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ミライのオーナーがトヨタを相手に集団訴訟を起こし損害賠償を求める。「水素ステーションが使えない」「充填に何時間もかかる」「5年乗って売却価格が20%以下」

ミライのオーナーがトヨタを相手に集団訴訟を起こし損害賠償を求める。「水素ステーションが使えない」「充填に何時間もかかる」「5年乗って売却価格が20%以下」

| これらが事実だとすれば、たしかにミライのオーナーはちょっと可哀想ではあるが |

販売時にトヨタがどう言ったのかはわからないものの、結局買い物は自己責任である

さて、北米ではトヨタ・ミライが大幅値引きのうえ販売されているとも報じられていますが、今回はミライのオーナー複数が「水素を入手できない」「水素ステーションがほとんど機能していない」ことに腹を立て、「トヨタがミライの所有を(現実よりも)簡単なものであると購入時に誤認させた」として集団訴訟を起こしたとの報道。

訴状には「水素燃料補給ステーションを見つけるために長距離を運転しなければならない」「実際の航続可能距離がトヨタの主張よりも遥かに短い」という恨み節が書き連ねられており、その不満が「爆発した」といった感じです。

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実質的にトヨタ ミライは「使用不可能」

原告らは、稼働中の燃料補給ステーション不足、水素燃料の不足と価格の高騰、そしてトヨタが宣​​伝する数値を大きく下回るミライの残念な航続距離など多くの不満を指摘しているわけですが、彼らの主張によればミライは実質的に「使用不可能」。

さらには原告らはミライの購入検討時、「トヨタとその販売員から、水素燃料は常に利用可能であり、ミライへの燃料補給はシームレスである」「水素補給の便利さはガソリン給油と同程度である」という説明を受けたも述べています。

しかしながらミライ所有の現実は別の様相を呈しているといい、ミライの所有者やリース契約者は、適合する燃料補給ステーションを見つけるのに苦労することが多く、見つかったとしても長距離の運転が必要になることが多いとコメント。

さらにステーションに到着しても成功は保証されておらず、故障した機器や互換性のない燃料カードの問題で立ち往生する可能性があるとされ、そこで燃料補給ができないとミライが動かなくなり、レッカー車や別の交通手段が必要になるというのが原告の言い分です。

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さらにミライのユーザーは、水素燃料につき「十分な量を」入手できない可能性があり、燃料補給には「平均して何時間も」かかると述べ、この長いダウンタイムは、水素ポンプが凍結して車両にロックすることが原因であるもよう。

よってポンプのノズルが十分に温まって安全に切り離しができるようになるまで30分以上待たされるといい、これが事実であれば相当なストレスかもしれません。

加えて北米で販売されるミライ・リミテッド(575km)とミライ XLE(647km)の航続距離も非現実的であるとされ、原告らの主張によれば「実際はそれぞれ160kmほど少ない」。

そしてこの少ない航続距離が「水素ステーションへの往復」に費やされるため、移動の自由が大幅に制限されていること、さらには過去数年間の水素燃料の価格が200パーセント上昇したことにも触れていますが、この水素燃料の価格高騰は、購入時のインセンティブとしてトヨタから「5年分」として提供された(15,000ドルぶんの)燃料カードが「5年も持たない」ことを意味しており、これらを見るとまさに「踏んだり蹴ったり」。

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おまけに原告団は「これらの問題がミライの再販価値に深刻な影響を与えている」と主張し、5年間乗ると残存価値が19.4パーセントしか維持されないことにも触れ、こういった問題を総合しトヨタを「違法行為で告発し、損害賠償を求めている」こととなります。

参考までに、米国内では他の地域で水素燃料補給ステーションが不足していることから、(ミライは)カリフォルニア州でのみ販売およびリースされていて、今年初めには(水素ステーションを展開していた)シェルが供給問題によってカリフォルニア州55か所の水素ステーションのうち7か所を閉鎖すると発表し、FCEV所有者の生活をさらに複雑なものとしています。

日本国内だと、現在設置される水素ステーションは全部で160か所ありますが(次世代自動車振興センター調べ)、トヨタによれば、稼働中のステーションはそのうちの約半分である88か所のみとなっており、その名の通り自動車における未来とはなりえなかったようですね。

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