| パガーニは「サーキットではさほど速くない」という印象があったが |
パガーニがオフィシャルにて、「ウアイラBCロードスターが、スパ・フランコルシャンの市販車コースレコードを更新した」と発表。
そのタイムは2:23.08だとアナウンスされており、これはマクラーレン・セナの2:24.82を一秒以上短縮しています。
なお、タイムアタック中の最高速は318km/hに達したとのことですが、なぜ空力的に不利な「ロードスター」で挑戦したのかはちょっと不明で、もしクーペにてトライしていたら、もっと良い記録を出せたのかもしれません(もしかすると、不利なロードスターでもこれだけのタイムを出せるというアピールかもしれない)。
パガーニ・ウアイラBCロードスターはこんなクルマ
ウアイラBCは「ウアイラに設定される限定モデル」で、BCとは、パガーニ最初の顧客であるBenny Caiola氏のイニシャル。
そしてこのBenny Caiola氏は無一文でイタリアからアメリカへと渡り、そこで巨万の富を築いた人物である、ともアナウンスされていますね。
ウアイラBCははまず「クーペ」が先に発表され、その次に登場したのがウアイラBCはロードスター。
その価格は邦貨換算にて約3億8000万円というプライスタグ掲げられ、「ワンオフ」ではないクルマとしては「自動車業界中」でも相当に高価な部類です。
ウアイラ・ロードスターBCに採用されるエンジンはAMGから供給を受けた6リッターV12ツインターボで、出力は800馬力をマークしますが、これはクーペ版のウアイラBCよりも11馬力ぶん高出力な数字。
加えて、徹底的な軽量化によってクーペの1320kgに対して1217kgに収まっており、この「軽さとパワー」におけるアドバンテージこそが、今回の挑戦においては「空力やボディ剛性の不利をカバーして余りある」という判断だったのかもしれませんね。
ちなみにルーフは「ファブリック製」ですが、これは簡素なホロにとどまっており、よって高速にて走行すると膨張によって「飛んでいってしまう」可能性もあり、そのために今回のアタックではトップを装着していないのかもしれません。
なお、脱着は非常に困難だとされ、ちょっと畳み方を間違えると「収納できない」ため、裏面には折りたたみ線が立体にて設けられている、とのこと。
スパ・フランコルシャンはこんなサーキット
スパ・フランコルシャンはF1 GPサーキットの一つで、コース全長が7キロ超と非常に長いことが特徴。
高低差もきつく、とくに下りの終点にある左カーブ「オー・ルージュ」、そして天気が目まぐるしく変わるために突然雨が降り出したりという「スパ・ウェザー」が有名です。
現在コースレコードを保有するドライバーはルイス・ハミルトン(W11 EQ Performance/1:41.25)で、市販車だと今回のパガーニ・ウアイラBCロードスターが最速、そしてマクラーレン・セナ(2:24.82)、ケーニグセグOne:1(2:32.14)、ポルシェ911GT3 RS(2:25.00)、マクラーレンP1(2:38.00)と続きます。
パガーニというとルイス・ハミルトンをして「ハンドリングが最悪(こちらはゾンダですが)」と言わせたり、ニュルブルクリンクでもさほど速いタイムを記録できなかったりという事実から「パワー(と価格)の割にさほど速くない」という印象があるものの、今回の記録を見るに「やっぱり速かったんだ・・・」と改めて思い知らされます。
なお、公道走行不可能なモデルではあるものの、「ゾンダ・レボルチオン」がニュルブルクリンクを6:30で走ったという記録もあり、特定のセッティングを行えば、パガーニのクルマは相当に高いパフォーマンスを発揮するということなのかもしれません。