| まさかここまでハードなクルマを出してくるとは |
さて、パガーニがついに「究極のウアイラ」、ウアイラRを発表。
これはサーキット走行専用、しかしいかなる競技カテゴリーの制約も受けない「自由な発想で作られた最強の、そして限界を遥か彼方へと押しやった」ハイパーカー。※ただし、安全性はFIAの定める要件を満たしている
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パガーニ・ウアイラRはこんなクルマ
まず、パガーニ・ウアイラRに搭載されるエンジンは6リッターV12、出力は850馬力。
なお、このエンジンはAMG創業者が運営するレーシングカーコンストラクター、HWAとの協業にて製造されたもので、「V12エンジン史上もっとも軽く、もっともパワフル、もっとも効率的」とのこと。※アストンマーティン・ヴァルキリーがデリバリーされるまでは、という但し書きがつくのかもしれない
限定台数はわずか30台、価格は260万ユーロ(日本円で約3億3800万円)からに設定されていますが、その内容を見てみると「ウアイラ」の名がつくものの、実際は新設計の「レーシングカー」。自身のよく走るサーキットや環境にあわせ、オーダーメイドにて製造されると発表されており、この価格でも「安い買い物」なのかもしれません。
加えて、ガソリンエンジンを積む最後の「R」となる可能性が高く、その価値は非常に高いと言えそうです。
エンジンの開発にかかったのは約2年
パガーニに搭載されるエンジンというと「メルセデスAMG製」ということが知られていますが、このウアイラRに積まれるHWA製エンジンががAMG製と関係があるのかどうかは不明です(排気量から判断するに、ベースはメルセデスAMG製なのかも)。
許容回転数は9,000回転、単体での重量は198kg、高圧インジェクターを持つといい、その開発には2年を要したとのこと。
参考までに、ゴードン・マレー・オートモーティブ「T.50」に積まれる4リッターV12の重量は80.5kgとアナウンスされています。
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トランスミッションはやはりHWAによる新設計の6速シーケンシャルで、こちらの重量は80kgに収まり、シフトチェンジにかかる時間が大きく短縮され、フリクション効率も95%低減されているようですね。
テールパイプはおなじみ「クワッド」ですが、エキゾーストシステムの肉厚は「ロードモデルの1/3しかない」とされ、エキマニはもちろん等長、さらにサウンドはパガーニいわく「かつてのV12エンジンを積んでいたF1のよう」。※音量制限のあるサーキットにも対応できる
パガーニ・ウアイラRの車体構造は新設計のモノコック
なお、車体の核をなすのは新設計のモノコック。
最新の複合素材技術を盛り込んだといい、サーキット走行専用という性格上、万が一の際の保護を重視した構造を持っています(ドアの開閉方法がガルウイングからディヘドラル形式へと改められているのもその現れかと思われる)。
加えて専用のロールバー、サイドプロテクション(サイドシルが異常に高い)を持ち、フロントのサブフレームは衝撃吸収性を考慮したクロームモリブデン製。
これらによって、市販モデルのウアイラに比較してねじり剛性は16%、曲げ剛性は51%向上したといいますが、なにより驚かされるのは車体重量が1,050kgに収まっていること。
ダウンフォースは1,000kg
パガーニではエアロダイナミクスの向上についても多大な努力を行っており、そのダウンフォースは時速320km時でなんと1,000kg。
クーリングにも抜かりなく、フロントバンパーに装着された2つのダクトはブレーキを効率的に冷却することが可能です。
なお、フロントのホイールハウス上にはティアドロップ型のダクトが見え、これはポルシェやランボルギーニ、マクラーレンが採用する「ルーバー型」とは異なるものの、パガーニは「リアに効率的に風を流すためのもの」だと説明。
ルーフ上のシュノーケルも新しい形状を持ち、ダクトとフィンとが合体した形状を持っているほか、リアディフューザーもこれまでになく巨大。
車体後部は高速安定性向上のためか延長されており、リアフェンダー上にもやはりフロント同様に細長い縦型のダクトが(ウイングのステーを挟んで各側2本)設けられます。
ホイール、タイヤもウアイラR専用品
ホイールはAPP鍛造、サイズは前後とも19インチ。
タイヤについては、フロントウインドウにステッカーが貼ってあることでわかるとおりピレリ製で、専用開発となるスリック版のPゼロ。
パガーニは「プロフェッショナルでなくとも、加速やステアリング操作、ブレーキング時において、この上ない正確さとトラクションを実現する、と自信を見せています。
ブレーキシステムはブレンボ製、そしてディスクにはカーボンセラミック、キャリパーは前後とも6ポッド、ブレーキパッドはもちろんレーススペック。
サスペンション形式は前後ともダブルウィッシュボーンを採用し、ダンパーは電子制御とのこと(ウアイラRで電制ダンパーを採用してきたのは意外だった)。
パガーニ・ウアイラRのインテリアも特別製
今回ウアイラRの内装については画像がリリースされておらず、しかし最大限に配慮したのは「安全性」。
6点式ハーネスに難燃性素材の採用、自動消火システムなどを備えるようですね。
そのほかインテリアにおける特徴だと、クイックリリース式ステアリングホイールが挙げられており、これはレーシングカー同様、ステアリングホイール上にてブレーキやトラクションコントロールの設定が行うことが可能とされています(無線も内蔵)。
メーターはレース用のフルデジタルでデータロガーも装備しており、ペダルはAPレーシング製の調整式が採用される、とのこと。