| 最大株主の意向は無視できない |
メルセデス・ベンツ(ダイムラー)の会長、ディーター・ツェッツェ氏によると、「(中国の)吉利汽車と、教務拡大について話をしている」とのこと。
なお吉利汽車CEO、李書福氏はメルセデス・ベンツの9.69%の株式を取得しており現在「メルセデス・ベンツの筆頭株主」。
ここに至るまでは様々な経緯があり、まず李書福氏はメルセデス・ベンツに提携を持ちかけるも、メルセデス・ベンツ側は「誰だお前」的なあしらいをした、と言われます。
李書福氏の意向はどう反映される?意図あっての株式取得のはずだが
そこで李書福氏がメルセデス・ベンツとの提携に向け強行手段に出てしまい、メルセデス・ベンツに知られないようにあの手この手で株式を買い集め、とうとう「最大株主」に。
そうなると当然メルセデス・ベンツはこれを無視できなくなり、やむなく話し合う必要が出てきた、というのがこれまでの経緯。
なお、李書福氏率いる吉利汽車はずっと前からメルセデス・ベンツに対して強いあこがれを持っており、その第一号車は「メルセデス・ベンツEクラスのコピー」。
これを考えるに李書福氏がメルセデス・ベンツをコントロールできるまでの株主となるのは「悲願」だったのかもしれませんね。
現在両者が話し合っている内容は不明ではあるものの、ロイターの報道では「意図しない買収を防ぐための株式持ち合い」。
ただ、これが実現してしまうと両者は「切っても切れない仲」となり、これはこれでちょっとした懸念も出てきます。
なお、メルセデス・ベンツは中国においては吉利汽車以外の提携先があり、そことの軋轢もちょっとした問題になりそう。
ちなみにその提携先の「北京汽車」はメルセデス・ベンツGクラスをパクっていたりしてちょっと険悪な雰囲気となっており、メルセデス・ベンツにとって中国は悩みのタネなのかもしれませんね。
中国の自動車市場は先行き不透明
なお、中国の自動車業界は28年ぶりに「前年割れ」。
これには様々な理由があると報じられているものの、大きな理由としては「景気刺激策の反動」。
つまり経済成長率が低下していることを考慮して中国政府が様々な購入に対する優遇措置を行った結果需要を前倒ししてしまい、その結果として2018年の販売が落ちたというもの。
ただ、それも「根本として成長がスローダウン」しているためにこういった景気対策を行ったワケで、これまで「大きく成長することを前提」にしてきた中国の自動車メーカーにとっては厳しい時代となるのは間違いなさそう。
よって中国の自動車メーカーも今後「淘汰」される時代に入ることになるかと思われますが、中国依存度の高いフォルクスワーゲンやアウディ、BMW、メルセデス・ベンツもこの影響を免れることはできない、と考えられます。