| ジープ・トラックホークは「便利な日産GT-R」? |
ジープはグランドチェロキーのトップレンジとして「トラックホーク」を設定しており、これは6.2リッターV8/710馬力のHEMIエンジンを搭載するモンスターSUV。
現在SUV最強の部類としてはランボルギーニ・ウルスが存在しますが、こちらは「650馬力」にとどまり、実を言えば出力についてはグランドチェロキー・トラックホークのほうが上。
さらにグランドチェロキー・トラックホークはブレンボ製のブレーキセット、20インチホイール、ビルシュタイン製のアダプティブダンパーを装着するなど「曲がる・止まる」についても抜かりナシ。
実は両者の価格帯もよく似ている
そして今回、ジープの北米法人を管理するスコット・タロン氏がカーメディア、Muscle Cars & Trucksに語ったところでは「日産GT-Rからの乗り換えが多い」とのこと。
これは意外なことではありますが、日産GT-Rとグランドチェロキー・トラックホークとは一見して共通性がないようにも見えますよね。
ただ、現実問題として「GT-Rを下取りに出してグランドチェロキー・トラックホークを買う」人が多いと当のジープが言うので、これは紛れもない事実だと言えそう。
日産GT-Rは570馬力、1063〜1254万円
ここで両者のスペックを改めてみてみると、日産GT-Rは3.8リッターV6ツインターボ、出力は570馬力(パワーウエイトレシオは3.14)、トランスミッションは7AT、駆動方式は4WD。
車体サイズは全長4710ミリ、全幅1895ミリ、全高1370ミリ、車体重量は1790キロ。
価格はグレードにより1063〜1254万円の設定です。
グランドチェロキー・トラックホークは710馬力、1330万円
これに対してグランドチェロキー・トラックホークは6.2リッターV8スーパーチャージド、出力は710馬力(パワーウエイトレシオは3.14)、トランスミッションは8AT、駆動方式は4WD。
車体サイズは全長4890ミリ、全幅1890ミリ、全高1805ミリ、車体重量は2230kg。
価格は1330万円という設定となっています。
こうやって比較してみると、なんとパワーウエイトレシオは「GT-Rとグランドチェローキ・トラックホークは同じ」。
ジープはこの買い替え現象についてさらに「自宅に駐車スペースがない場合、GT-Rからトラックホークへと乗り換えているようだ」と語っていますが、GT-Rオーナーで、たとえば子供ができた、また大きくなった場合にGT-Rからグランドチェロキー・トラックホークに乗り換えているのかも。
ちなみにぼくは「スポーツカーとSUVとは近い存在だ」と考えていて、というのも、両方とも「アクティブなクルマ」だから。
アウトドアアクティビティをスポーツだと考えればSUVもスポーツカーということになりますし、実際にモータースポーツにおいても一部SUVを使用する競技も存在します(ダカールラリーなど)。
そしてスポーツカー、SUVともに、多くの場合はミニバンやコンパクトカーといった「やむを得ず選ぶという消極的選択肢」ではなく、それが欲しいから選ぶという「積極的選択肢」として購入されるクルマです。
そう考えれば「ハイパワー、4WD、そして他のスポーツカーに比較すると室内や荷室空間が広い」GT-Rを選んだ人にとって、「さらにハイパワー、4WD、さらに室内や荷室の広い」グランドチェロキー・トラックホークを選ぶというのはある意味で納得のできる選択だとも思います。
同じスポーツカーでも、ミドシップスポーツを選択する人はグランドチェロキー・トラックホークをその「入れ替え」として選択しないかもしれませんが、もともとGT-Rを選ぶオーナーはグランドチェロキー・トラックホークが持つ魅力に惹かれる可能性を持っているとも考えられ、そういった人々にとって、グランドチェロキー・トラックホークは「より便利な」GT-Rなのかもしれませんね。