ボルボが「EVのみのライナップへの転換」を10年遅らせて2040年へ。EV完全転換を最初に発表した自動車メーカーのひとつではあったが、3つの要因により戦略を変更

｜　これはメルセデス・ベンツ、ポルシェ、GM、ベントレー等と同様の意向である　｜

そしてボルボはマイルドハイブリッド、プラグインハイブリッドへの注力を表明

さて、ボルボは電気自動車のみのラインナップ移行を約束した最初の自動車メーカーの1つであり、その最初の発表は2021年3月に行われています。

そして時が過ぎて2024年5月末、世の中で「EV離れ」が叫ばれるようになったときであっても、ボルボは「EVのみのポートフォリオはまだ十分に達成可能」であると主張し、同社CEO、ジム・ローワン氏はそこから約5年、つまり2030年には内燃機関搭載車を全廃できると考えていたわけですね。

しかしボルボは他の自動車メーカー同様に「目標を改める」

ただしその後急速にボルボのトーンが変わり、7月下旬に開催された最新の四半期投資家向けウェブキャストにて、ジム・ローワンCEOは、「完全な電動化のために世界のさまざまな地域をつなぐには時間がかかる」と認め、ここで暗に「2030年までに純粋なEVブランドになるという当初の目標は達成されない可能性がある」ことを認めています。

そして9月に入ったいま、ボルボはその高い電気自動車ラインアップへと移行するという当初の目標を正式に再調整しており、新しい目標は「2020年末までにプラグインハイブリッド車と電気自動車が年間売上高の90〜100％を占めるようにすること」。

裏を返すと「完全なガソリン車が最大で10％残される可能性があり」「EV比率を設定しているわけではないので、電動化車両の大半がPHEVとなる可能性もある」のだと考えてよく、EVシフトの旗手であったボルボが計画を変更したことは「それだけ状況が厳しい」ということなのかもしれません。

なお、ボルボは「EVの普及が予想よりも遅いのはい​​くつかの要因が関係している」ともコメントしており、その要因とは「充電インフラの普及ペースが遅いこと」「一部の国ではEVに対するインセンティブ（補助金など）が削減または完全に廃止されていること」そして「特定の市場で電気自動車に新たに適用された関税（ボルボの一部の電気自動車は中国製である）」。

参考までに、現在のボルボの販売台数のうち48％がPHEVとEV、そして電気自動車は26％となっており、新しい計画では上述のように「PHEVとEVとの合計で90～100％」とし、しかし”人々の要望をよりよく反映するため”、「戦略的調整」の一環としてマイルドハイブリッドおよびプラグインハイブリッドモデルへの投資を継続する予定だともコメントしていて、つまり短期的には（PHEVではない）ハイブリッドへの投資を続けることについても触れています。

加えて、新しい修正計画では「2040 年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにしたい」と述べており、これは当初の計画から「ラインアップの完全EV化」が10年も遅れてしまう、ということになりますね。

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