| ロシアに関する問題は、ある意味でコロナウイルスよりも影響が大きい |
ドイツはロシアを排除したいものの、どうしても排除できないというジレンマも
さて、ちょっと前までは半導体(マイクロチップ)の深刻な不足と価格上昇が自動車業界に暗い影を落としていたわけですが、今回は「ガラス」の価格が急騰しているというニュース。
なお、マイクロチップ不足へ対応するため、各自動車メーカーでは特定のオプションや機能を廃止することでマイクロチップ使用量を減少させていると報じられ、しかしガラスの場合は「ガラスの使用量を減らす」わけにもゆかず、もしかするとマイクロチップ以上に深刻な問題となるのかも。
-
ついにチップ(半導体不足)の影響がここまで!高級車から「シートヒーター」「パワーシート」「タッチ式ディスプレイ」等の高級/先進装備が消えてデジタルからアナログに逆戻り
| ハイテクからローテクへ「時代が数年前に戻ったようだ」 | まさかここまで半導体が足りなくなるとは さて、最近良く報じられる、ウソのような本当の話が「半導体(チップ)不足によって、新型車の装備がアナ ...
続きを見る
実際に「備蓄」に走る自動車メーカーも
なお、現在自動車メーカーの多くは「ジャスト・イン・タイム方式(カンバン方式)」を採用しているために過剰な在庫を持つことはないものの、フォルクスワーゲングループでは将来的にガラスが不足することを見越してガラスの備蓄を開始したと報じられており、もしかするとこのガラス不足は今後大きな問題となるのかもしれません。
このガラス不足の背景についてですが、欧州におけるエネルギーコストが上昇していることが問題なのだといい、その原因は例によって「ロシア問題」。
ガラスの製造には、砂、ソーダ灰、石灰石や天然ガスが必要ですが、その天然ガスの価格が、ロシアのウクライナ侵攻以降急騰しているといい、冬になると(暖房需要があるため?)さらに価格が高騰する可能性があると報じられています。
なお、ドイツはロシアからの天然資源に多くを依存しており、天然ガスの約40%はロシアから輸入したものだとされています。
さらにロシアはドイツ北東部へのパイプライン(ノルドストリーム1)を3日間停止すると発表しており、どうやらガラス不足は現実のものとなるのかも(ガラスの製造が難しくなるほか、製造したとしてもクルマに使用できる価格ではなくなる)。
「ビールメーカー」もガラスの手配に苦慮
なお、ガラスの不足に頭を悩ませているのは、自動車業界だけではなく、ドイツのビールメーカーBrauerei C. & A. Veltinsは、ガラスの価格が最大90%上昇したため、これまで年間を通じてガラス瓶を契約し、必要な分だけを随時分納してもらっていた(年間消費量を想定し、サプライヤーと契約する)通常の購買方法を変更し、今年1年の需要に相当する5000万本のガラス瓶を注文し、これによって「(価格が上る前に)買い占めを行った」とも報じられています。
上述の通りドイツはその資源をロシアに大きく依存していますが、ロシアに対して「制裁」を行うこと、そして世論に配慮するとロシアからの輸入を行いたくないというのが偽らざるところだと思いますが、実際にそうすると国内経済や国民の生活が破綻するため、「条件付きで」輸入を再開するケースも報じられており、あらためてロシアの重要性がクローズアップされている状況でもありますね。
合わせて読みたい、関連投稿
-
ウクライナ情勢に関連しポルシェ全モデルの生産が停止するとの報道。なおウクライナはチップの製造に必要なネオンの70%、ロシアは触媒に用いるパラジウムの40%を産出
| 販売のみではなく、確実に自動車産業の生産現場にまでダメージが及びそう | おそらくは自動車以外の家電やゲーム機の生産にも影響が出るのは間違いはない さて、ポルシェ内部にて共有されたメモとされる文書 ...
続きを見る
-
ルノーがロシア撤退に伴い所有していたアフトヴァースをモスクワ市に売却。これで「45年ぶりに」ラーダ・ニーヴァのモデルチェンジがなされるという計画も水の泡に
| ただし6年の間に状況が改善すれば、ルノーはアフトヴァースの株式を買い戻せるらしい | ルノーは今回の撤退に伴い3000億円もの損失を計上 さて、ロシアによるウクライナ侵攻によって多くの企業が影響を ...
続きを見る