Image:Theon Design
| ただしその価格は安くはなく、ベース車両抜きで約8300万円である |
約300kgの軽量化に加え重量配分の改善にも成功、「扱いやすい」空冷911に
さて、現在ポルシェ911のレストモッド市場は過密状態となっていますが、それだけに各社とも自身の持ち味を発揮し様々な個性を発揮しているといった状況です。
そして今回紹介する英国のテオン・デザイン(Theon Design)はシンガー・ヴィークル・デザインと並ぶほどの高い評価を獲得していて、その理由は「ポルシェのDNAに従い、そして軽量シンプルなレストモッドを特徴としているから」。
実際のところ、今回公開された最新作「GBR005」は1,190kgという軽量性を誇ります。
Image:Theon Design
ベースとなるのは964世代のポルシェ911タルガ
このポルシェ911レストモッド、GBR005のベースとなるのは964世代のポルシェ911タルガ。
そして興味深いのはテオン・デザインがリリースした中ではもっとも強力な、407馬力仕様の3.8リッター・空冷フラットシックスエンジンを搭載していることで、これによって1トンあたりの出力が341馬力というスーパーカー並みの数字に達しています。※テオン・デザインいわく「991世代のGT3のパフォーマンスを上回る」
なお、エンジンそのものは美しく仕上げられていますが、同社らしく余分な装飾が排除されており、これもまた軽量性を実現する秘密のひとつなのだと思われます。
Image:Theon Design
このGBR005の制作に際し、911タルガは完全に分解され、そこから各部のリフレッシュが行われるとともにボディワークがカーボンファイバーへと変更されていますが、ドアパネルのみは安全上(サイドインパクトプロテクション)の理由からスチール製を維持しているのだそう。
かくしてこのテオン・デザインGBR005はノーマルの911タルガから約300kgのダイエットに成功しており、しかしこの軽量化については「ワイヤリング」の改良による−40kgが貢献していることについても言及されています(あまり言及はなされていないが、車両に使用されるワイヤー類の重量はかなり重く、この一部を光ファイバーに変更することでも相当な軽量化が達成できると言われている)。
さらにテオン・デザインはやみくもに軽量化を行うのではなく、エアコンのコンプレッサーや油圧パワーステアリングポンプなどをフロントトランク内に移すなどして前後の重量配分を慎重に調整し、48:52という絶妙なバランスを実現することに(ノーマルだと40:60くらい)。
Image:Theon Design
ボディカラーはポルシェ純正のヘリテージカラー”シグナルイエロー”、ホイールサイズは17インチ、その奥に潜むブレーキは993世代の911RSから拝借したもの。
そのほかタルガトップはモヘアを使用した軽量バージョンだといい(もちろんフロントトランクに収納できる)、細部に至るまでのこだわりが見られるようですね。
Image:Theon Design
インテリアだと現代的な豪華さとクラシックなポルシェスタイルが見事に融合し、セミアニリンレザーで包まれたシートは、リコリスカラー(ブラック)の仕上げに、黄色いスステッチがアクセントとして施され、センター部分にはブラックとイエローのチェック柄。※カーボンファイバー、そしてスマートフォンをセットするスペース(マグネット式)など現代的な要素も見える
Image:Theon Design
フロントシートは同社の「ツーリング」デザイン、リアシートは928に触発された形状を持つといい、6スピーカー(フォーカル製)を持つオーディオシステムなど快適性についても配慮されているようですね。
さらにはステアリングホイールのセンターパッドにもポルシェクレストが型押しされたセミアニリンレザーが用いられ、スポーク部にはアルマイト加工、そして刻印がほどこされるなど緻密な仕上げが光ります。
そしてGBR005はこれだけのこだわりと品質を持つからにはその価格はけして安くはなく、ベース(ドナー)車両抜きで43万ポンド(現在の為替レートだと約8300万円)に設定されています。
GBR005は、現代のパフォーマンスとクラシックなポルシェの美学を見事に融合させたモデルであり、レストモッドの世界でも注目すべき存在です。Theonの軽量化、剛性強化、バランスの取れた設計が相まって、信じられないほどの走行性能を実現し、ポルシェの豊かな遺産にも敬意を表しています。この美しいレストモッドは、最新技術とクラシックなスタイルを求める車好きにとって、間違いなく魅力的な一台となることでしょう。
Theon Design
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参照:Theon Design Ltd(Facebook)