| ポルシェはあらゆる角度から「速く走る」ための方法を模索する |
「まさかそこまで」というような特許もこれまでには多数出願されている
さて、ポルシェは様々な特許を出願しており、自動車メーカーの中でも(特許保有数が)トップクラスだと言われていますが、今回新たな特許が出願されたことが報じられています。
内容としては「遠隔操作にてキャンバー角を変更できる」というもので、特許図面と解説によれば「比較的簡単に」これを実現できるとしています。
ポルシェの「遠隔キャンバー角操作」はこうやって行う
なお、この特許内容は「フロントダブルウィッシュボーンサスペンション」を持つスポーツモデルに限定されるようなので、つまりはGT3系シャシーを持つクルマでなければ対応できないということになりそうですね。※ただ、構造を見るにマクファーソン式サスペンションにも応用できそうだが、マクファーソン式サスペンション採用モデルにそこまでするとは考えにくい
そこで特許の内容を見てみると、(ダブルウィッシュボーン式サスペンションシステムが前提で)ホイールキャリアに取り付けられたロワーウィッシュボーン/タイロッドはそのままで、ステアリングアームを含むアッパーウィッシュボーンにアクチュエーターが追加されることに。
このアクチュエーターの片側は車体に結合され、反対側はショックアブソーバーアセンブリの上部に結合されていますが、ショックアブソーバーの最下点をホイールキャリアに固定したまま、ショックアブソーバーの最も高い位置から車体との距離を調整することで、ホイールのキャンバー角を変更するという仕組みです。
このシステムは、ショックアッセンブリーの上部にあるネジ式のロッドをアクチュエーターで伸縮させるだけというシンプルなものなので、クルマをジャッキアップして工具を用いなくてもキャンバー角を変更することが可能となり、すでに911GT3 RSに採用される「車内からサスペンションのリバウンドとコンプレッションを調整できる」システムと合わせると相当に細かい調整が可能となります。
ただ、今回の特許では「ドライバーがキャンバー角を調整する方法」については触れられてないので、おそらくはセンサーとソフトウェアに基づいて自動的に(走行中に)調整がなされることになるのかもしれません。
そしてこのデバイスが作動する場面といえば「加速やブレーキング時」の縦方向の姿勢変化がある場面だと思われますが、そういった姿勢変化に対応してもキャンバー角を一定に保つことができるようにする、というのがこの特許の骨子なのだと思われます。
ポルシェはこれを新型911GT2 RSに採用?
なお、いまポルシェがこの特許を出願した理由はナゾではありますが、時期的なものを考慮すると、おそらくは992後期型のGT3とGT3 RS、そしてGT2 RSにこの「キャンバー角調整機能」を導入する可能性も。
ポルシェはこれまでにも「可変エンジンマウント」や「DRSスタイルのリアウイング」など市販車に採用するにはやり過ぎ感のあるデバイスを採用しており、しかしそこがまたポルシェのポルシェたる所以ということになりそうです(ポルシェのスポーツカーの場合、市販車とレーシングカーとの境界線が”レギュレーションを除くと”無いに等しい)。
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参照:CARBUZZ