| 今回はとことん軽量、そして運動性能にこだわった |
これまでも「964の足回りを移植した356」「4WD化した356」など想像を遥かに超えたポルシェのカスタムを見せてくれたエモリー・モータースポーツ(Emory Motorsports)ですが、今回もまた独自カスタムをふんだんに乗り込んだポルシェ911を公開。
なお、エモリー・モータースポーツはこれまで356のカスタムを専門としており、実は911のカスタムは「はじめて」だそう。
はじめて911をカスタムしたとは思えない出来栄え
そしてはじめての911カスタムの対象として選んだのは1968年製911で、そのコンセプトは「完璧なるサーキット&ラリーウェポン」。
名付けて「エモリー・アウトロー911K(Emory Outlaw 911K)」として公開されており、そのボディカラーは1968年のポルシェ908−010(レーシングカー)へのオマージュだとアナウンスされています。
なお、ポルシェ908-010はこんなクルマ。
1968年のスパ1000kmにポルシェがワークス体制にてエントリーしたうちの一台で、結果は残念ながらリタイヤ。
その後ポルシェはスイスのコレクターにこの車両を販売し、2013年にレストアを受けた後、様々なヒストリックカーイベントに登場しており、2018年にはRMサザビーズ主催のオークションにて競売にかけられています。
エモリー・モータースポーツによると、「我々はずっと356をカスタムしてきたが、911のカスタムは初めてだ。この911は我々の特別な顧客によるオーダーであり、ヴィック・エルフォードが1968年にスパを走らせたK-ボディ(ショートボディ)980−010にインスパイアされている」とのこと。※ポルシェにおける「K」は、ドイツ語のコンプレッサーではなく、”Kurzheck”つまりショートテールを指す
実際にこの911はポルシェ・ライト・アイボリーのボディカラーにシグナルイエローのノーズを持ち、フロントフェンダーには「モービル・ペガサス」がハンドペイントで入れられます。
なお、この「モービル・ペガサス」はあちこちで見かけるものの、ぼくは不勉強で、今回エモリー・モータースポーツがプレスリリースにて「モービル・ペガサス」と紹介するまでこれが何なのかを知らず。
そこでちょっと調べてみると「モービルオイル」は「ソコニー社とバキュームオイル社」とが合併してできた会社で、ソコニー社ペガサス、バキュームオイル社はガーゴイル(ゴシック建築に見られる、翼のある怪物)をキャラクターとして使用しており、合併時に両方の図案とカラーとを組み合わせてできたのが「モービル・ペガサス」だそう。
ちなみに、先日紹介した「カスタム911」には、このモービルペガサスの「スケルトン」が描かれていますが、これの意味は不明。
現在、モービルオイルはエクソンと合併し「エクソンモービル社」へと組織が変更され、モービルは現在「エクソンモービルが所有するブランドのひとつ」。
現在はペガサスロゴが使用されておらず、その意味で「絶滅してしまった」ペガサスを表現したのかもしれません。
話を「エモリー・アウトロー911K」に話を戻すと、ラリースタイルのドライビングランプにエアホーン、メッシュを使用したインテークガードを装備。
リアにもこのメッシュガードが使用され、エンジンフードは「ツイングリル」にRスタイルのヒンジを採用。
エンジンフード両側は開閉用のアームを持たず、そのためかなり軽く仕上がっていそうですね。
エンジンそのものは911世代に採用されている2.5リッターツインプラグ(自然吸気)でウェーバー製の40IDA 3Cキャブレターを備え、トランスミッションも911世代の5速マニュアル。
935に採用される「フラット形状」を持つクーリングファンを持ち、これもポルシェ製レーシングカーにはおなじみの「ハンドメイド」ファイバーグラス製エアボックスも装備。
なお、出力は193PSとのこと。
閉じると「PORSCHE」「911K」ロゴ。
テールパイプはちょっと特殊な形状。
最近、カーン・デザインがカスタムしたディフェンダーにも同じような形状を持つマフラーエンドが採用されていましたね。
フロントバンパーもRスタイル。
ホイール(15インチ)はセンターロックで、これはワンオフとのこと。
ハブとセンターロッキングシステムは935から、ブレーキも強化済み。
サスペンションは3段階調整式のKW製がおごられている、と紹介されています。
エモリー・アウトロー911Kのインテリアはこうなっている
そしてエモリー・アウトロー911Kの内装もフルカスタムされ、シートも908にインスパイアされたもの。
カラーはスパニッシュレッドだと報じられています。
ステアリングホイールはMOMO製(プロトティーポ)、シートには5点式ハーネスを装着。
シフトノブもポルシェではおなじみの「バルサとカリンとのコンビ(軽量)」。
そのほかレザー製ドアインナーハンドルやロールバーなど、クラシカルかつレーシングカーにインスパイアされた装備が満載となり、まさに「サーキット&ラリーウエポン」といった感じですね。
彗星のように現れたエモリー・モータースポーツですが、今後も様々なカスタムを見せてくれそうですね。