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ポルシェが「935」の後継、911 GT3R レンシュポルトを発表。限定77台のサーキットウエポン、規則に縛られずパワーアップと軽量化を徹底し「もっともホッとなクルマに」

2023/09/29

ポルシェが「935」の後継、911 GT3R レンシュポルトを発表。限定77台のサーキットウエポン、規則に縛られずパワーアップと軽量化を徹底し「もっともホッとなクルマに」

| そのイメージは伝説のポルシェ935/77、レギュレーションに縛られない自由なサーキット走行専用車が誕生 |

過去に敬意を表しつつ最新のデザインや素材、理論を追求

さて、ポルシェが新型車「911 GT3 R レンシュポルト(rennsport)」を発表。

これは現行992型ポルシェ911 GT3Rをベースとしたサーキット走行専用車ですが、いずれかの公式モータースポーツに参戦することを想定していないために「モータースポーツの規制を超えた」自由な発想にて設計されたクルマであると紹介されています。

搭載されるエンジンは911GT3Rと同じもの(ただし出力は向上)、そして 空気抵抗や空力ダウンフォースなどもオリジナルのGT3 Rと”ほぼ同じ”ですが、機能面ではアップデートが加えられることに。

この911 GT3 R レンシュポルトは限定77台のみが販売されるとのことですが、おそらくはすでにすべての個体において購入者が決まっているものと思われます。

ポルシェ911 GT3 R レンシュポルトは「911ベースのレーシングカーの”もっとも原始的な体験”を提供する」

今回、この911 GT3 R レンシュポルトの発表に際し、ポルシェ・モータースポーツ副社長のトーマス・ラウデンバッハ氏は以下の通りにコメント。

新型ポルシェ 911 GT3 R rennsport は、おそらく最も原始的な形式であるナインイレブンベースのレーシングカーを運転する体験を提供します。見るたびに鳥肌が立ち、最高級のモータースポーツ技術とポルシェらしいデザイン言語が組み合わされています。その卓越したパフォーマンスにより、911 GT3 R rennsport は当社のブランドの歴史を目に見えるものにし、聞こえるものにします。 これは、ラグナセカにて開催されるポルシェの大規模なファン コミュニティ、レンシュポルト リユニオンにて提供するのにふさわしいもので、77台の限定版という、お客様への独占的なオファーです。

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ポルシェ911 GT3 R レンシュポルトは、スタイル・ポルシェのデザイナー、グラント・ラーソン氏とトルステン・クライン氏によってデザインされており、両名のコメントは以下の通り。

911 GT3 R レンシュポルトは、現代のポルシェ935の論理的な後継車として位置づけられます。935は、技術的には標準に近い911 GT2 RSクラブスポーツをベースにしていましたが、911 GT3 R レンシュポルトは992型の現行911 GT3 Rをベースに使用しています。大幅に再設計されたカーボンスキンの下にはサラブレッドレーシングカーが存在するのです。

グラント・ラーソン

911 GT3 R レンシュポルトでは、ボディ幅をもう少し広げ、視覚的に長さを伸ばし、同時に美しくデザインされたホイールを配置しました。これにより、完璧なプロポーションが得られ、より壮観な外観になります。

トルステン・クライン
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ポルシェ911 GT3 R レンシュポルトのボディパネルは「ほとんどが専用デザイン」

ボディパネルに関して言えば、ベースとなる911 GT3 Rのパーツがそのまま残されているのはフロントフードとルーフのみで、その他のボディ要素はすべて専用にデザインされ変更されることに。

冷却のためのエア取り入れ口やダクトはすべて空気力学的に最適化された形状へと調整され、サイドフィンとフリックといった視覚的なアクセントが設けられていますが、この「サイドフィン」はロードカーの911GT3 RSや718ケイマンGT4 RSとも共通するものでで、ポルシェとしての統一感を与えています。

なお、ドアミラーやバックミラーは「鏡」ではなく「カメラ」へと置き換えられ、 車両の外板に組み込まれた 3 台のカメラとコックピット内のモニターにて周囲を確認することになるのだそう。

巨大なリアウイングは、「1978 年のデイトナ24時間レースで、アメリカ人のピーター グレッグが、オランダ人のトイネ ヘゼマンス、ドイツ人のロルフ シュトメレンとともに、ポルシェとして7回目の総合優勝を果たした」伝説のポルシェ935/77を彷彿とさせるもの。

細いLEDストリップで構成されるライトバーには、ポルシェ文字が発光エレメントとして組み込まれており、ここはサーキット走行専用モデルであったとしても、しっかりとアイデンティティを主張しているところですね。

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装着されるホイールはBBSによる「レーシング」デザイン(18インチ)、もちろんセンターロック、そしてタイヤはミシュラン製。

なお、今回公開されたオフィシャルフォトでは「アメリカンな」カラーリングを持ちますが、「アゲートグレーメタリックで塗装されたボディシェルとピュアカーボンのボディワークを備えたコレクターズ仕様」が用意されるほか、ルビースターやシグナルオレンジといった1990年代なアイコニックなカラーを含む7色を選択可能(ホイールは標準だとメタリックグレー塗装)。

ただし(ポルシェらしく)カスタマイズも可能となっており、代表的なのは「3つの専用ペイントデザイン」だとされ、それらは伝統的なモータースポーツのカラーリングを持つ「レンシュポルト・リユニオン・デザイン(おそらくオフィシャルフォトのカラーリング)」、レッドとホワイトの「フラハト デザイン(おそらくヴァイザッハカラー)」、様々なブルーを使用した「スピード・アイコン・デザイン」。※これらはデカールではなくペイントで再現され、セミグロストップコートで仕上げられるもよう

これらについて、前出のトルステン・クライン氏は以下のように語ります。

ポルシェはその豊かな歴史によって形作られてきました。これは特にレースに当てはまります。もちろん、これはその後私たちにインスピレーションを与えましたが、決してコピーを作りたかったわけではありません。私たちが選んだ 3 つのオプションは、現実的な新しい解釈であり、ブランドの歴史に対するあからさまな反復ではありません。」

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ポルシェ911 GT3 R レンシュポルトはこういったスペックを持っている

上で述べた通り、ポルシェ911 GT3 Rレンシュポルトは911 GT3 Rに準ずるスペックを持ちますが、モータースポーツのホモロゲーションによって定められる厳しい要件や「パフォーマンス・バランス」(BoP)によって課される制限を超えており、ここから得た自由によって数多くの技術的改良を加え、さらにエモーショナル、より高いエンジン出力と軽量化、そして911 RSRと同様の素晴らしいサウンドを備えたクルマとなり、ポルシェいわく「おそらくポルシェがコレクターズ アイテムとしてこれまでに発売した中で最もホットなトラック ツール」。

911 GT3 Rから拝借した4.2リッター 6気筒ボクサーエンジンは最高回転数9,400rpmを誇るパワー ユニットで、規制による制限の撤廃の恩恵を受けて620馬力という最高出力を達成することに。

これは排気量1リッターあたり148馬力もの出力に相当し、おそらくGTレーシング カーの自然吸気エンジンでは最高記録となるのだそう。※ベースとなったポルシェ911GT3 Rでは規制によって565馬力に制限される

なお、このエンジンは、E25(レース用のエタノール)燃料で動作するように設計されていますが、ポルシェが普及を進めている「ほぼカーボンニュートラルな運用を可能にする、再生可能な方法で製造された」Eフューエル(合成燃料)も使用可能。

E25燃料を使用するとノッキング傾向が生じるため、より高度な点火角度と圧縮率向上が行われ、ピストンとカムシャフトもこのモデルの専用品(E25燃料を使用した走行時に最大のパフォーマンスを発揮するように設計されており、しかし従来の燃料でも動作するとのこと)。

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搭載されるシーケンシャル6速コンスタントメッシュ・ギアボックスも911 GT3 Rとほぼ同じですが、ギアの変更は電子ギアシフト・アクチュエーターを制御するステアリング ホイール パドルを介して行われ、前進4速、5速、6速の変速比はGT3 レーシングカーのデイトナセットアップに対応しており、トップギア(6速)では、9,000rpmにてGT3 Rよりも約20km/h高い最高速度が得られることにも言及されています。

エキゾーストシステムは2種類がラインアップされ、ひとつは「サイレントサーバージョン」で、これは中央に配置されたツイン テールパイプを備えたレーシング・エキゾースト システムを持っており、”非常に感情的な”エンジンサウンドを提供することに。

そしてもうひとつは(ニュルブルクリンクのように) 騒音制限のあるレースサーキットでも使用できるよう、サイレンサーと触媒コンバーターを備えた「静かなバージョン」。

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シャシーもGT3レーシングカーと基本的に同一で、フロントアクスルでは最先端のダブルウィッシュボーンサスペンションレイアウトが引き続き使用され、リアに組み込まれるのはマルチリンクサスペンション。

KW製の5ウェイ・アジャスタブル機構を持つレーシングショックアブソーバーはブローオフ機能を備えており、シムを使用して微調整を行うことも可能です。

装着されるタイヤはミシュラン製、そしてGT3 R レンシュポルト専用に設計されたもので、このタイヤは新しいコンパウンド トレッド、新しい構造を持っており、ミシュラン パイロット スポーツ M S9 (S9M) と比較してウォームアップ性能とドライバビリティが向上している、とアナウンスされています(サイドウォールも専用デザイン)。

ブレーキ システムはAP製のアルミニウム・モノブロック構造を持つレース用、 チタン製バッキングプレート付きのブレーキパッドが装着され、911GT3 Rに比較するとバネ下重量が1kg軽量化されているようですね。

燃料タンクは新設計の容量117リットルタイプ(FT3.5安全タンク)を採用し、こちらも1kg軽量化されているのだそう。

そしてユニークなのは空調システム(エアコン)が廃止されたことで、代わりに「シート冷却コンセプト」が導入されるそうですが、これらの恩恵によって車体重量はわずか1,240kgにとどまり、これはつまり「パワーウエイトレシオが2.0」であることを意味します。

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ポルシェ911 GT3 R レンシュポルトを紹介する動画はこちら

参照:Porsche

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