トヨタもカーデザインにAIを導入。「未来的」「空力優先」などプロンプトを入力することでデザイン候補が示され、デザインプロセスを大幅に短縮可能に【動画】

｜　自動車メーカー各社ともデザインや設計にAIを積極導入、ただしその活用方法は微妙に異なる　｜

AIはまだまだ発展途上であり、今後は思いもよらない活用方法が見つかるかも

さて、アウディやBMW、日産が「車体のデザインや設計にAIを取り入れた」と発表していますが、もちろんトヨタもAIを取り入れており、今回「より効率的に車体のデザインを行える」新しいツールを公開しています。

このシステムはトヨタ・リサーチ・インスティテュート（TRI）が開発したもので、創造的プロセスの初期段階でデザイナーを支援するためにジェネレーティブAIを使用していることが特徴です。

トヨタの開発した「車両デザインAI」はどうやって使うのか？

そこでトヨタのデザイナーがこのAIソフトをどうやって活用しているのかを見てみたいと思いますが・・・。

まずは「自分のデザインを未来的でスリークでエアロダイナミクスに優れるバージョンにしてみて」とプロンプトを入力すると・・・。

こんな感じで3つの候補が生成されます。

そしてこれらの案を検討し・・・。

様々な調整を加え・・・。

より現実的なデザインへと変化させることができるわけですね。

まだまだAIが独自にデザインを行うことはできないが

各自動車メーカーが導入しているAIに共通するのが「AIでデザインを完結させるのではなく、AIはあくまでも人間のデザイナーの補助として活用している」ということ。

人間のデザイナーにインスピレーションを与えたり、面倒な計算をAIに行わせることでデザインや設計の効率を向上させているわけですが、今回トヨタが公開したソフトでは、画像を生成する際にドラッグ（空気抵抗）の数値やシャーシ寸法などの制約を入力でき、これによって今まで「人の手で行っていた複雑な計算」をAIに任せることが可能となります。

ただしまだまだ対応ができない部分もあるようで、トヨタ・リサーチ・インスティテュート（TRI）のヒューマン・インタラクティブ・ドライビング（HID）部門のディレクター、アビナッシュ・バラチャンドラン氏によれば、「ジェネレーティブAIツールは、デザイナーのインスピレーションとして活用でき、トヨタの伝統的なエンジニアリングの強みと、最新のジェネレーティブAIの能力を組み合わせたものではありますが、まだ実際の自動車設計に関わる複雑なエンジニアリングや安全性の検討には対応できません」。

一方で、上述の通り空気抵抗やデザイン的要素について対応することは十分に可能であり、とくにこれからのEV時代において重要となる、空気抵抗に関わる（人間が行う）計算を簡素化できるところは非常に有用だと考えられます。

実際のところ、トヨタは「ジェネレーティブAIが電動化車両をより迅速かつ効率的に設計するのに役立つ」ともコメントしており、今後のカーデザインにおけるAI活用のあり方を一歩推し進めることができるかもしれません。

ちなみにですが、日産が公開したAIは「ジェネレーティブ」ではなく、デザイナーが（画面上で）作成した車両の空力特性を計算してくれるというもので、こちらも「今までだと非常に手間のかかっていた」設計プロセスを大きく単種することが可能になったと紹介されていますね。

トヨタの開発したAIデザインソフトを紹介する動画はこちら

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参照：Toyota Research Institute