| シャシーはスチール製、モーターはアクスル上。バッテリースペースは現時点では明かされていない |
たしかに見たところ「非常に高い完成度」を持つようだが、コストが高くなりそうなことはちょっと心配
さて、ポルシェが発表した1088馬力を発するピュアエレクトリック・コンセプトカー、「ミッションR」。
これは次世代のレーシングカーであるとともに、次期718ケイマン/ボクスターを予告するモデルとあると言われますが、ポルシェによると「実際に機能し、完全にレーシングカーとしての性質を備えている」とのこと。
実際のところ、IAAにて発表される前にはシャシーのみでポルシェのテストコースを走行し、ポルシェの哲学に則り、「最高の技術水準を満たしている」とコメントしています。
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コンセプトカーといえども市販前提
そしてポルシェは、このエレクトリック・レーシングカーのCAD設計プロセスにおいて、市販車と同じように細部に至るまで注意を払ったといい、さらにはエレクトリックモーターを長距離レースに対応させるための新しい技術も盛り込んだ、とのこと。
一般に、エレクトリックモーターでは継続して負荷がかかることによるパフォーマンス低下が問題視されますが、ミッションRでは、直接冷却されたステーター(ローターが回転するモーターにおいて、固定されている部分)の採用により、サーキットにて連続的にパワーを発揮することができるとされ、油冷式を採用する2つのモーターとバッテリーはル・マン3連覇を成し遂げたレーシングカー、919ハイブリッドを参戦させる段階で得たノウハウを盛り込んでいます。
ミッションRの設計自体も「EV世代の新しい発想にて」
さらにポルシェは、コンセプトカーの目標重量である1,500kgを維持するために3Dプリントを多用したといい、例えばシングルスピードのトランスミッションケースは鋳造品に比べて30%の軽量化を実現しています(そのぶんコストも高そうだ)。
軽量化のための方法は素材や加工の工夫のみではなく、その設計や構造を根本から見つめなおすことでも実現しており、たとえばEVならではの「回生ブレーキ」の使用を前提とすることで、従来の(ガソリン車に採用される)ブレーキシステムに比較して(ミッションRに採用されるブレーキシステムは)12kg軽量に仕上がっているのだそう。
なお、車体構造を見るに、当然ではありますがガソリン車とは大きく異なり、スペースフレームによる補強が多数見られるようですね。
モーター搭載位置は「ミッド」でも「リア」でもなく、ズバリ「アクスル上」に見えますが、これによってトラクションを最大化できるのかもしれません。
現時点ではバッテリー位置について明かされていないものの、ロータスが先日発表したエレクトリックカー用新型プラットフォームのように、シート後方に「チェスト型」として搭載している可能性もありそうです。※ミッションRのシャシーそのものはアルミではなくスチールで構成されているようだ
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ミッションRは現時点で「かなり完成に近い」
このミッションRの走行テストを担当したのはおなじみポルシェのテストドライバー、ラーズ・カーン氏で、テストを開始して最初に感じたのは「このクルマがすでに進化していたこと」。
そして「圧倒的なトルクと総合的なドライビング・ダイナミクスが得られること」にも驚かされ、このクルマは「非常に楽しいものになるだろう」と直感したといいます。
なお、重要なのは、ポルシェ自身が「ここまで完全なプロトタイプを作ることはそう多くない」と語っていることで、加えて「他にも同じようなプロジェクトが進行している」とも。
「ほかのプロジェクト」が何を意味するのか現時点では不明ではあるものの、このミッションRについては「将来の市販モデルを示唆する兆候がぎっしり詰まっている」といい、その「市販モデル」とは、次世代の718ケイマン/ボクスターだと考えるのが妥当かもしれません。
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