| 一度はこういったドレスウォッチが欲しいと考えているが |
さて、今回は「もっとも優れるドレスウォッチ5選」という動画を紹介。
ドレスウォッチには定義があり、それは「バーインデックスかローマ数字インデックス(アラビア数字は不可)」「2針(スモールセコンドはOK)」「レザーブレス」「デイトなし」「貴金属ケース」だと言われます。
そして、ドレスウォッチは薄ければ薄いほうがいいとされるので、機械式腕時計の場合は多くの場合「手巻き」となりますが、比較的小さな直径を持ち、かつ薄いケースの中に各ウォッチメゾンは「ありったけの小型化技術」を込めることになるわけですね。
ジャガー・ルクルト・マスター・ウルトラ・シン(1292520)
まず一発目はこの中ではもっとも安価だとされる(日本だと1,067,408円)ジャガー・ルクルト・マスター・ウルトラ・シン。
この腕時計の特徴はその「薄さ」にあり、なんとケースの厚みは4.05ミリで、現時点での「最も薄い手巻き式腕時計」。
ちなみに自動巻きだとブルガリ「オクト フィニッシモ クロノグラフGMTオートマティック」の6.9ミリがちょっと前までの最薄。※ブルガリは現在”薄さ”にこだわっていて、自社の「最薄」記録を自社で更新し続けている
現在ジャガー・ルクルトはカルティエ筆頭のリシュモングループ傘下にありますが、もとはというと1833年に創業した老舗。
世界最小のムーブメントの開発等で知られ、とくに1931年に発売された「レベルソ」が有名ですね(ポロをプレーする際、腕時計を傷つけないようにケースをリバース=レベルソできる構造を持つ)。※いつかはレベルソを手に入れねばと思いながらも、なかなかその機会がない
現行シリーズは「レベルソ」「マスター」「ランデヴー」「ジャガー・ルクルト ポラリス」「ジオフィジック」「デュオメトル」「ハイブリス・メカニカ」に加えて置き時計(珍しい)の「アトモス」。
見よ!この薄さ。
なお腕時計は定期的に「薄さ」を競う時代に入るようで、デジタル時計全盛期にはカシオが「ペラ」なる薄さ3.9ミリ(当然世界最薄)のデジタルウォッチを発売したこともありますが、現代もまた「薄さ競争」の様相を呈しているようですね。
ヴァシュロン・コンスタンタン・パトリモニー(81180/000G-9117 )
パテック・フィリップ、オーデマピゲと並ぶ「世界3大雲上ブランド」の一角をなすのがヴァシュロン・コンスタンタン。
創業は1755年、現在はジャガー・ルクルト同様にリシュモン傘下にあり、「パトリモニー」「トラディショナル」「フィフティーシックス」「オーバーシーズ」「ヒストリーク」「メティエ・ダール」「ハーモニー」といったシリーズを展開中。
その中でも1950年代のイメージを継承しつつ、モットモシンプルに仕上げたシリーズが「パトリモニー」です。
この81180/000G-9117は40ミリのケースサイズを持ち、手巻き式で価格は2,094,400円(ホワイトゴールドとイエローゴールドが揃う)。
キャリバーはRef.1400、その厚さは2.65ミリ、パワーリザーブは40時間。
風防は端がラウンドした3D形状を持ち、シンプルながらも立体感のある文字盤が特徴です。
ケースバックは非常にシンプル。
厚さは6.79ミリです。
パテックフィリップ・カラトラバ5196R
そしてこちらも3大雲上ブランドのひとつ、パテック・フィリップ。
1839年創業、そして「永久修理」が可能であることを掲げており、世界で最も高価な腕時計を製造することでも知られます。
現在は「グランドコンプリケーション」「コンプリケーション」「ゴンドーロ」「カラトラバ」「ゴールデン エリプス」「ノーチラス」「アクアノート」「Twenty~4」というドレスウォッチ、複雑時計、スポーツウォッチという幅広いラインアップに加えてなんと「懐中時計」も展開中。
その中でも「カラトラバ」シリーズはもっともベーシックな、いわば定番。
そしてこのカラトラバ5196R(2,460,000円)のケース径は37ミリ、厚さは7.68ミリ。
採用されるキャリバー(215PS)自体はかなり薄いとされるものの、腕時計自体は意外と厚いようですね。
インデックス、ポイントの仕上げは素晴らしく、ここまで拡大しても全く破綻がないというのはまさに驚愕。
ムーブメントの美しさもパテックフィリップならでは。
なお、多くの腕時計マニファクチュールが採用する「ジュネーブシール」ではなく独自規格の「パテックシール」を採用しています。
オーデマピゲ ジュール オーデマ エクストラシン 15180OR.OO.A088CR.01
やはり雲上ブランドの一角をなすオーデマピゲ。
創業は1875年で、現在は「COCE 11.59 バイ オーデマピゲ」「ロイヤル オーク」「ロイヤル オーク オフショア」「ミレネリー」「ロイヤル オーク コンセプト」「ジュール オーデマ」「クラシック」「ハイジュエリー」といったシリーズを展開中。
そしてこの「ジュール オーデマ」は創業者の一人であるジュール=ルイ・オーデマの名を冠したシリーズです。
今回紹介する15180OR.OO.A088CR.01(26,400ユーロ)はケース径41ミリ、厚さはヴァシュロン・コンスタンタンとほぼ同じ6.7ミリ。
なお、この6.7ミリというのは自動巻きとしては現在「世界最薄」だと思われます。
サイドはサテン仕上げとなっていて、シャツなど衣類の袖口と触れても傷がつきにくい仕様となっています(これはロイヤルオークでも同様で、かなりありがたい部分)。
その意味では「普段遣いできるドレスウォッチ」だと言えそうですね。
「ドレスウォッチ」なのでとっさに時間や日付けを読むことには適していませんが、そのへんはスマートフォンを皆持っていると思うので問題はなさそう。
そしてケースバックは自動巻きであることを誇示するかのようにスケルトン。
やはりその美しいムーブメントを見ることができるというのは嬉しい、と思います。
A.ランゲ&ゾーネ サクソニア シン 201.027
あまり知名度のないA.ランゲ&ゾーネですが、創業は1838年とけっこう古く、そして腕時計メゾンにしては珍しくドイツ発祥(ほかにドイツで創業された腕時計メーカーだとIWCがある)。
同じドイツということでIWCとの関係(技術提携など)も深く、現在はIWCともどもリシュモングループに属します。
なお、ゼニスやウブロ、タグホイヤーはルイ・ヴィトンはじめとするLVMHに属していて、スポーツウォッチ系はLVMHが強く、ドレスウォッチ系ブランドはリシュモンに多く集まっているという印象ですね。
A.ランゲ&ゾーネは第二次世界大戦の影響にて工場を失い創業を停止しますが、その後1990年にマンネスマングループのバックアップを得て再度活動を開始し、1994年に新コレクションを発表(ブラッド・ピットが身につけたことで一気に有名になった)し、現在に至っています。
現在は「オデュッセウス」「ランゲ1」「サクソニア」「ツァイトベルク」「1815」「リヒャルト・ランゲ」といったシリーズを展開中。
モデル名の「シン」は英語の「Thin」つまり薄いということを表し、その名の通り”5.9ミリ”とかなり薄く、バウハウス的なシンプルさを特徴としています。※日本では「シン」ではなく「フラッハ」という名称で展開
ケース系は37ミリ、素材はロジウムコートのゴールド、そして価格は15,500ユーロ(日本のサイトにも円表記がない)なので”さほど高くはなく”、メジャーブランドではなく「通好み」という点でもけっこういい選択かもしれません(A.ランゲ&ゾーネを身に着けていると一目置かれそう)。
創業は古いものの活動再開が比較的新しく、しかしその短い「第二の歴史」の中でも大きな評価を勝ち得たマニファクチュールでもあり、実際に所有することでその真価を確かめてみたいものですね。
以上、「世界で最も優れるドレスウォッチ」5選。
ドレスウォッチは複雑な機構を持たないために構造が比較的シンプルということもあり、そのために「ブランド名に比較すると安価」という特徴も。
更に中古になると需要が激減するためか「え?このブランドがこの価格で?という求めやすい価格になることが多く、どこかのタイミングでは一度購入する必要がある、とも考えています。
ただ、ぼくの場合はドレスウォッチを着用する場がさほどなく、かつ好みの問題でついついスポーツうウォッチや複雑時計に目が向いてしまい、なかなかドレスウォッチを買えずにいる、というのもまた事実。