| 「リア2モーター」によるトルクベクタリングはなかなか強烈らしい |
おそらく誰も興味がないと思いますが、アウディがそのEV「e-tron」シリーズにハイパフォーマンスモデル、e-tron Sを追加すると発表し、そのプロトタイプを公開。
これは既に発売が開始されているe-tron 55 quattro/スポーツバックの上位に位置するモデルで、2モーターから3モーターへと構成を変更し、360馬力から435馬力へと出力向上を果たしたモデルです(フロントに1モーター、リアに2モーター)。
現在各自動車メーカーがEVを発表していて、メルセデス・ベンツだと「EQC」、アウディだと「e-tron 」が発売され、そしてBMWは「iNext」を発表する予定ですが、いずれも共通するのは「とにかく人気がない」ということ。
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誰も興味を持たないようなクルマを作らざるを得ない状況には疑問を感じる
いったいなぜEVの人気がここまで低いのかは不明ですが、とにかく誰も興味を示さないというレベル。
そして、誰も興味が持てないようなクルマをほぼすべての自動車メーカーがこぞって作っている、もしくは作ろうとしている現状については一抹の不安を感じざるを得ず、しかしもうちょっとEVが増えてきたり、各自動車メーカーがEVを作り慣れてきて「ガソリン車よりも魅力的な」EVを発売できるようになればまた事情が変わるのか、そして人々がEVに興味を持つようになるのかはまったく予測がつかないところ。
話をこのe-tron Sに戻すと、上述のようにこれは3モーターを採用するハイパフォーマンスEV。
アウディと同じフォルクスワーゲングループに属するポルシェのEV「タイカン・ターボS」ですら2モーターなので、e-tron Sの3モーターというのはかなり画期的だとも言えます。
なお、これによって0−100km/h加速は4.5秒にまで向上していて、最高速度は210km/hへ(リミッターによって制限)。
3モーターが向上させるのは加速だけではない
そしてアウディによれば、3モーターによって得られるのは出力向上や加速性能の向上だけではなく、トルクベクタリングによる運動性能アップも大きなメリットだとのこと。
コーナリング中には当然ながら後輪外側のトルクが強められることになりますが、これによって「後輪の駆動力で曲がる」というスポーツカー的な走りが可能になったと述べています(オフィシャルフォトにサーキット走行画像を用いているところからも、その自信のほどが伺える。今後ポルシェのEVにも3モーターが採用されるのかも)。
そしてパフォーマンスを強調するかのようにフェンダーアーチが拡大され、フロントバンパーにはブレーキクーリング用のダクトが設けられることに(必要に応じて閉じることもできる)。
ホイールサイズは標準で20インチ、オプションでは21そして22インチも用意している、とのこと。
さらにはe-tron 55 quattro同様にデジタルサイドミラーもオプション設定されています。
その他の装備だとアダプティブ・ダンピング・サスペンション(上下76ミリの範囲で車高を調整できる)が紹介されており、「アウディ自慢のテクノロジーがほぼ全部入り」といったクルマに仕上がっています。
なお、e-tron Sの価格や納車時期についてはアナウンスがなく、しかしe-tron 55 quattroの価格が850万円程度であることを鑑みるに、1000万を超えてもおかしくはなさそうですね(この価格の高さもEVの人気が出ない理由なのかも)。