| ホンダは見た目よりも実用性を重視したフルモデルチェンジを選んだようだ |
ホンダが待望の新型フィットを東京モーターショー2019にて発表。
新型フィットのグレードには「CROSSTAR」「NESS」「LUXE」「HOME」「BASIC」の5つが存在し、それぞれ大きく差別化された個性を持つことが特徴です。
とくに目玉は「CROSSTAR」だと思われ、これはリストアップされた車高に樹脂製クラッディング、大型エアインテークを持つ専用バンパー、コントラストルーフ、メタル調カラーを持つドアミラーそしてルーフレールが採用。
これは少し前にプロトタイプが目撃されていたものだと思われますが、フィットとしては「初」のクロスオーバー風味を持つクルマ、ということになりそうですね。
ホンダによると、新型フィットの特徴については「4つの心地よさ」として下記の通り紹介されています。
1.心地よい視界
フロントピラーを従来とは異なる断面構造にするとともに、万が一の衝突時にはボディーへ荷重を流す構造を採用。十分な衝突安全性能と、ワイドで優れた視認性を両立させました。
またインテリアパネルは水平・直線基調のデザインにするとともに、車内からはワイパーを見えにくくすることで、運転時の心地よい視界を実現しています。2.座り心地
フロントシートには、上級セダンへの搭載も見据えて新しく開発した、新世代のボディースタビライジングシートを採用しました。身体をしっかり保持する面支持構造とすることで長時間ドライブでも疲れにくく、やわらかな座り心地を実現したシート構造としました。
リアシートは従来同等のシートアレンジとし、大人がストレスなく座れる広さと厚みのあるパッドを採用することで、上級セダン並の快適な座り心地を実現しています。3.乗り心地
小型化した2モーターハイブリッドシステム「e:HEV」により、日常シーンのほとんどをモーターでなめらかに走行。優れた環境性能とともに、心地よい走りと力強い加速で、快適な乗り心地を提供します。4.使い心地
HONDA
歴代フィット同様の広い室内空間は継承しつつ、普段の生活から長距離ドライブまで、乗員みんなが快適に過ごせるよう、ストレスなく使える収納レイアウトなど、移動をサポートする使い心地を提供します。
新型ホンダ・フィットのバリエーションはこうなっている
新型フィットのキャッチコピーは「すべての車をひとつに」ですが、そのコピーの通り、これまでにない個性豊かな5つのバリエーションが揃います。
「BASIC」は価格訴求モデル
その名の通り「BASIC(ベーシック)」は新型フィットのボトムラインを担い、価格訴求型。
とはいえど外観からは「コストダウン」を感じることもなく、営業車やレンタカーとして活用されそうなモデルですね。
「HOME」は”自宅”にいるかのような心地よさ
「HOME(ホーム)」はその名称が示すとおり、自室のようなリラックスできる空間を目指した仕様。
良質な素材を用いたナチュラルな風合いを持つシート、本皮巻きステアリングホイール、プライムスムースのソフトパッドを採用し、カラーや質感を高めている、と紹介されています。
こちらはシトロエンC3のコンセプトに近く、欧州では真っ向からホンダがこれに挑むということになりそう。
「LUXE」は高級志向モデル
LUXE(リュクス)は高級モデルに位置付けられ、「質感」「手触り」を重視。
プラチナ調クロームメッキパネルや16インチホイールを持ち、「2トーンレザー(本革)シート」を採用。
内装はこんな感じで高級感がただよう仕上がり。
「NESS」は気分がアガる軽快さ
「NESS(ネス)」はホンダによると、気分がアガる軽快さを持つファッショナブルなモデル。
撥水素材採用のシートソフトインパネパッドを持つ、としています。
A~Cピラーにビビッドなカラーが採用され、シートにも同じカラーが反復されているようですね。
アルミホイールには独特のデザインを持つ切削加工仕上げが与えられています。
なお、BASIC、HIME、LUXE、NESSまでは同じデザインを持つフロントバンパーが与えられています(グリル内のフォグランプ有無など、小さな相違はある)。
「CROSSTAR」は独自デザインが光る
CROSSTER(クロスター)は独自のデザインを持つモデルで、単にリフトアップしただけではなくタイヤが大径化されたうえ、フロントグリル、フロントバンパーが専用デザインに。
サイドステップやリアバンパーも専用となり、ホイールアーチにも樹脂製パネル、ルーフレールも装着されるなど「別のクルマ」といっても通用しそう。
こちらの内装にも撥水性を高めた素材の使用、プラチナ調クロームメッキが採用され、アウトドア風味とともに上質さも追求されているようですね。
ボディカラーには淡いブルーが採用され、もしかすると欧州で人気の「シトロエンC3エアクロス」あたりをライバルとして認識しているのかもしれません。
新型ホンダ・フィットは実用性を大きく高めてきた
全体的に見ると、新型フィットは「意外と無難なデザインでまとめてきたな」という印象がありますが、細いAピラーと大きな三角窓、ベルトラインがぐっと下がったサイドウインドウ、Cピラーにまで食い込んだリアウインドウを見るに、発表時の資料の通り、「視界」にかなりこだわったように見えます。
今回のフルモデルチェンジについては、ホンダが事前に予告した、「Hondaの新たなクルマづくりの考え方に基づき、数値だけを追求することなく、乗ったすべての人が“心地よい”と感じ、日常をさらに豊かにするクルマへ生まれ変わります」という内容をそのまま体現したニューモデルということになりそうですね。
現在のところ新型フィットの価格やグレード詳細については公表されていないものの、メカニズム的には「新開発の2モーターハイブリッドシステム」である”e:HEV”採用が特徴。
これについては多くが説明されておらず、システムの概要が明らかになっていませんが、トランスミッションにスターター兼用としてひとつ、リアアクスルに後輪駆動用として1つのモーターが内蔵されているのでは、と考えています。
ホンダのコンパクトクラスには初採用だとされており、それだけホンダは新型フィットに対し、並々ならぬ情熱を注いだということになりますね。
ドライブトレインについては、このハイブリッドモデルに加え、ガソリン車も選択可能だとされています。
そのほか、新型フィットにはホンダ自慢の先進安全運転支援システム「ホンダセンシング」、新世代コネクテッド技術「Honda CONNECT」も搭載されている、とのこと。
新型フィットの装備内容としては、全車ホンダセンシング、LEDヘッドライト、フルオートエアコン、電子制御パーキングブレーキが挙げられ、ここから「HOME」「NESS」「CROSSTEAR」「LUXE」などモデルごとの専用装備が与えられるようですね。※新型ホンダ・フィットの主要装備はこちら
ライバルであるトヨタ・ヤリスとの勝負の行方は
なお、同じ第46回東京モーターショーにて発表される宿敵、新型トヨタ・ヤリス(旧ヴィッツ)は一気にそのデザインが未来かつアグレッシブ方向へと走っており、ここが勝負の明暗を分ける部分なのかもしれない、と考えたりすることも。
「トヨタ初」満載、新型ヤリス(旧ヴィッツ)が正式発表!デザインイメージは「ダッシュする弾丸」、これがコンパクトカーの新しい価値観だ
パっと見ではヤリスの方が目を引くように思いますが、よくよく観察してみるとフィットの方が(実際に乗るには)いいんじゃないかと思わせる部分があるようにも感じられます(C-HRとヴェゼルとの関係にもよく似ている)。
、もちろんヴィッツもプラットフォームはじめドライブトレーンを新設計しており、”フィットにだけは”負けない仕様を持っているのは間違いななさそうで、東京モーターショーでの注目度はもちろん、発売されたのちの動向には要注目ですね。
VIA:HONDA