納屋の前には盗難を防ぐために200個以上の土嚢が積まれていた
ここ最近相次ぐ「長年放置されていたクラシックカーが発見」という案件ですが、今回はベルギーにて、オーナー自身の手により納屋に隠されていたブガッティが3台、数十年ぶりに陽の目を見ることに。
なお、オーナーは彫刻家のオーギュスト・トマッセン氏。
同氏の娘によると、何でも同氏はブガッティのデザインそしてエンジニアリングのファンで、「ブガッティの価格が底値にあった」1950年代後半から1960年代前半にかけて3台のブガッティを購入した、とのこと。
いずれのブガッティも愛情をもってカスタムされている
その三台のブガッティとは1929年製タイプ40、1932年製タイプ49ベルライン、1937年製タイプ57カブリオレ。
タイプ40についてはオーギュスト・トマッセン氏が自身でカスタムしようと分解された途中のもので、タイプ40とタイプ49はすでにカスタムされ、そして「日常的に乗るために」メンテナンスされたうえで、(当時)実際に使用していたようですね。
ただ、これらのクルマの存在は幾人かのコレクターには知られており、オーギュスト氏はずっと買い取りのオファーを受けていたものの、けしてこれらの3台を手放さず、それは「家族が生活に窮したときですら」。
しかし今回、どうしても生活が苦しくなり、今回ようやく”閉じ込められたままの3台のブガッティ”が世に放たれることに。
3台のブガッティはこんなふうに保管されていた
なお、今回のブガッティ「救出」プロジェクトを主導したのは専門家のマチュー・ラムールさん。
上述のとおり、オーギュスト・トマッセン氏がこれらブガッティを保管していたことは一分に知られており、そのため何度か泥棒が納屋に押し入ろうとしたことがあったようで、防犯のため納屋には厳重な「防御」がほどこされていたようです。
まず納屋の周辺には1つあたり25キロの重量を持つ土嚢が山のように(200個以上)積まれていて、それを数人がかりでどかすところから作業開始。
そして、土嚢をよけたとしても、まだクルマで出入り口をブロック。
そしてこのクルマは不動なので、これもなんとかして移動。
ようやく入り口が登場。
納屋とクルマの持ち主であるオーギュスト・トマッセン氏から預かった鍵で禁断の納屋をオープン。
正直、このときの気持ちは想像できるような、いや想像できないような。
そしてブガッティと対面。
なお、納屋にはブガッティの他に1925年製のシトロエン・トーピードも保管されていたようですね。
そして納屋からは続々貴重なブガッティの姿やパーツが登場。
「まるで宝探しの気分だな」。
これらブガッティの保管状態は非常に良好。
2月8日にパリで開催されるオークションにて出品されるとのことですが、当然ながらこれらブガッティの総額は軽く1億円を超えると見られ(もっと高い値がつきそう)、とくにタイプ57は単体で8000万円近い価格となるだろう、と言われています。
なおオーギュスト・トマッセン氏がは今回、これまでに絶対手放そうとしなかったブガッティを「譲ろう」と考えたのには、経済的な困窮意外にも理由がある、と語っているのが印象的。
「自分はもう95歳だ。自分で運転もできないし、そろそろ次世代へとこれらのクルマを託す時が来た」。
VIA:Artcurial