| もともとポルシェのスポーツカーにおけるリコールはさほど多くはない |
さらに今回のような「大きな」トラブルは珍しい
さて、ポルシェが米国にて718ボクスターと718ケイマン「わずか14台」に影響するリコールを届け出。
NHTSA(=National Highway Traffic Safety Administration、米運輸省高速道路交通安全局)へと届け出られた内容を見てみると、対象となるのは2023年7月6日から2024年3月21日までに製造された718ボクスター/ケイマンで、そのうち「一部の」PDK搭載モデルにつき、「P」に入れたとしてもパーキングブレーキが作動せずにクルマが勝手に動いてしまうのだそう。
ポルシェとしてはかなり珍しいリコールである
なお、ポルシェのスポーツカー、つまり911と718ケイマン/ボクスターは非常にリコールが少なく、それはおそらく「ポルシェがイチから設計したから」。
一方、ポルシェ属するフォルクスワーゲングループ内での(車体、エンジンなど)共有部分が多いカイエン、マカン、パナメーラについては比較的リコールが多くなっていて、これは「他ブランドが設計したコンポーネントを使用しているため、いかにポルシェ用に調整したとしても」、予見できない整合性の不具合が存在するからだとも捉えています。
よって、718ボクスター/ケイマンにリコールの届け出があるということ自体が珍しいものの、今回は「クルマが勝手に動く」という重大な問題が報告されており、これはポルシェにとっても異例中の異例かもしれません。
今回NHTSAに届け出られた内容を見てみると、まずポルシェは(米国外で)「Pレンジに入れて駐車していたにもかからず、クルマが勝手に動き出した」という報告を受け取ることになり、これらの事故では車体の損傷のみが確認され負傷者は出なかったものの、2件の事故を調査した結果、通常の組み立て以外での手直しが行われていたことが判明しています。
その内容としては「シフトケーブルとクリップが損傷していたり、組み立てが間違っていたりした」というもので、これを修正するための再加工プロセス中ではシフトケーブルの被膜が損傷していた事例もあったもよう。
これによって正しくパーキングブレーキが(Pレンジに入れた際に)作動せず、よって駐車場所に傾斜がついていたりすると車両が動いてしまう(動力によって自発的にクルマが動き出すわけではない)という問題が発生する可能性が生じます。
なお、アメリカでは6月5日からオーナーへの通知が開始され、対策としては「シフトケーブルを無料で交換する」とされ、現時点で日本国内ではリコールが出されていないものの、米国外で問題が起きたと報告されていることからわかるとおり、リコールが出された米国仕様以外でもトラブルの可能性が存在することを否定できず、よって日本でも追ってリコールの発表があるのかもしれません。
それまではひとまず、「手動で」パーキングブレーキを作動させるなどの対策を行うと良いのかもしれません(届出内容を見る限り、シフトケーブルの問題であって、ブレーキそのものの問題ではない)。
あわせて読みたい、ポルシェのリコール関連投稿
-
ポルシェが米国にて「911の16バリエーション、910台」にリコール届け出。リアのシートベルトに問題があり、うまくチャイルドシートを固定できない可能性
| ポルシェがこういった問題でリコールを行うことは非常に珍しい | シートベルトを固定するスプリングブレードに問題があるもよう さて、ポルシェが米国にて911の16バリエーション910台に対してリコー ...
続きを見る
-
北米に続き日本でもポルシェ911ほかタイカン、カイエンにリコール。ただし内容は北米とは異なりドライバーアシストの表示に不具合、対象は合計で5,759台
| ポルシェ911にこれだけリコールが相次ぐのは珍しい | ただし今回は車両の根幹をなす部分ではなく「運転支援デバイス」 さて、先日はアメリカにてポルシェ911のリコールが2件立て続けに登録されました ...
続きを見る
-
ポルシェ911にちょっと珍しいリコール。「フロントガラスの接着が不十分であり、外れることがある」。風切り音が大きかったり曇りが生じる場合はこれに該当する可能性も
| 現在ポルシェでは実際にフロントガラスが外れた例を確認していない | 比較的対象台数が多く、もしかすると日本でもリコールが届け出られる可能性も さて、ポルシェが北米にて「衝突時に前後のガラスフロント ...
続きを見る
参照:NHTSA