| ブガッティの目指すところは他の自動車メーカーとは一味違うようだ |
ブガッティがパリにて開催された「2020レトロモビル・パリ」において、新しく純正中古車プログラムをスタートさせる、と発表。
これは「La maison Pur Sang(ラ・メゾン・プル・サン)」と称されたもので、日本語だとさしずめ「純血の家」といったところ。
そしてこのプログラムの特徴は新世代ブガッティ、つまりヴェイロンやシロンのみではなく、過去のEB110等にさかのぼって対応するということで、「これまでに生産されたブガッティを、最適なコンディションにて後世に残してゆく」ことが目的だと語られています。
なお、ブガッティはつい最近、エレクトリック化にすぐには移行せず「行けるところまでガソリンエンジンを採用しつづける」と発表。
この意図としては「長い目で見たとき、ガソリンエンジン採用車のほうがコレクション価値が高くなる」というもので、つまりブガッティは数十年、もしくは100年以上というタームにてものを見ている、と言えそう。
ブガッティが方向転換?「2030年まではガソリンエンジンにこだわる。その代わり、ヴェイロンとシロンが出す排ガスをチャラにするだけの植林を開始する」
なぜ過去モデルのメンテナンスが重要なのか
参考までに、フェラーリは「7年無償メンテナンス」を数年前から導入していますが、この意図としては顧客サービスというよりは「メンテナンスを無償化することでフェラーリ正規ディーラーへとオーナーがメンテナンスに持ってくる」ことを目論んでおり、これによって「メンテナンスがなされていない、もしくは正規ディーラー以外でメンテナンスをされている、管理できていないフェラーリ」が増えることを防ごうとしているんじゃないかと推測。
そして中古市場に出回るフェラーリを「管理できている」つまり程度の良い状態に置くことで相場を高く保ち、ひいてはブランドイメージも向上させ、新車販売をさらに有利に進めるようにしたいのだと考えています。
中古相場が高くなれば、フェラーリは高く売れるというイメージが浸透し、となると新車の値付けを高くしても「皆が安心して買える」ようになりますし、新車の価格が上がれば中古相場もさらに上げることができるというサイクルを築くことが可能となるわけですね。
なお、腕時計だとパテックフィリップが「永久修理可能」を全面に押し出し、その歴史において生産した腕時計(懐中時計も)すべての修理が可能であること、加えて自社でオークションに参加して(自社の)腕時計を高額落札することで中古相場を押上げ、これによってブランドイメージを不動のものにしているとも言われています(オーデマピゲは最近、自社で中古腕時計流通網を構築することを発表し、中古相場の高値安定化に乗り出した)。
つまり、「売りっぱなし」ではすぐにブランドは廃れることになり、過去の製品のコンディション維持、中古相場の高値安定があってこそはじめて「ブランド」が成立するのだとも考えられます。
ちなみにランボルギーニも「認定中古車制度」を導入して中古相場の安定化を図っていますが、これによって「売りやすく」、そして買い替えやすい状況ができてくればありがたいところですね。
ランボルギーニが全世界規模にて「認定中古車制度」開始!これによって安心して中古車を購入でき、かつ中古相場が安定して「乗り換えも楽」に
ブガッティは110年以上の歴史を持つ
そして今回のLa maison Pur Sangのスタートにあたり、ブガッティCEO、ステファン・ヴィンケルマン氏は「我々には110年を超える歴史があり、これまでに生産してきたクルマすべてを走行可能な状態とし、数十年後でもそれを維持したい」とコメント。
さらに、これによって「自動車の歴史において宝石のように輝く我社のクルマや歴史、遺産を保護し保存することがこれによって可能となる」とも。
ちなみにブガッティはつい先日、ヴェイロンについても「延長保証プログラム」をスタート。
今思おうと延長保証も今回のLa maison Pur Sangの一環であったということになりますが、この延長保証に加入すると、それまで個別に行っていたメンテナンスの総額が「約半分になる」ようですね。
ヴェイロンはシロンに比較しても維持費が高額なことで知られますが、中古にて購入し、メンテナンス費用の高さを嫌ってちゃんと手入れぜずに乗って事故を起こしたりクルマを壊したり、という事態をブガッティは「なんとしても避けたい」のかもしれません。
【動画】ブガッティ・ヴェイロンを2台所有するオレが維持費を語るぞ。オイル交換は毎年275万円、タイヤは2年に一回で415万円、ホイール交換は1.6万キロごとに550万円だ
なお、ヴェイロンは「1台売るたびに6億2400万円の赤字」だと報じられているものの、販売した後のメンテナンス、今後必要になるであろうレストア受付にて、多少とも「赤字を縮小」できるということになりそうですね。
ブガッティ・ヴェイロンは1台売るごとに6.24億の赤字だった!そのためブガッティのニューモデル投入につき親会社のVWは開発資金提供を渋っている模様