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日産もAIの活用を本格化!従来の方法では計算に時間のかかった空力学に応用するほか、そもそもどうAIを役に立てることができるかの研究も

2023/06/16

日産もAIの活用を本格化!従来の方法では計算に時間のかかった空力学に応用するほか、そもそもどうAIを役に立てることができるかの研究も

| まだまだAIの活用ははじまったばかり。どう使うかによってその結果が大きく左右される |

AIの普及によって一部の職は失われるだろうが、逆に「AIを使う人」「AIを検証する人」といった職種も誕生

さて、現在自動車業界ではAIの導入が進んでいますが、今回は日産が取り入れたAIの活用に関するニュース。

報道によれば、日産は車両の(外観の)デザインではなく設計段階においてAIを導入しているといい、すでに横浜ラボにおいてAIを用いた作業を行っているのだそう。

なお、AIに関しては、BMWとアウディがデザインプロセスにおいてAIを導入したことを公表しており、そのほか新興ハイパーカーメーカーCzinger(シンガー)では車両の設計に際してAIを取り入れていることが報じられていますね。

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日産自動車はAIをこう活用している

日産の横浜ラボは、エンジニアやデザイナーが直面する課題をAIがどのように解決できるかを理解することで、最終的にはシミュレーションを大幅に短縮し、より良い解決策を提供することを目指しているといい、つまりこのラボでは「AIそのもの」に関する研究を行い、いかに自動車の設計や開発にかかるコストを短縮するかということを追求しているもよう。

そして一つの例として挙げられているのが「空力学」だとされ、これは現在自動車の設計において相当な時間を要するジャンルだと説明されています。

Nissan (3)

日産のエアロダイナミクスエンジニア、赤坂氏によると「デザイナーからの突然の要望に素早く対応することは非常に難しい。エアロダイナミクスにかかわる計算は非常に複雑であり、デザインを少し変えただけで、それが空力にどう影響するのか、それを算出するのに多大な時間を要します。よって、この計算の結果をもっと早く知ることができれば設計の効率化に繋がるのです」。

かくして「この問題をAIで解決できないか」ということで、赤坂氏と横浜ラボとの共同プロジェクトが立ち上がり、AIのディープラーニングを使った予測モデルの開発を行うことに。

ただ、ここで「AIが予測を行うには、より多くのデータが必要である」という問題が発生し、AIにより多くのデータを学習させるものの、横浜ラボのデータサイエンティストである陳氏は「データが増えれば精度は上がりますが、データへの依存度も高くなります。これに取り組むため、我々は実験的に赤坂と協力し、クルマの形状に加えて流体力学の方程式やその他の物理法則などのペア情報を使って予測モデルを組み立てたのです」。

Nissan (2)

つまり日産はエアロダイナミクスの設計に際してAIを導入しており、これによって設計にかかる時間を短縮できるものの、データが少なければ演算結果の信頼性が不足し、データが多ければ演算結果の「データ依存度が高くなる」といういくつかの問題に直面したわけですが、画像生成でも言われているように、AIによる算出は「あくまでも既存のデータの範囲を出ない」とも考えられ、そこをどうやって補正してゆくかは大きな課題だと言えるかもしれません。

そう考えると、「AIの普及によって仕事を失う人」が多く出ると言われるものの、AIの出力したデータを検証・修正するという新しい仕事が逆に創出されることになり、これは仕事が奪われるどうこうの問題ではなく、仕事の進め方や工程が変わるだけだとも考えられます。

Nissan (4)

このほか、日産は「より安全なクルマを作るため」にもAIを活用しているといい、99.995%の精度でクルマの部品の状態を評価できる検査スキャナを開発してAIを用いた判断を行っているそうですが、このケースだと、AIは(部品の)画像を見て、システムに蓄積された入力データと比較し、解決策を提示するという”提案型”となっており、上述の”演算型”とはまた別の性質を持つようです。

いずれにせよ、AIの活用はまだまだ始まったばかりであり、これをどう活用してゆくか、そしてどう業務を効率化するのかについては「使う側」次第ということになり、つまりはここでも使う側=人による差が生じるということになりそうですね(Chat GPTやBardについても、ちゃんとプロンプトを入力できるかどうかによって、出力される回答の精度が大きく異なる)。

BMWもAIをデザイン制作プロセスに導入したもよう。「しかしAIは既存の画像を合成するだけなので、結局はどこかで見たことがあるようなものになってしまいます」
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参照:CARBUZZ

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