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ポルシェがピストンスピードを飛躍的に向上させレブリミットを1万回転以上に引き上げることが可能なエンジンの特許を出願。F1用PUに採用される空気圧バルブを活用

2023/12/07

ポルシェ

| ポルシェは構造的にシリンダー数を増やすことが出来ず、よってNAのままパワーを稼ぐならば回転数を引き上げるしかない |

これまでにもポルシェは制約の中で常にブレイクスルーを目指してきた

さて、安全性に関わるものからより速く走るためのものまで、ポルシェは実に多くの特許を有していることでも知られますが、今回はエンジンを超高回転化することが可能となるバルブシステムに関するパテントを出願したことが明らかに。

このバルブはF1マシンのエンジンにも採用される空気圧式バルブ、そして一般的な市販車に採用されるスプリング式バルブとを組み合わせ、お互いの短所を克服しつつ長所をより高めることで「10,000回転、もしくはそれ以上」の高回転化を実現するという内容です。

一体この特許はどう機能するのか?

そこでこの特許の内容を見てみると、まずは一般的なエンジンの「高回転化」が難しい理由に触れており、「バルブが開くと圧縮され、バルブを強制的に閉じるために減圧されるという現在の一般的なシステムでは、高回転下でのバルブスプリングの制御が難しく、高回転になるとバルブフロートとして知られる現象が発生する」。

しかしながら空気圧バルブを使用した場合、スプリングを圧縮空気に置き換えるため、優れた高速制御が可能になると述べており、これによってエンジンを高回転化したとしても「バルブがピストンに接触しにくく」なるもよう。

ちなみにですが、非常に優れたシステムである「空気圧バルブが普及しない」理由について触れておくと、”その実現が非常に難しいから”。

F1用エンジンでこれを実現できるのは、F1のエンジンは「高回転のみ」を使用するように設計されており(逆に低回転だと動作が安定しないそうだ)、非常に高い頻度でメンテナンスを行うために「エアの補充も定期的におこなうことができる」ため安定した動作を見込めるわけですね。

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一方で市販車のエンジンだと高回転を常用することを想定しておらず、かつオーナーによってはメンテナンスを行うという概念を持っていないために空気圧バルブを使用する意味もなく、むしろトラブルの原因となることも。

よって市販車にこの高価な空気圧バルブシステムを組み込むことはまったくの「無駄」であり意味がないということになりますが、ポルシェが今回目指している「高回転型エンジン」、そしてそれをGT3やGT3RSのような特別なクルマに積むとなると話は全く別。

参考までに、ポルシェの車体構造からして6気筒よりも多いシリンダーを持つエンジンを搭載することは難しく、そして現在の「4リッター」よりも排気量を上げることもこともまた難しく、よってポルシェがパワーを稼ごうとすると「(GT3系に積む自然吸気エンジンでは)レブリミットを引き上げる」よりほかはないのかもしれません。

もうひとつ参考までに、カレラGTに用いられたV10エンジンのベースとなったのは「20,000回転まで回るF1エンジン」で、もちろんこれには空気圧バルブシステムが組み込まれており、しかし市販バージョンのカレラGTに組み込まれたのは「通常のスプリング式バルブシステム」。

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これはもちろんコスト、メンテナンス、なによりも「20,000回転まで回す必要がない」ためですが(カレラGTのV10エンジンは8,000回転で最大パワーを発生する)、今回ポルシェは「スプリング(低回転でしか使えない)」「空気圧(超高回転でしか使えない)」という両方のバルブを併用することで低回転から高回転にまで安定して使用できるシステムを実用化しようとしていることがわかります。※特許出願時に記される用途としては「高回転シリーズまたはレーシングエンジン」とある

ただ、もちろんその構造は非常に複雑になり、よってコストも相当なものとなりそうですが、GT3系を購入する人々は、それによってパワーを獲得できるのであれば「金額なぞ気にしない」のかもしれません。

なお、ポルシェはこれまでにも様々なエンジンを構成するパーツの見直しによって「今までできなかったこと」を可能としていますが、少し前には「ピストンにも革命を起こした」ことがアナウンスされていますね。

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参照:CARBUZZ

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