｜ 「ない」とは思うが「アリ」と考えるに十分な根拠も存在する ｜
ベストカーによると、トヨタは将来的に「マツダの開発した直6エンジンとFRプラットフォームを使用うる」とのこと。
ベストカーは以前にも次期トヨタ86/スバルBRZについて報道が錯綜したことがあるので今回の話についてもナントモというところです。
そして今回の話については、マツダが5月9日にプレス向けに発表した内容に基づいており、ベストカーの記事について考えてみたいと思います。
マツダは今後独自の道を歩む
まず、マツダはブランド価値を向上させる手段として「魂動デザインの深化」「Smallアーキテクチャの開発」「Largeアーキテクチャの開発」を掲げています。
そのうちSmallアーキテクチャについては、「SKYACTIV-G/Dのアップグレード、SKYACTIV-X」「マイルドハイブリッド」「独自バッテリーEV（ピュアEV）」をその手段とし、Largeアーキテクチャについては「直列6気筒SKYACTIV-X」「第2世代直列6気筒SKYACTIV-D」「縦置きアーキテクチャ化（i-AKTIV AWD含む）」「48Vマイルドハイブリッド」「プラグインハイブリッド」をその手段として掲げています。
そこでベストカーはこのマツダの直6エンジンがトヨタに搭載されるということ、マークX後継として投入されるトヨタのプレミアムスポーツセダンにマツダ開発のプラットフォームが使用され、ゆくゆくはレクサス（次期ISのそのまた次のIS、そして次世代RC）にもマツダのプラットフォームと直6エンジンが採用される、と報じているわけですね。
これについては色々と思うところがあって、「ある」とも「ない」ともいえないな、と考えています。
そしてまず「ある」という方の理由ですが、これはベストカーが報じているとおりトヨタとマツダは提携関係にあること。
そして米国に共同で工場を建設することを考えると、この工場で次世代のマツダ・アテンザ（マツダ6）、米国向けのトヨタ/レクサスのセダンを製造する可能性が大（セダンの最大市場は米国）。
そしてこれもベストカーが主張するとおり、BMWと共同開発したスープラを、トヨタのスポーツカーにおけるフラッグシップ、モータースポーツにおいても中核車種に据えていること。
これを見ると、トヨタは「トヨタのバッジがついていれば」その中身にがどこ製であろうと気にしない、と考えているのかもしれません。
さらにトヨタは先日の発表の通り「エレクトリック化」を急ぐ必要が出ており、よって「老い先短い」ガソリンエンジン、ガソリンエンジン搭載車用プラットフォームを開発するつもりはないのかもしれない、と考えたりします。
「ない」というほうだと、まずトヨタとマツダとの提携範囲が限定的である、ということ。
先日発表された内容では、「トヨタ、スバル、スズキ、ダイハツ」のエレクトリック化構想らマツダは外されており（もしくはマツダが離脱）、この状況でガソリンエンジン車だけトヨタとマツダが手を組む、というのも考えにくい話（当初、マツダがガソリンエンジンをトヨタに代わって開発し、トヨタがエレクトリック技術をマツダに提供する予定だった）。
ただ、マツダがここからエレクトリック化に舵を切るのは難しく、よって「他社のためにガソリンエンジン車のエンジンとプラットフォームを開発する」ことが生き残るひとつの道であることもまた事実。
そしてもうひとつは、「レクサス」にマツダのエンジンや車体を使用していいのかということ。
トヨタは長い年月をかけて今のレクサスの地位を築いていますが、「中身がマツダ」になるとそれがパーになる可能性も。
ただ、トヨタはレクサスの海外生産（しかも中国）も考えていると報じられ、これは必ずしも今後は「国内生産」「トヨタ品質」にこだわらないということを意味し、であれば「マツダとのバッジエンジニアリングによるレクサス車」がありうるのかもしれません。
正直なところ、「レクサスにマツダのエンジンとプラットフォーム」はないだろうと考えますが、色々と見てゆくと「いややっぱりアリかも・・・」と思ったりする今日このごろです。
VIA: Best Car