
Image:Maserati
| サーキットの頂点へ、100年の伝統が導く新たな挑戦 |
まさかマセラティがグラントゥーリズモをレーシングカーに仕立て上げるとは
2026年7月、英国で開催された「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2026」にて、マセラティのレース部門であるマセラティ・コルセ(Maserati Corse)が新型グラントゥーリズモをベースにした最新のレーシングプログラム「プロジェクトGT4(Project GT4)」を世界初公開することに。
創業者たちの情熱が宿る「三叉銛(トライデント)」のエンブレム誕生100周年、そしてマセラティのレース参戦100周年という記念すべき年に発表されたこのマシンは2028年シーズンに世界のGT4カテゴリーへ殴り込みをかけ、勝利を掴み取るために開発された「本気のレーシングカー」。
ここでその内容を見てみましょう。
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マセラティのエンブレム「トライデント」は今年で100周年。モータースポーツへの情熱が生んだ至高のシンボルが刻む新章スタート、本国では記念切手も発売
| マセラティ=高級車というイメージが強い現代ではあるが | かつてはモータースポーツにおいて圧倒的な強さを誇ったのがマセラティである 2026年、イタリアが世界に誇るラグジュアリーカーブランド「マセ ...
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この記事の要約(クイックチェック)
- 2028年の勝利への布石:国際的に最も活気のあるGT4カテゴリーへの参戦を見据え、2028年シーズンからの実戦投入を目標に開発。
- グラントゥーリズモがベース:美しい市販型「新型グラントゥーリズモ」のアーキテクチャとデザインをダイレクトに継承。
- 驚異の400kg軽量化:公道仕様から約400kgのウェイトを削ぎ落とし、アルミプラットフォームを徹底最適化。
- F1由来のV6ネットゥーノ:心臓部にはF1の副室燃焼技術をフィードバックした3.0L V6ツインターボエンジンをフロントミッドに搭載。
- 100周年を祝う特別リバリー:往年の名車「420M/58 エルドラド」をオマージュしたホワイトのフロントと、モデナ市を象徴するブルー&イエローを纏う。

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公道とサーキットを繋ぐ「トライデント」100年目のマイルストーン
現代のマセラティというと「高級車」というイメージが強いものの、本来マセラティにとって「レースで培った技術を市販車にフィードバックし、市販車の優れた素性を再びレースに活かす」というサイクルはブランドの根幹をなす哲学です。
実際のところ、マセラティ・コルセの責任者であるヴィンセント・ビアード氏はグッドウッドの舞台で次のように熱く語っており・・・。
「プロジェクトGT4は、マセラティ・コルセの進化における自然なステップであり、GTレースの未来に対する我々のビジョンを完成させるものです。先行するGT2での経験を活かし、近年培った技術的・運用的ノウハウをすべてこのGT4カテゴリーに投入します。我々の目標は明確です。マセラティを選ぶチームやドライバーにとって、競争力があり、信頼性が高く、かつ扱いやすいマシンを開発することです。2028年シーズンに最高峰のレベルで戦えるよう、すでに開発はスタートしています」
現在マセラティは、欧州GT2シリーズなどで活躍する「マセラティ GT2」や、限定62台のサーキット専用モンスター「MCXtrema(MCエクストレーマ)」を展開していますが、今回のプロジェクトGT4が加わることで、プライベーター向けレース活動のパズルがすべて完成することとなるわけですね。

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マセラティ プロジェクト GT4:車種概要
マセラティ プロジェクトGT4の最大の強みはベースとなる新型グラントゥーリズモの素性の良さをそのまま活かしている点で、これによりレーシングカーとしての高い戦闘力を確保しながらもチーム側の維持・管理コストを低く抑えるという、カスタマーレーシングにおいて最も重要な要素をクリアしています。
外観は市販車の美しいスタイリングランゲージを維持しつつ、すべて機能的根拠に基づいて設計された空力パーツ(大型フロントスプリッター、ダイブプレーン、専用ボンネットなど)にて固められ、インテリアにおいてもグラントゥーリズモのダッシュボードの面影を残しながらもサーキットでの人間工学と効率性を極限まで追求したコックピットへと生まれ変わっています。
なお、車両の開発には世界チャンピオンに幾度となく輝いたマセラティのチーフテストドライバー、アンドレア・ベルトリーニ氏が深く関わっているといい、そのセットアップや信頼性の高さは折り紙付きということになりそうですね。
マセラティ プロジェクトGT4(開発プロトタイプ)主要スペック
| 項目 | レーシングスペック詳細 |
| ベース車両 | 新型マセラティ グラントゥーリズモ(New GranTurismo) |
| エンジン | 3.0リッター V6「Nettuno(ネットゥーノ)」ツインターボ |
| エンジン配置 | フロント縦置き(フロントミッドシップ) |
| テクノロジー | F1由来のプレチェンバー(副室)燃焼システム |
| 最高出力 | アプリケーションにより700 CV以上も可能(GT4規制に合わせて調整) |
| 駆動方式 | 後輪駆動(RWD) |
| シャシー基盤 | 最適化された高剛性アルミニウムプラットフォーム |
| 車両重量 | 市販ロードカー(GranTurismo)比で約400 kgの軽量化 |
| サスペンション | グラントゥーリズモ・トロフェオ直系の足回り(調整式ダンパー&スタビライザー) |
| 専用レース装備 | GT4規制適合18インチホイール、専用ブレーキ&冷却システム、安全ロールケージ、公認バケットシート&燃料タンク、フロントスプリッター、カナード |

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世界的に最も熱い「GT4カテゴリー」で、かつての栄光を再現する
現在、国際的なモータースポーツシーンにおいて「GT4」は、ポルシェ、BMW、アストンマーティン、トヨタなどが市販スポーツカーをベースに鎬を削る、最もエキサイティングで成長著しいセグメントです。
マセラティは今世紀初頭、伝説的なハイパーカー「MC12」でGT1カテゴリーを席巻し、その後もグランスポーツをベースにした「トロフェオ・ライトGT4」や「グラントゥーリズモMC GT4」で、GT4のヨーロッパカップやシリーズ戦で数々の勝利を収めてきたという歴史があり、今回のプロジェクトGT4は、まさにその「勝ちパターン」への回帰ともいえるもの。
ライバルたちがピュアスポーツ(2シーター)をベースにする中、マセラティはあえて美しいラグジュアリー・グランドツアラー(GT)の骨格のままで徹底した軽量化とバランスの良さで勝負に挑むという、極めてエレガントかつ挑戦的な立ち位置を選択することに。
これは、かつてのGTレース黄金期を知るオールドファンにとっても胸が熱くなるアプローチであり、マセラティの復活を期待したくなる”プロジェクト”でもありますね。
結論:伝統をまとい未来へ加速する、マセラティの美学
グッドウッド2026で披露された特別リバリーは、ルーフからリアへ流れる巨大なトライデント、そしてモデナ市を象徴するブルー&イエローのアクセントが施され、フロントのホワイトは1958年の高名なレーシングカー「420M/58 エルドラド」へのリスペクトを表すもの。
過去100年の栄光を背負い、次の100年のモータースポーツ投資を確固たるものにするために誕生したプロジェクトGT4。
イタリアの「モーターバレー」の中心地、モデナで磨き上げられたこの美しい駿馬が2028年にサーキットで再び勝利の雄叫びをあげる瞬間が今から待ち遠しくてならない、といったところでもありますね。

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なぜ今、レース界で「3.0L V6」が最強の最適解とされるのか?
かつてのマセラティといえば、フェラーリ製の高らかなV8自然吸気エンジンのイメージが強かったかもしれませんが、しかし現在の最新フラッグシップに搭載されているのは自社開発の3.0L V6「ネットゥーノ(Nettuno)」エンジンです。
なぜマルチシリンダー(V8やV12)ではなくV6が選ばれるのか?そこには現代のレーシングカー開発における「パッケージングと重量配分のシビアな現実」があり、V6エンジンはV8に比べて全長が短く、フロントミッドシップ(前輪の車軸より後ろ側)にエンジンを寄せて配置することが格段に容易になるわけですね。
これによりクルマの中心に重量物を集める「慣性モーメントの低減」が可能になり、コーナーでの回頭性が劇的に向上するという効果をもたらしますが、さらに排気量が小さくともF1譲りのプレチェンバー(副室燃焼)技術とツインターボを組み合わせることで、レース仕様で700馬力以上を叩き出すポテンシャルを秘めており、十分に「勝てる」可能性を持つのがこのV6ネットゥーノというわけですね。
つまり、「軽くてコンパクト、それでいて大排気量V8以上のパワーを出せる」というV6ネットゥーノこそ、400kgもの軽量化を施してサーキットのコーナーをハイスピードで駆け抜けるプロジェクトGT4にとっての「これ以上ない”最強の心臓”」ということになり、技術の進化が伝統のGTをピュアレーサーへと変貌させたというのが今回の「プロジェクト GT4」ということになりそうです。
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