ポルシェはボクスターの下に位置する「550スパイダーの再来」を企画していた？12年の封印の後、元デザイナーが"550one"を公開

｜　当時、ポルシェは550oneよりもマカンの発売を優先させたと言われる　｜

さて、ポルシェはちょっと前に「人前に出ることなく終わった」コンセプトカーをまとめて発表していますが、今回はポルシェ自身ではなく、以前にフォルクスワーゲングループにてチーフデザイナーを務めたワルター・デ・シルヴァ氏より「550one」が公開。

これは2008年に、当時のフォルクスワーゲングループの会長、そしてポルシェ一族出身であるフェルディナント・ピエヒ氏の依頼によって作られたもので、なんと12年間も公開されることがなかったクルマなのだそう。※大排気量、大パワーなクルマを好む同氏にしてはめずらしい依頼でもある

なお、ポルシェ一族向けとしては特別な911ターボや914「V8」など、いくつかのスペシャルモデルが製造されています。

ポルシェ550oneは550スパイダーへのトリビュート

このポルシェ550oneはジェームス・ディーンが乗っていた550スパイダーへのトリビュートだとされていますが、たしかにナルホド、リアフェンダーのあたりなど550スパイダー（下の画像）の面影を強く感じさせますね。

550oneはポルシェ・ボクスターの「下」に位置するクルマになるはずだった？

なお、ホイールベースやタイヤサイズを見るに、550oneは「ボクスターをベースにした」クルマではなく、ボクスターよりもコンパクトなクルマであるように見えます。

フェルディナント・ピエヒ氏の要望によって作られたといえど市販化も検討されていたようで、ただしポルシェは当時550oneのかわりに「マカン」の市販化を選んだと言われており、これが事実であればまさにこの550oneは「悲運のクルマ」（そしてポルシェの選択は正しかった）。

ちなみにトランスミッションには「マニュアル」を採用しますが、シフトゲートはアウディR8から流用しているようですね。

そしてセンターコンソール脇にもリアフェンダー上にあるものと同じ「3本スリット」が用いられており、相当にデザインコンシャスなクルマであることもわかります。

フロントフードはクラムシェル、そしてオーバーハングを極端に抑えたフロントバンパーを持ち、ヘッドライト内部にはおそらくサークル状のデイタイムランニングランプ。

ドアミラーは後の911、981/718世代に採用される形状に似ており、しかし大きく上下に圧縮されています。

なお、ワルター・デ・シルヴァ氏は2015年にフォルクスワーゲングループを去っていますが、なぜこのタイミングで、しかも12年も封印されていたクルマを公開したのかは不明です。

ポルシェは縦型テールランプが好きだった？

なお、このコンセプトカーを見て気になったのは「縦型テールランプ」。

現在ポルシェは横長の「LEDライトバー」を採用するものの、このクルマにはそれが見られない、ということですね。

加えて、昨年末に公開された一連のコンセプトカーの中にも「縦ランプ」を採用しているクルマがあり、もしかするとポルシェは現在の「横長テールランプ」以外に「縦型テールランプ」の採用も検討していたのかもしれません。

ちなみに、ずいぶん時間が空いているものの、このポルシェ550oneについては、1993年に発表された「ボクスター・コンセプト」の面影も感じられます。

もちろんこのボクスター・コンセプトも550スパイダーをイメージしたデザインを持っており、その意味では「両者が似ている」のも必然なのかもしれません。

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参照: Walter de Silva - Instagram