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【マクラーレンW1に採用】AI×3Dプリンティングで生まれた驚異の米国製サスペンションパーツは今後の”主流”となりうるか?【動画】

【マクラーレンW1に採用】AI×3Dプリンティングで生まれた驚異の米国製サスペンションパーツは今後の”主流”となりうるか?【動画】

| マクラーレンW1は「英国の誇り」、だが中身には“アメリカの技術力”も |

マクラーレンが次期フラッグシップモデルとして開発中の「W1」。

英国を代表するスーパーカーとしての期待が高まる一方、その製造にはアメリカの革新的技術が深く関わっていることがちょっとした話題に。

そのキープレイヤーが、カリフォルニアに本拠を置く「Divergent Technologies Inc.(ダイバージェント・テクノロジーズ)」で、マクラーレンはW1のサスペンション構成部品の一部へとこのダイバージェント・テクノロジーズが手がけた3Dプリントパーツを採用しており、その製造工程が実に未来的ということにも注目が集まっています。

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「AIで設計」「レーザーで金属を焼結」ダイバージェント・テクノロジーズの2本柱

まず、ダイバージェント・テクノロジーズの技術は大きく分けて以下の2つの柱から成り立つことに。

1. AIによる設計最適化

ダイバージェント・テクノロジーズのAIは、部品に求められる強度・スペース・応力を分析し、「必要最小限の素材だけを残して設計する」というアプローチを採用。

その結果生まれる部品は、一見奇妙で有機的な形状をしていることもありますが、それこそが強度と軽量性を両立させた最適解なのだそう。

2. 3D金属プリンティング(レーザーパウダーベッド融合)

部品はレーザーによる金属粉末の層積・溶融によって一層ずつ造形されますが、これにより、鋳造やプレス成型では不可能な形状や内部構造を持った部品の製造が可能となり、軽量かつ高性能な部品を小ロットで迅速に生産できるわけですね。

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制約の多い従来工法からの脱却、「型がいらない」柔軟性

この方式のもうひとつの大きな利点は「ツーリング(金型や工作機械の製作)が不要」という点。

従来の製造方法では金型や治具が必要ですが、3Dプリントではデータを変更すれば即座に仕様変更が可能で、マクラーレンのように試作を繰り返すスーパーカーメーカーにとって、これは開発速度という点で大きな武器になりえます(もちろん少量生産車の場合、そのコストを大きく節約できる)。

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ダイバージェント・テクノロジーズの技術はマクラーレンだけでなく、ブガッティやCzinger(ジンガー)も採用

ダイバージェント・テクノロジーズの技術力は他メーカーにも認められており、同社の経営者が立ち上げたアメリカの新興スーパーカーメーカー「Czinger(ジンガー)」はもちろん、ブガッティの最新モデル「トゥールビヨン」にもダイバージェント・テクノロジーズ製のパーツが採用される予定であることがアナウンスされており、そして時期的なもの、そのデザイン等を見るに、フェラーリの最新ハイパーカー「F80」に採用されるサスペンションアームも同社の手によるものかもしれません(フェラーリはこれについて言及していない)。

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特にジンガーが採用している「BrakeNode(ブレーキノード)」という構造は、ステアリングナックル、キャリパーマウント、ブレーキラインを一体化させたもので、軽量化と機能性を兼ね備えた画期的なユニットとして注目されており、今後はさらなる拡大採用が期待されているところです。

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アメリカの“ものづくり革命”がスーパーカーを変える

低生産台数・高性能を追求するスーパーカーメーカーにとって、ダイバージェント・テクノロジーズのような企業の存在はもはや不可欠でで、製造工程における「柔軟性」と「最適化設計」を武器に、今後も多くのハイエンドカーに採用されていくこと、そして採用部位が拡大されていくことは間違いなく、マクラーレンW1がどのような仕上がりになるのか、そしてそれを支えるアメリカ発の革新技術が、スーパーカーの未来をどう形作っていくのか、今後の展開に注目したいと思います。

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参照:McLaren Automotive(Youtube)

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  • この記事を書いた人

JUN

2013年より当ブログを運営中。 国産スポーツカー、ポルシェ、ランボルギーニ、フェラーリ等を乗り継ぎ現在に至ります。 単なる情報の記載にとどまらず、なにかしら自分の意見を添え、加えてクルマにまつわる関連情報(保険やメンテナンスなど)を提供するなど「カーライフを豊かにする」情報発信を心がけています。 いくつかのカーメディアにも寄稿中。

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