| いずれも「ありそう」ではあるが、ロレックスは非常に慎重にその戦略を練っているはずだ |
長期的に市場価値とブランド価値を向上させてゆくための行動を取ることは間違いない
さて、ロレックスが2022年の新作を発表するまであと1ヶ月ちょっとというところですが、そこでリークとされる情報含め様々な予想が出回っており、ひとつまとめてみたいと思います。
なお、これら予想は毎年なされるものの「当たった例」はほとんどなく、いずれも希望的観測が中心となっていることには注意を要するところ。
これは「新作」のみではなく「ディスコン(販売終了)」についても同様で、販売終了になると言われつつ、なかなか終了しないモデル(ミルガウスなど)も存在します。
ぼくの考えるところだと、ロレックスは生産量をもっともっと増やしたいはずで(すでに年間100万本を超えており、相当に多い)、しかし生産量を増やすと希少価値が下がってしまい、よって「全体的な生産量を増やしても、そのモデルあたりの生産量は増やさない」のかもしれません。
そうなると、モデルごとのバリエーションを多く持つ必要があり、しかしバリエーションが多くなるとそのモデルの個性が希薄化してしまうので、モデルごとの個性を際立たせるだろう、とも推測しています。
加えて、各モデルごとの(二次流通市場での)希少性を高めるためにモデルサイクルを早める可能性もありそうです。
よって、ぼくの考えるロレックスの方針は下記の通り。
- ブランド価値(中古相場)を高めることが大前提
- 総販売本数を増やしたい
- 総販売本数が増えても希少価値が下がらないようバリエーションを増やし、レファレンスナンバーごとの生産量を絞る
- 中古市場での価格高騰を狙い、各レファレンスナンバーの生産期間を短くし、生産数を絞る
- お互いのモデルが食い合わないよう、モデル間での差別化を拡大し、各モデルごとのファンと市場を育成する(マーベルのヒーローや、ディズニープリンセスのようなイメージ)
ヨットマスター チタン
まずは「ヨットマスター チタン」の登場が予想されており、これはラバーベルトそしてNATOストラップ両方がラインアップされるのでは、とも。
ロレックスは現在チタンケースを持たず、しかし姉妹ブランドのチューダーではチタンケースを採用しているため、これがロレックスにも転用されるのではないかと言われています。
ただ、ロレックスからチューダーへというトレンドの流れはあっても、その「逆」は考えにくく、加えてチューダーは「ブラックPVD」「シルバーケース」「ブロンズケース」「ファブリックストラップ」の採用などロレックスとの差別化を行うことを(ブランドの方針として)追求しており、ここで逆にその差が縮小させる(チューダーの独自性を奪ってしまう)ことはロレックスとしても本望ではないかもしれません。
加えて、ヨットマスターはもともと「セレブ向けのリゾートウォッチ」として開発され、プラチナやゴールドなどの貴金属をケースもしくはベゼル、または両方に持つことが特徴であり、よってチタンを採用することはその出自にもマッチしないだろう、とも考えています。
2022年モデルのGMTマスターIIはこう変わる?
GMTマスターII 41ミリ
ロレックスのスポーツモデルの代表格でもある「サブマリーナー」では2020年からケースサイズが41ミリへと拡大されており、そのちょっと前にはエクスプローラーIIのケースも42ミリへと拡大。
その流れを受け、GMTマスターIIのケースが41ミリに拡大されるのでは?とも予想されています。
これについては「ありそう」ではあるものの、サブマリーナーやエクスプローラーIIというハードなアウトドアウォッチとは異なり、GMTマスターIIはもともと(民間航空機の)パイロットウォッチとして誕生していて、つまりグローブやアウトドアウエアを着用する人向けではなく、シャツやジャケットを着用する人をユーザーそして想定した腕時計。
もちろん現代ではその意味合いは大きく変化し、必ずしも(サブマリーナーやエクスプローラー2含め)もともと意図された用途にて使用する人は少数派だとは思われるものの、GMTマスターII独自のポジション構築といったところを考えると、現行の40ミリを維持する可能性も(エクスプローラーが39ミリから36ミリとなり、その独自性を強めたのと同様に)ありそうです。
なお、ジュビリーブレス採用というところも「サブマリーナーやエクスプローラーIIとは異なる」GMTマスターIIならではの性格を表していると思われますが、その意味でも「ビジネスシーンにマッチするよう」40ミリを維持するんじゃないかと考えています。
GMTマスターII 「コーク(赤黒ベゼル)」復活
そしてもうひとつのGMTマスターIIの新作予想が「コーク」復活。
現在、ステンレススティールケース/ブレスレットを持つGMTマスターIIのベゼルは「レッド/ブルー」「ブラック/ブルー」の2種ですが、16710以降生産されていない「ブラック/レッド」がセラクロムベゼルにて蘇るのでは、とも見られています。
ちなみにGMTマスターIIは比較的モデルチェンジや小変更の頻度が多いように思われ、そしてロレックスの方針を考慮するに、これは「アリ」かもしれません。
GMTマスターIIにグリーンベセル
そして更に出ているウワサが「グリーンとブラック」の2トーンダイヤルの設定。
このカラーはこれまでGMTマスターには設定されたことがなく、そして「ブラックとのコンビ」だとサブマリーナー含めて他のモデルでも例を見ないもので、GMTマスターIIの独自性を際立たせるにはいい案かもしれません。
ただ、グリーンはロレックスのブランドカラーでもあり、ロレックスはこのカラーを「安売り」しないので、実際にこのカラーが設定される可能性は低いだろう、とも考えています(設定されるとしても、プラチナケースやゴールドケースとなるだろう)。
2022年のサブマリーナーはこう変わる?
「赤サブ」ついに登場
今回の予想においても、数年前から予想されている「赤サブ」が新作の候補としてあがっていますが、これについては「ナントモ」。
サブマリーナーはそのプロフェッショナルさ、ストイックさがひとつのウリでもあり、あまりに商業主義的な、そして市場に媚びたモデルを出すとその価値を下げてしまう可能性があり、(ぼくとしては)サブマリーナーのバリエーションはあまり増えないかもしれない、と考えています。
加えて「青サブ」をステンレススティールモデルに追加するのではというウワサもありますが、これはホワイトゴールドモデル(のブルーベゼル)の価値を下げることにも繋がりかねないので、「無い」かもしれません。
41ミリサイズのサブマリーナーにも「ハルク」?
そしてもう一つ2022年モデルのサブマリーナーについてウワサが出ているのが「ハルク」復活。
ハルクは先代の(40ミリ)サブマリーナーに設定されていた「グリーンベゼル/グリーンダイヤル」モデルで、現在は中古市場にて非常に高い相場をマークしています(ちょっと売る時期を早まったな・・・)。
そして現行モデルの41ミリでは「グリーンベゼルにブラックダイヤル」という、ハルクの”前世代”グリーンサブ、「カーミット」と同じ仕様に戻されたわけですね。
ただ、ハルクのサンレイ仕上げ文字盤の人気が非常に高く、よってロレックスが現行グリーンサブの仕様を変更する、もしくはニューモデルとして追加するんじゃないかというウワサが出ていて、これについては「ナントモ」ではありますが、もし41ミリのグリーンサブが「ハルク」へと置き換えられることになれば、現行グリーンサブは短い命だったということになりそうです。
2022年モデルのデイトナはこう変わる?
新型デイトナのケースサイズは41ミリに
そして最後はコスモグラフデイトナ。
これについては現在39ミリのケースが41ミリに変わるんじゃないかともウワサされています。
たしかに現在、各社のクロノグラフのケースサイズはどんどん拡大していますが、ロレックスが「ブームに迎合するか」どうかは不明です。
なお、デイトナのケースはサブマリーナーやGMTマスターII、エクスプローラーIIとは異なり、サイドを「丸く」カットした(ヨットマスターと同じ)ラグジュアリー志向の強いもの。
そして「モータースポーツ由来」ということでレーシングスーツにも(イメージ的に)マッチさせたいと感じているはずで(公式フォトでもそういった扱いとなっている)、加えてモータースポーツにとっては致命的とも言える「重量増加」に繋がるサイズアップはないかもしれません(むしろ、デイトナにこそ軽量なチタンケースを採用すべき)。
デイトナにもティファニーカラー?
そしてデイトナに関するもうひとつのウワサが「ティファニーブルーダイヤル」の追加。
ちなみにパテック・フィリップは170本限定にて「ティファニーとのダブルネーム」のノーチラスを発売していますが、これは定価598万円に対し、オークションではなんと約7億4000万円という価格で落札されており、ロレックスがこれにあやかるんじゃないかというものですね。
さすがにパテック・フィリップの後追いはしないんじゃないかと思うものの、ロレックスはすでにオイスターパーペチュアルにてターコイズダイヤル(ティファニーとのダブルネームではない)を設定しており、これはひとつのエクスキューズになるかもしれません。
もしデイトナにこのターコイズブルーダイヤルが設定されれば、そしてもしティファニーとのダブルネームであれば、ロレックス史上最高のプレミア価格を誇るモデルとなる可能性が非常に大きい、と考えています。
なお、現在ティファニーはルイ・ヴィトン筆頭のLVMHグループに買収されており、そしてLVMHグループは御存知の通り「コラボ大好き」であり、そしてティファニーブランドの価値を高めるため、パテックフィリップとの間で行ったのと同様のコラボレーションを(ロレックスに限らず)行ってくるかもしれません。
参考までに、過去にロレックスは「サブマリーナー」にてティファニーとのダブルネームモデルを製作したことがあり、もちろんそれは中古市場でトンデモナイ価格となっているわけですが、もう一度「サブマリーナーをベースに、ティファニーとのダブルネーム」を作って欲しいと考えたりします(今度はTIFFANYの文字を入れるだけではなく、ティファニーブルーの文字盤にて)。
デイトナにジュビリーブレス?
さらにウワサされるのがデイトナに「ジュビリーブレス」。
デイトナはそのサイズが比較的小ぶりで、ケースのエッジが丸められているということからもスーツ等にあわせビジネスシーンで使用する人も多数。
よってジュビリーブレスとの相性も悪くはなく、すでに(ゴールドケースでは)ラバーブレス、そしてレザーベルトの展開を行っており、現時点でも「ロレックスのスポーツモデル中、もっとも多い種類のブレスレットと組み合わせられる」腕時計。
予想画像を見てもその相性は悪くなく(むしろカッコいい)、これも実現して欲しい仕様だと考えています。
デイトナ「ブルーダイヤル」は本物か
そしてロレックスにしては珍しく「リーク」されたのがコスモグラフデイトナの「ブルーダイヤル」。
この真偽についてはなんとも判断できず、しかし「ブルー」は比較的ロレックスが好むカラーでもあり、デイトナに設定されてもおかしくはないだろうとも考えています。