| この美しさだと、エンツォ・フェラーリが存命であったとしても怒るまい |
さて、先日より製作状態がチラホラと公開されていた「フェラーリ・ブレッドバン・オマージュ」。
これはコーチビルダー、「Niels van Roij Design」によって製作されたもので、ネタ元の”オリジナル”は1962年に製作されたフェラーリ250GT SWB ブレッドバン。
これを現代に蘇らせたのが今回のフェラーリ・ブレッドバン・オマージュということになり、ベースは550マラネロだと発表されています。
もともとのフェラーリ250GT SWB ブレッドバンはこんなクルマ
そこで元祖フェラーリ・ブレッドバンについて触れておく必要がありますが、これは1962年、250GT SWBをベースにボルピ・デ・ミスラータ伯爵の命によって製作されたクルマ(数台が存在するようだ)。
ピエロ・ドロゴ、ジオット・ビッザリーニの手によってデザイン・製造され、文字通り「ワゴンボディ」を持つことが特徴です。
なお、「ブレッドバン」は当時正式名称ではなかったものの、これを見たイギリスの辛辣なマスコミが「パン屋のバン」に似ていることからブレッドバンと呼ぶことになり、これがそのまま定着することに。
ボルピ・デ・ミスラータ伯爵がこのクルマの製作を命じた理由は「自らの手でフェラーリ250GTOを打ち負かす」ためだとされ、そのために空力改善を目的としてこの”コーダトロンカ状”ボディを架装しています。
ちなみに戦績としては芳しくはなく、トラブルに泣かされたという記録が残りますが、空力に優れていたため、ここ一発の速さを見せたという話もあるもよう。
当時はエンツォ・フェラーリの怒りを買ったとも言われますが(La Camionnette=小さなトラックとも呼ばれたこの外観を許容できなかったのだと思う)、後年になってフェラーリはこれを公式に認めており、2012年には250GT SWBともどもフェラーリ・ミュージアムに展示されています。
フェラーリ・ブレッドバン・オマージュはこんなクルマ
そこで最新の「フェラーリ・ブレッドバン・オマージュ」。
一見すると「意外と美しい」という印象を受けるクルマであり、芸術性の高さも感じさせるほど。
もともとのフェラーリ・ブレッドバンに採用されるフロントバンパー上の丸いエアインテーク、形は異なれどドライビングランプ、フロントの「斜めに切り上がった」エアインテーク、ボンネット上のバブル型ドームも再現されています。
フロントフェンダー、Bピラー以降のパネルには、これもオリジナルのフェラーリ250GT SWB ブレッドバンに採用されていたダクトが再現されています。
リアエンドはもちろん、スッパリ切り落としたコーダトロンカ。
テールパイプは見るからに高品質そうなステンレススティール。
バブル状クリアドームからは(当時そうだったようにキャブレターではなく)エンジンヘッドカバーが覗きます。
ただし、このヘッドカバーにはポリッシュがかけられ、かつエイジング加工が施されているようにも見えますね。
ボディパネルにはNiels van Roij Designのプレート。
ボディパネルはすべて新しく専用デザインをもって作り直され、当時と同じく職人がハンマーで叩いて成形している、とのこと。
ガソリンタンクキャップも当時を思わせるクラシックなデザイン(本当にアンティーク品かもしれない)。
フェラーリ・ブレッドバン・オマージュのインテリアはこうなっている
そしてこちらはフェラーリ・ブレッドバン・オマージュのインテリア。
エクステリア同様にほぼ全てが作り変えられ、レトロかつゴージャスな雰囲気に。
ブラックレザーにアルミ削り出しパーツが使用され、シートはブルーのアルカンターラ。
トランスミッションは6速マニュアル。
ドアインナーパネルやセンターコンソールにはダイヤモンドステッチ。
トリムには「アンティーク加工が施されたアルミ」が使用されているように見えますね。
サイドシルには「BREADVAN HOMMAFE」の刻印。
ちなみにボディ上やステアリングホイール、ホイールセンターキャップ等にはフェラーリの文字やエンブレム、プランシングホース(跳ね馬)が一切なく、もしかするとフェラーリからのクレームを恐れたのかも。
ヘッドレストにはブレッドバンのシルエットが入ります。
こちらは荷室の中。
ダイヤモンドステッチで覆われ、やはりゴージャスな雰囲気ですね。
微に入り細に入り究極のこだわりが発揮された一台だということがわかり、これだとフェラーリも文句は言わないんじゃないかと考えています。
フェラーリ・ブレッドバン・オマージュのプロモーションビデオもアーティスティックだった
そしてNiels van Roij Designは今回、オフィシャルフォトに合わせてフェラーリ・ブレッドバン・オマージュのプロモーションビデオも公開。
こちらがなかなかにシュールというかアーティスティックな仕上がりとなっていて、あわせて紹介したいと思います。
まず動画に登場するのはスーツを着た一人の男性。
ジャケットのベントがときどきめくれ、チラリと赤い裏地が見えるのがなんともオシャレ。
腕時計はパネライ。
そして工房にて仕様や仕上がりをチェックする様子が描かれます。
ソックスも「レッド」ですね。
ベストの背面もレッド(これはオシャレ)。
このほか、動画ではフェラーリ・ブレッドバン・オマージュの制作風景も見ることができます。
フェラーリ・ブレッドバン・オマージュを紹介する動画はこちら
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