| なぜそこまで売れるのかは全くの謎 |
Car and Driverが報道したところによると、北米市場ではSUVやクロスオーバーに加え、「車高を上げたワゴン」の人気が拡大している、とのこと。
つまりスバル・レガシィ・アウトバックのように樹脂製クラディングを装着したワイルド風味のワゴンということになりますが、これらは通常のワゴンに比較すると「9対1」という圧倒的な売れ行きを見せているようですね。
スバルは北米ワゴン市場にて”85.7%”ものシェアを持っていた!残り14.3%をアウディ、ボルボなど欧州勢が取り合う中で余裕の販売を見せる
スバル・レガシィ・アウトバックはアメリカ市場のうち1%を占めていた
ちなみにスバル・レガシィ・アウトバックが昨年北米で販売したのは18万台。
ボルボだとV60とV90にワイルド仕様の「クロスカントリー」が存在しますが、これらは通常のV60、V90に比較して倍の2,800台を売った、とのこと(レガシィ・アウトバックに比べるとケタが少ない)。
ちなみに2019年に北米市場で販売されたワゴンは全部で216,000台、うち196,500台が「アウトドア風味のワゴン」、そしてそのうちの180,000台がスバル・レガシィ・アウトバックなので、つまりレガシィ・アウトバックはなんと「アウトドア風味ワゴン」の中で84%、ワゴン全体でも80%ものシェアを持っている、ということにもなりますね。
ちなみにこの「ワゴン216,000台」について、アメリカにおける2019年の自動車販売が1705万台なので1.26%に該当しますが、スバル・レガシ・アウトバックは同じ計算だと1.05%に該当。
冷静に考えると、「たった一車種で、アメリカ市場の1%を占める」というのは凄いことなんじゃないかとも思います。
そのほか、こういった「アウトドアっぽいワゴン」だと、メルセデス・ベンツでは「Eクラス・オールテレーン」、アウディだと「A4/A6オールロード・クワトロ」などが存在するものの、これらはレガシィ・アウトバックに比較すると非常に販売台数が少なく(数千台)、よって、正確に言うならば、「アウトドア風味のワゴンが売れている」というよりは「レガシィ・アウトバックが売れている」といったほうがいいのかもしれません。
なお、スバル・レガシィ・アウトバックがなぜそこまで売れるのかは不明で、しかしざっとSUV含めて競合の価格を見たところ、おそらくは「レガシィ・アウトバックが安いから」。
日本国内市場においても昔からスバルは割安感がありましたが、これは「安物」という意味ではなく、スバルは「いらないものを切り捨てることでコストダウンを図っている」からだと考えています。
現在の日本市場においても、競争の厳しいセグメントからは距離をおき、共通したプラットフォーム、エンジンやトランスミッション含むドライブトレーンを使用して生産性の高いラインアップを構築しており(似たようなクルマばかりという指摘もありますが)、つまりは無駄がない商品構成。
かつて、スティーブ・ジョブズは「自分が成し遂げたことと同じくらい、自分が”やらなかったこと”を誇りたい」と発言していたことがあって、つまりそれくらい”何をしないか”を決めることは難しく、しかしスバルはそれをしっかりやっている、ということになります。