やはりポルシェのエアロダイナミクスは徹底的に考え抜かれていた
さて、ポルシェ718ケイマンを洗車。
寒い季節での洗車ですが、できるだけ暖かく風のない日を選んで洗っています。
最近はずっと雨が続いていたために比較的汚れが乗っている状態での洗車となり、けっこうな時間を要することに(2時間くらい)。
最近はケイマンの洗車にも慣れてきて効率も上がってきてはいるものの、洗車の度に気づくこともまだまだ多く、今回はそういったうちの一つを紹介してみたいと思います。
ケイマンのリアスポイラーはあんなに小さくて機能するのか?
ポルシェ718ケイマンのリアにはダックテール形状のリアスポイラーが備わっていますが、このサイズは非常に小さいもの。
このサイズでちゃんとダウンフォースを得られるのか?と心配になるものの(一定速度以上になるとスポイラーが上昇する)、リアスポイラーに十分なエアを導くことができているようで、ちゃんと機能しているということが今回判明。
というのもリアフェンダーから水を流してみると、リアフェンダーから車体後部中央にエアが集まる構造を採用していることがわかり、水の流れを空気の流れだと考えた場合、リアスポイラーの機能が視覚的に理解できたわけですね(もちろんポルシェは意味のないデザインを採用しないので、リアスポイラーが機能することはわかっていますが)。
こちらがその動画で、水がリアスポイラーに導かれてゆく様子がわかります。
エアロダイナミクスの向上はリアのダウンフォースを著しく増加させた
なお、こういった車体後部のリフトを抑える構造については年々進歩していて、その先鞭は「フェラーリ599」じゃないかと考えています。
フェラーリ599はCピラーがフローとしていて、そこからエアを車体後部中央へと流し込む構造を採用していますが、こういった感じで「キャビンの後ろを絞り込む」のが最近の流行。
たとえばそれはマクラーレンに顕著で、720Sは上から見るとまさにキャビン形状がまさに「バブル形状」を持つことがわかります。
フロントで受けた風がフェンダーを伝って左右に分かれ、それがキャビン脇を流れてまた車体後部の中心近くに集まるといったことがイメージできるデザインですね(マクラーレン史上最速を誇る”スピードテール”ではその傾向がさらに顕著)。※マクラーレンはボディサイドのエアフロー改善にも力を入れている
フェラーリ488やランボルギーニ・ウラカンもエアロダイナミクスの向上によって、先代で採用されていたリトラクタブル式リアウイングが不要になったとしていますが、これもボディ上部やキャビン横を流れるエアをうまくコントロールすることによって達成できたのかもしれません。
なお、アストンマーティンDB11もキャビン横を伝うエアを有効に利用していて、これによって高いダウンフォースを獲得している、とも説明されています。
そしてその構造は「ヴァルキリー」にも採用されていますが、こちらはフロントフェンダーにも同様の「ボディ内側を流した風を外に放出する」構造が見られるので、アストンマーティンはこの手法に有用性を見出している、と考えて良さそう。
こうやってみると各社ともそのエアロダイナミクスへの取り組み方が異なりますが、水の流れを見ていてもそれがわかるというのはけっこう面白く、たとえばフェラーリ488ピスタを洗車したりしていると、「ここから入った水がこんなところから出てくるのか」といった驚きがあるのかもしれませんね。