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ターボラグ解消に切り札!メルセデス・ベンツがF1由来の技術を使用した市販車向け電動ターボを開発し、「次世代AMGから採用」と発表

2020/06/21

| おそらくこの「電動ターボ」は今後の主流になりそうだ |

メルセデスAMGが「次世代のAMGモデルに搭載される」電動ターボ、エレクトリック・エキゾースト・ガス・ターボチャージャーとその概要を公開。

これはギャレット(タービン供給においてはボルグワーナーと並ぶ2強)とメルセデスAMGとの共同開発によるもので、目的としては「ターボラグを解消する」というもの。

現在各社ともターボラグを解消することに対しては様々な対策を取っており、たとえばフェラーリはギアによって過給圧を変え、ポルシェは可変タービンジオメトリ(VTG)を採用し、アウディは電動ターボを採用しています。

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ターボラグはどのメーカーにとっても悩みのタネ

そもそもターボラグとはなんぞやということですが、タービンは「排気」によって回転し、その回転によって風圧を増加させ、その増加した風をエンジンに送り込んでシリンダー内の爆発力を増加させるという構造。

ただしエンジンの回転数が低いときにはタービン(扇風機の羽根のようなもの)を回すだけの風力が得られず、その後アクセルを踏み続けることでエンジン回転数が上がり、ようやくタービンが回転するわけですね。

よって、加速しようとアクセルを踏んでもすぐには加速できず、回転数が上がった後に加給がかかってドーンと加速するということになります。

この「アクセルを踏んでから加給がかかる時間をいかに短くするか」にどのメーカーも腐心しているということになりますが、古典的な方法だと(R32-34GT-Rにも採用された)シーケンシャルツインターボというものがあり、これは「排気流量が少なくても回る、軽いタービン」と「排気流量が増えたときに加給をかける大きなタービン」を組み合わせたもの。

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小さなタービンだけだとターボラグが小さいものの過給圧(エンジンに送ることができる風)が少ないためにパワーが上がらず、大きなタービンだけだとアクセルを踏んでエンジン回転数が上がった後に急激に加速することになり(いわゆるドッカンターボ)、この両方の美点と欠点を補うのがこのシーケンシャルツインターボ。

そのほか、最近だと「モーター」をターボラグ解消に充てようというメーカーもあり、アクセルを踏んで加給が始まるまでの間は(トランスミッションに仕込まれた)モーターで加速させるというもの。※これはモーターでタービンを回すわけではない

この手法はメルセデスAMGが”EQブースト”として一部モデルで採用しており、(サイズ、コスト、重量、効果とも)なかなかに優れたシステムだと考えています。

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ただし今回のメルセデスAMGのシステムはF1由来

しかしながら今回メルセデスAMGが発表したのはEQブーストとは異なる原理を持つもので、これはタービンのシャフト内にエレクトリックモーターを内蔵し、このモーターを回すことでタービンを回転させ、排気流量の大小にかかわらず加給を行う、というシステム。

ただ、ずっとモーターでタービンを回しているとバッテリーを消耗してしまうので、エンジン回転数が低いときにはモーターを使用し、エンジン回転数が十分に上がった時点では逆にタービンを通じて発電(熱回生)を行うことになるようですが、これはF1マシンに使用されるMGU-Hを応用したもの。

このMGU-Hが導入されたのは2014年ですが、それ以降メルセデスAMG F1チームはタイトルを6年連続で獲得しており、つまりこの新しい電動ターボはメルセデスAMGの「得意技」。

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ただ、低回転と高回転とを行ったり来たりする市販車においてこれを実用化するのは容易ではなく、同じく「F1由来の」エンジンを持つAMG Oneについては開発の遅れから発売が伸び伸びとなっているようですね。

なお、上述のようにターボラグ解消については様々な技術が導入されていますが、これからの自動車が「エレクトリック化」してゆくことを考えると、電動ターボは将来的に「もっとも効率的で、理にかなった」システムとなりそうです(ハイブリッドシステムと相性が良い)。

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VIA:Mercedes-Benz

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