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ポルシェがターボに関する特許を追加出願!「2つのターボに送る排気を流動的に振り分け、排気をムダにしない」構造を持つもよう

2023/06/01

ポルシェ

| ポルシェはターボに対し、なみなみならぬ熱意を持っている |

そしてここまでガソリンエンジンに注力するのは嬉しい限りである

さて、ポルシェはモータースポーツシーンにいち早く「ターボ」を導入し、市販車としてもBMW 2002ターボに続いて「史上2番めに」ターボエンジン搭載車を発売しています。

さらにはピュアエレクトリックカーでありエンジンはもちろんターボチャージャーが存在しないタイカンについても、そのトップレンジに「ターボ」なる名称を与えており、つまりポルシェはターボについて「非常に強いこだわりを持っている」と考えていいのかもしれません(タイカンの場合、ターボチャージャーという物理的な機能ではなく、”加給=ブースト”によってパフォーマンスを向上させるというターボの概念を重視したネーミングであると解説されている)。

そして今回、ポルシェは新しくターボに関するパテントを出願しており、ここでその内容を見てみましょう。

ポルシェは様々なターボチャージャー技術を開発

参考までに、ポルシェは2022年1月にもターボに関する特許を出願していますが、その内容は「電動ターボ」に関するもので、これはタービンの軸にエレクトリックモーターを内蔵し、低回転時にはこのモーターを駆動させることでタービンを回して加給を行い、高回転時には(モーターのアシストが不要になった際に)逆に発電を行ってその電力を蓄積し、(低回転時に)再利用することを目的としており、これによって「大きなタービンを仕込んでも、ターボラグが発生しなくなる」というもの。

基本的な考え方については、メルセデスAMGがすでに採用しているものと大きな変わりはないと認識しています。

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そして今回、ポルシェがドイツ特許庁に提出したパテントは先に提出されたターボチャージャーに関する特許とも組み合わせが可能でもあり、しかし独立しても機能するもので、こちらのほうがやや(場合によっては)製造コストが低いようにも思われ、ポルシェは今後「様々な種類のターボを、そのモデルの性格や求めるパフォーマンス(もちろん価格帯も)」によって使い分けるのかもしれません(今でも複数のターボ技術を使い分けているが、今後はさらにそれぞれが進化する)。

言うなれば「可変排気経路付き」ターボ

この最新の特許を見てみると、簡単に言えば「メイン(プライマリー)ターボチャージャーの効果と効率を妨げることなく、エンジンの排気ガスの一部をセカンダリーターボチャージャーに向かわせる」もの。

つまりシーケンシャルツインターボの採用が前提ということになりますね。

そして昨年の特許と大きく異なるのは「エレクトリックパワーでタービンを回す」ことが主目的ではなく「排気をうまく活用する」ことが目的であるように見えること。

構造を見てゆくと、まず通常のターボエンジンと同じく排気をタービンに入れることになりますが、ポイントとしては「シリンダーヘッドに2つの経路が設けられ、それぞれプライマリータービンとセカンダリータービンに振り分けられる」ように受け取れます。

この場合、プライマリータービンに振り分けられた排気はそのままプライマリータービンを回転させ、ここで圧縮されたエアはエンジンへと強制的に送られますが、これは文字通り「通常のターボエンジン」。

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ただ、セカンダリータービンへと送られた排気は、エネルギーシンクに取り付けられた遊星ギアに連結されており、ここに流れ込んだ排気エネルギーは、(発電機能がある場合は)電動ターボとして機能し、発電機能がない場合は「通常のタービン」として機能し、そのまま圧縮された空気をエンジンへと送り込むことになるわけですね。

よって、この特許の骨子は「排気を、状況によって流動的かつ連続可変的に」プライマリータービンとセカンダリータービンへと振り分けるものの、特許の内容を見ると、セカンダリータービンのほうが(かなり)小さく、よって従来のシーケンシャルツインターボとは「プライマリー」「セカンダリー」のタービンサイズが逆転していると捉えていいのかも。

ポルシェ

そしてこの特許のもう一つのポイントは「ウエストゲートから排気を放出することなく」排気をすべて活用できるというところにあり、これは効率を重視するポルシェならではの考え方だと言えるかもしれません(もちろんコストと重量はかさむが、それでも十分にリターンが得られるということなのだと思われる)。

かくしてポルシェは大きく重くなってゆくわけですが、それでもパフォーマンスや効率が向上しているのであれば、ぼくら消費者にとっては喜ばしいことだと捉える必要がありそうです(ただ、その分価格が上がるのはちょっと嫌だけど)。

いずれにせよ、ポルシェはガソリンエンジンの効率を高めるために最大限の努力を払っており、ガソリンエンジンの未来を信じていることがこの特許からもわかりますが、これら特許は「ポルシェのラインアップ中では、最後に電動化される」と公言されている911に採用されることになる可能性が高く、そして合成燃料にも対応できるのであれば、より幅広いモデルに活用される可能性も見えてきそうです。

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参照:CARBUZZ

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