英国のレストモッダーによる「964ベースの初代911風タルガ」。こう見えてモノコックにはカーボンによる補強、そしてボディパネルも全てカーボン、価格は1億円以上

｜　ポルシェ911のレストモッドは過密状態となりつつあるが、シンガーが「レトロ」路線の受付を停止したことでやや事情が変わりそう　｜

いずれのレストモッダーもそれぞれの特徴を打ち出している

さて、シンガー・ヴィークル・デザインのみならずレディング、ダッチマン、カルマーなど様々な新興ショップ、さらにはルーフやDPモータースポーツなど老舗かつ大御所までもが参入しているポルシェ911のレストモッド。

そんな中でも英国の「テオンデザイン（Theon Design）」はやや特殊な立ち位置を貫いており、「シンプル、軽量」そして「走り」へとベクトルを振り分けたカスタムを行うことでも知られます。

そして今回公開されたのがテオンデザインの最新作にして「初のタルガ」をベースとしたレストモッド、「GBR003」。

テオンデザイン製ポルシェ911レストモッド「GBR003」はこんなクルマ

このテオンデザイン製ポルシェ911レストモッド「GBR003」を見てみると、ベースとなるのは1990年代はじめの964世代の911で、それを「初代911風に」巻き戻しているわけですが、1970年代の要素と現代風のテクノロジー / ディティールとを組み合わせており、フロントリップやリアスカート、そして左右デュアル（合計4本）テールパイプなどは「新しい」部分であり、さらにはダックテールリアスポイラーといった人気のアイテムも盛り込まれることに。

なお、見た目こそはレトロではあるものの、もともとのスチール製モノコックに2層のプリプレグカーボンファイバー、そしてノーメックス製のハニカムタブ、アンダーフロアにカーボンファイバー製ブレースバーを追加することでボディ剛性を確保しており、ボディパネルもカーボンファイバー製だとアナウンスされています。

ボディカラーはパステルブルー、そして993世代の911カレラRSから移植されたブレーキキャリパーもパステルブルーにペイントされ、メタル調のウインドウモースやドアミラー（実際に金属製なのかも）、やはりブラシ仕上げ風のタルガバーが「なんともいい味」を出しているようですね。

搭載されるエンジンは4リッター自然吸気フラットシックス（409馬力）、これに軽量シングルマスフライホイール（クラッチミートが難しそうだ）と6速マニュアルトランスミッションが組み合わせられています。

キャブレターはレーシーなマットブラック、ファンはペイント仕上げ、そしてリアバルクヘッドにはキルティング仕上げのレザー。

もちろんこれらはシンガー・ヴィークル・デザイン製ポルシェ911から影響を受けたものだと思われますが、あらためてシンガーの存在の大きさを思い知らされます。

インテリアはブラックレザーをベースにポルシェらしい「パピーた」、そしてレザー部分にはパステルブルーのコントラストステッチ。

ディープコーンを持つステアリングホイール（センターマーク入り）、いかにも剛性が高そうなシフトレバーが気分を盛り上げていますが、スパルタンさ、そして高級さが同居する素晴らしいインテリアでもありますね。

なお、このGBR003の価格は公開されていないものの、テオンデザインの提供する「平均的な」タルガの改装費用は515,000ポンド（現在の為替レートで約9830円。ドナー車両は別途自分で用意する必要がある）だとされるので、このGBR003の「総額」はけっこう恐ろしいレベルに達しているのだと思われます。

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参照：Theon Design