ゆず肌を削るのには危険が伴う
メルセデス・マイバッハS600プルマンを100時間かけて「ディティーリング」する動画公開に(さすがに動画は7分にまとめられている)。
今回動画を公開したのはイギリスに拠点を構える「Topaz(トパーズ)」ですが、イギリスはスーパーカーやクラシックカーの保有台数が多く、これまでにもイギリスから同様の動画がたくさん公開されていますね。
ただ、今回の動画これまでと異なるのは自動車の塗装上、必ずと行っていいほど生じる「ゆず肌(オレンジピール、ガン肌ともいう)」の除去。
ゆず肌とはなんぞや
なお、ゆず肌とは乾燥の過程で塗料がペタっと平坦になりきれず、ちょっとした凹凸を残して乾燥するもので、いうなれば「スプレーで塗ったときのツブツブが残る」というイメージ(粉体塗装でも生じうる)。
ただ「デコボコ」というほどではなく、いうなれば「滑らかな凹凸」。
ちょっとわかりにくいのですが、ウラカンのドアのあたりに反射している光の端が「ギザギザ」になっているのがわかり、ゆず肌が残るとこういった感じで「反射の際のエッジがきれいに出ない」ことも。
ただ、これは不良とかそういった問題ではなく、「工程上なからず生じうる」ものでもあり、そしてこれもやはり工程上生じる「パネルの歪み」や、プレスや打ち抜きが行われた周辺の歪みもごまかしてくれることがあるわけですね。※ドアハンドル周辺のパネルなどは結構歪んでいる
よって、このゆず肌がなくなって完全な鏡面になると、こういった「歪み」がモロに目にはいることになり、そのほうが「耐えられない」場合が出てくるかもしれません。
なお、ぼくの経験上、フェラーリはかなりゆず肌の少ないクルマで、かつ目に見えるパネルの歪みも少ないクルマ。
その理由は謎ですが、「塗って磨いて」を何度も繰り返しているからなんじゃないか、と想像しています。※このあたり、フェラーリが芸術品だと言われる所以なのかも
そのために「漆塗りのように」ツルンとした、そして厚みを感じさせる塗膜になっているのだろうと考えていますが、これはフェラーリの工場に行かねば解けない謎なのかもしれませんね。
それでもゆず肌を消し去るディティーラー
それでもこのショップはゆず肌を消すことに挑戦していますが、それはおそらく高い品質で製造されたメルセデス・マイバッハの車体、そして厚い塗膜があってこそなのかもしれません(普通のクルマでは塗膜がこれに耐えられそうになく、耐えたとしても逆に歪みが露見することに)。
まず作業に際してはマスキング。
樹脂パーツに液剤がかかって変質しないよう、また研磨によってテカったりしないように、という配慮です。
そしてドライ状態で研磨開始。
メッチャ削ってる感じですね。
細かいところはポリッシャーではなく手作業で。
塗装表面クリアコートの「ゆず肌」を削り取った後はポリッシュがけ。
磨いた後はまさに鏡面。
ゆず肌が残っているとこれほど天井の照明が綺麗には映らず、かならず「ぼんやりした」感じになります。
すごいなこの磨き・・・。
そのあとはコーティング液を塗り込み、そして「秘密の工程(動画ではボカシが入っている)」にて仕上げ。
この仕上げに耐えうる(パネルの歪みがない)車体を持つクルマもそうそうなく、今後様々なクルマを見る際、パネルにも注目してみようと思います。
それでは動画を見てみよう
こちらがゆず肌を「削って」鏡面にしてしまう動画、「mTopaz's Best Kept SECRET - 100 Hour Maybach Level 5 Signature Detail!」。
VIA:Topaz