| シティは海の向こうでセダンになって生きながらえていた |
さて、ホンダが新型「シティ」を11月25日に発表する、とアナウンス。
ホンダいわく「スポーティで高級な」エクステリア、「広く余裕のある」インテリアを持つ、とのこと。
加えて、新しいターボエンジンが与えられ、従来モデルよりも33%パワフルで効率的になっているとも述べています。
ただ、ここで注意しなくてはならないのは、この「シティ」とは海外専用モデルとして販売されている「セダンボディの」シティであって、ぼくらの知る、「3ドアハッチバックの」シティとは異なる、ということ。
ボクの知るシティはこれだ
そしてぼくたち日本人の想像する「シティ」はこのクルマ。
1981年に登場した名車で、「トールボーイ」というコンセプトのもと、背の高さをウリにしたクルマ。
当時は「クルマは低いほどカッコいい」という通念があったので、初代シティはこれに真っ向からぶつかっていった、ホンダらしいクルマだと認識しています。
この初代シティについてもうひとつ触れておくべきはそのプロモーション。
「ホンダホンダホンダホンダ」を連呼するマッドネス(イギリスのバンド)によるムカデダンスを用いたことがシティの認知度向上を促進した、と言われています。
このマッドネス採用については、当時社内とくに上層部の大きな反対があったといいますが、当時のスタッフが情熱を持って説得にあたり、なんとか了承を取り付けて実現に至った、とホンダ公式コンテンツ「語り継ぎたいこと」に記載されています。
さらに、コンパクトカーであるシティに搭載できるバイク「モトコンポ」の発売も大きな話題となり、ある意味で当時は「もっともホンダがホンダらしかった時代」でもあり、その象徴がシティでもある、と考えています。
二代目シティはロー&ワイド
そして1986年にシティはモデルチェンジを迎えますが、なぜかホンダは「トールボーイ」スタイルを捨て、ロー&ワイドに。
ホンダは「ヒットした車種のモデルチェンジは、先代とは異なるチームに担当させる」という方針があるとは聞いて、それも「先代の威光に頼らない」「先代を超えるモノを作る」という考え方からくるものかもしれません。
この二代目シティについては、重心が低く車体が軽量、ということから一部の走り屋(といってもジムカーナ系)にも人気があったようです。
日本人が知らない「シティ」に
二代目シティは1993年に販売が終了され、ついぞ日本では復活することがありませんでしたが、海の向こうでは1996年にシティが復活。
ただしボディ形状は「セダン」となり、ぼくらにとっては馴染みのないのがこのシティ。
なお、ホンダは世界中、また2輪と4輪とで名称を使い回すことが多く、「ビート」「ストリーム」ももとはバイクの名で、「トゥデイ」は逆にクルマからバイクへ。
このシティは「クルマからクルマ」ではあるものの、すっかり姿を変えてしまった、ということになります。
そして「新シティ」の2代目は2002年に登場。
日本では「フィットアリア」の名で発売されていますね。
3代目は2008年に発売開始。
南アフリカでは「バラード」として発売されていますが、日本でのバラードは1980年に登場したコンパクトセダンであり、その後「バラードスポーツCR-X」へと発展し、その後「CR-X」へ。
参考までに、「インテグラ」は当初「クイントインテグラ」としてデビューして、その後「クイント」が取れて「インテグラ」に。
ホンダに限らずですが、こういった「名前の分割や独立」はけっこう多いようですね。
そして4代目シティは2014年に登場。
日本では「グレイス」の名で販売されています。
ホンダ(のタイ法人)によると、シティの販売は好調で、シェアも順調に拡大中。
そして累計販売台数は400万台に達したとのこと。
これから発表される「5代目シティ」がどんなクルマになるのかは不明ですが、おそらくはフィットをベースにしたセダンになると思われ、名を変えて日本でも販売されるのかもしれませんね。
VIA: Honda Thailand