。
981についてはさらに快適性と安定性が増しており(ポルシェのスポーツカーはどんどん乗り心地が良くなり、扱いやすくなっている)、さらには内装の質感も大きく向上しています。
非常に優れたクルマだと認識しているものの、中古相場が割高なので、ちょっと購入するには躊躇します。
NAエンジンならではのサウンド、そしてピックアップは高く評価しますが、当然ながらパワー/トルクともにターボエンジンには劣り、高回転にタコメーターの針を閉じ込めておかねば思うような走りができず、それがストレスになる部分があるかもしれません(休日の朝に、MTで山を走るにはいい選択)。
最新の718ケイマンについてはさらに扱いやすさ、乗りやすさが向上しており、まったくもって「イージーに」速く走れるクルマ。
ただしターボエンジン特有のターボラグ、意図的な回転落ちの鈍さは自然吸気エンジンに対してネガティブに捉える向きもあるかと思われ、しかしぼくとしては「気にならないと言えばウソになるが、得られるパワーと扱いやすさ、効率性を考えるとそれらは完全に無視できる」範囲だと考えています。