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テスラは中国でもその神通力を失ってしまったのか。6月最終週の販売で新興勢力に追い上げられ、BYDに次ぐ2位の座も危うくなる

テスラ

| ただしテスラはその目標を早々に「販売台数」から別の方面へと切り替えている |

テスラは常に「ブルーオーシャン」を求めてきた会社である

さて、中国の6月最終週(6/24-6/30)におけるEV販売にて、テスラが新興EVメーカーから強烈な追い上げを受け、そのポジションを維持できなくなる可能性が明らかに。

現在テスラは(BYDに次ぐ)2位のポジションを確立していますが、3位以下の猛追により「2位もあやうく」なっているわけですね。※当然ながらBYDに抜かれる前は不動の1位であったが、今では2位が”定番”である

該当期間におけるテスラの登録台数は14,100台で、これは前週の17,400台から18.97%、前年同期比だと18.50%の減少という数字であり、正直(数字だけ見ると)意外と減っていないという印象です。

ただ、テスラの数字が大きく減らずとも、他が追い上げているためにテスラの地位が相対的に危うくなっており、しかも他の国や地域とは異なって、中国のEV市場そのものが成長を続けているため、今のところは「(大きく目立つ)シェアの奪い合い」となっていないのだと考えられます。※もしEV市場が成熟し、市場全体が成長していなければ、テスラはもっと大きく販売を失っていただろう

テスラ
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中国における2024年6月最終週のEV販売はこうなっている

そこで2024年6月最終週のEV販売(PHEV/EREV含む)を見てみると、まずは以下の通りの状況です。※正確に言うと水素自動車(FCEV)も含まれるが、中国での販売台数はほとんどないと考えていい

BYD75,800台
テスラ14,100台
Li Auto13,000台
Aito12,500台
GAC Aion8,200台
Wuling(五菱)7,600台
Nio6,800台
Deepal4,900台
Leapmotor4,800台
Zeekr4,300台
Xiaomi3,200台
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これを見ると、BYDは75,800台を登録し圧倒的王者に君臨していますが、これは前週の66,800台から13.47%増、前年の54,000台から40.37%増という数字です。

そしてテスラにわずか1,100台のみと迫るLi Autoは前週の11,700台から11.11%、前年の6,500台から100.00%の増加となり、続くAitoは前週の10,700台から16.82%増加(昨年は販売台数が低すぎてEV販売台数トップ10入りできなかったために前年との比較は不可能)。

GAC Aionは前週の9,100台から9.89%減少、前年比でも29.31%減少となり、Wulingも前週の8,100台から6.17%減少し、しかし前年比では24.59%増加しています。

Nioは前週比で44.68%、前年比では65.85%の増加(週あたり販売の記録を更新)、Deepalは前週から32.43%増加(前年比は不明)、Leapmotorは前週比で14.29%増、前年比では45.45%プラス。

Zeekrは前週はら4.44%減少したものの前年比では38.71%増加、そして最後のシャオミは前週から3.03%というわずかな減少。

テスラが「2位」の座を追われるのは時間の問題である

これらを見ても、前週/前年比ともに販売を落としているのはテスラとGAC Aionのみということがわかり、テスラについては2位の座を失うどころか、一気に4位辺りまでポジションを下げてしまう可能性もありそうです。

なお、テスラの販売が「思ったより」下がらない理由として(マーケットの成長の他に)考えられるのは「ブランド力」で、これは中国におけるアップル製品と同様、一定の比率でファン(信者)がいるからなのかもしれません。

一方、テスラのラインアップは(構成上)変わっておらず、しかし他社がどんどん新しいEV、そして中国の市場の好みにマッチした機能やデザインを提案している中、その魅力を維持することが困難になってきていることは間違いなく、テスラにとって困難な状況が続くことは間違いないものと思われます。

ただ、テスラはこういった中国の新興勢力に「無理に対抗」しようとはせず(それによって体力を削がれることを避けている)、自動運転ほか別の方面においてチャンスを見出しており、よって今の状況はひらすら「忍」の一文字であって、次の展開が結実するまでの辛抱であると捉えています(テスラはいつも、新しい市場を切り開き、そこに他社がなだれ込んでくる頃には別の市場へと移動している。ただ、現在は想定より中国勢の追い上げがスピーディーで、次の市場を開拓する前に追いつかれてしまったのだと考えられる)。

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参照:CarNewsChina

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