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ウクライナ情勢に関連しポルシェ全モデルの生産が停止するとの報道。なおウクライナはチップの製造に必要なネオンの70%、ロシアは触媒に用いるパラジウムの40%を産出

2022/03/10

ポルシェ

| 販売のみではなく、確実に自動車産業の生産現場にまでダメージが及びそう |

おそらくは自動車以外の家電やゲーム機の生産にも影響が出るのは間違いはない

さて、ポルシェ内部にて共有されたメモとされる文書が出回っており、これによると現在のウクライナ情勢が「ポルシェの全モデルの生産に影響を及ぼす」ことになるもよう。

これはポルシェの工場が直接の被害を受けているわけではなく、そのサプライチェーンに滞りが生じ、そのためにクルマの生産ができなくなるというものですが、このメモによると、ポルシェは3月17日に911 GT3と911 GT3ツーリングモデルの生産を一時停止し、3月31日に他すべての911モデルの生産を停止し、さらに3月14日に718ケイマンとボクスター、3月7日にカイエン、3月2日にマカンとパナメーラ、3月3日にタイカンの生産を一時停止する、もしくは停止したということになりますね。

ポルシェにとっても状況を「判断しにくい」状況に

なお、3月2日に停止された生産ラインは3月11日まで再開されないことが断片的に確認されているものの、ポルシェからは今のところ公的な発表はなく、同社広報はカーメディアに対して「我社のツッフェンハウゼン工場はまだ影響を受けていないが、それは長くは続かないかもしれない」と語り、「今後数日から数週間、我々は細かく状況をチェクし、判断することになる」と述べているという報道も。

参考までに、ポルシェはロシア全土で26のポルシェセンター(正規ディーラー)を運営しており、2021年度にはロシアに合計6,262台が納車されていて、これは昨年ポルシェが世界中で納車した301,915台のうちの「少し」ではあるものの、それ以上に生産に関する影響のほうが大きいということになるのかもしれません。

このままではさらなる「チップ不足」に陥る可能性も

そして今回のウクライナ情勢についてさらに問題となりそうなのが「深刻なマイクロチップ(半導体)不足に拍車をかける」可能性。

というのもウクライナはチップの生産に欠かせないネオン(ガス)産出国であり、じつに世界の需要の70%をカバーしていると言われます。

このネオンガスはチップに回路パターンを転写する際のレーザー光の原料となり、半導体業界に限っては90%程度のネオンがウクライナ産だという統計もあるほどで(旧ソ連時代に、レーザー兵器の開発を集中して行っていたことに関係しているらしい)、つまりウクライナからのネオンの出荷が滞ってしまうと半導体の生産もできなくなってしまい、結果的にクルマの生産もできなくなってしまうわけですね。

ちなみに現在、ウクライナ南部のオデッサにあるネオン精製工場はロシアの侵攻によって停止しており、出荷元の港も機能を失っているというので、各半導体工場は「ネオンのストックが尽きれば」もうマイクロチップの生産ができないということに。

さらに困ることに、ロシアはパラジウムの世界生産における40%を占めるといい、このパラジウムは排気ガスをクリーンにする触媒に使用されていて、これの輸出が停滞するとこれまた自動車の生産が難しくなってきます。

これらの資源については他の国からも調達が可能だといい、よって致命的な影響とはなりえないという見方もあるようですが、短期的には入手が困難となり、もしくは価格が高騰することも否定できず、今後の動向に注目が集まるところですね。

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参照:Motor1, Carscoops

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