| どうも「政治」と「企業」とでは見ている方向が異なるようだ |
ボクも環境に配慮したいとは思うが、政府が具体的に行動せず、実際に活動する企業へのバックアップが不足しているとも考えている
さて、スコットランドのグラスゴーにてCOP26気候変動会議が開催されましたが、ここでは、自動車メーカー、国、さらには都市に対し、2040年までに化石燃料を動力源とする自動車を段階的に廃止することを約束するように求めています。
しかし、グラスゴー宣言に対して賛同した自動車メーカーはわずか6社にとどまり、自動車生産を基幹産業とする国についても「署名を行わない」という結果となっており、今回のCOP26については「成功とはいえない」結末に。
多くの自動車メーカーはこれに同意していない
なお、今回の「2040年までにガソリンで走るクルマを廃止する」ことに同意したのは以下のメーカー。
2040年にガソリンエンジンを廃止することに合意した自動車メーカー
- BYD
- フォード
- ゼネラルモーターズ
- ジャガーランドローバー
- メルセデスベンツ
- ボルボ
そして一方、署名しなかった主要自動車メーカーは下記の通り。
2040年までのガソリン車廃止に同意しなかった自動車メーカー
- BMW
- ホンダ
- ヒュンダイ
- 日産
- ステランティス
- トヨタ
- フォルクスワーゲングループ
これを見るに、「合意したほう」はすでにエレクトリックブランドを展開したり、すでに同様の計画を自ら公表済みなので「納得」でもありますね。
一方でエレクトリック化を強く進めるBMWやフォルクスワーゲンが「賛同していない」のには驚かされ、しかし(関係筋がロイター通信に語ったところによると)「政府がEV充電インフラストラクチャを構築することを約束しないまま、テクノロジーに高額な投資を行うことを企業に求めている」ことを理由にサインしなかったと語っており、これはある意味では納得だと言えます。
つまり、本来は政府が主導して進める計画なのに「政府が企業に対してそれを丸投げ」しているようなもので、たとえば業界は異なれど、日本政府が「携帯電話のネット接続料金を引き下げろ」と通信事業者に対して強く要望しているものの、ぼくからすると「政府主導で国中にフリーWi-Fi普及させろよ・・・」と思うのと同じかもしれません。
そしてEV普及についても、「充電するところがないのにEV製造を推奨したり、ガソリン車を禁止してどうすんの・・・」という感じですが、リスクや環境汚染を過度に気にして原発や火力発電を停止し、その結果として電力が足りなくなってしまい、結局困るのは国民である、というよくあるパターンにもにています。
グラスゴー宣言に賛同した国、賛同した国や都市はこうなっている
そして「国単位」でグラスゴー宣言に賛同した国はインド(本当にできるのか・・・)、ポーランド、ニュージーランド、都市だとサンパウロ、ブラジル、ソウルなど。
一方で賛同しなかったのは日本、中国、ドイツ、米国などの主要な自動車産業を持つ国々。
ちなみにドイツの環境省スポークスマンはロイター通信に対し、再生可能エネルギーで作られた燃料が計画の対象となるかどうが等が明確でないとも語っており、つまりはこの計画の内容そのものがあいまいな目標にとどまっていて具体的な指標がないということなのかもしれません(ここが「政治」と「企業」の違いであり、政治は目標を掲げるものの手段を示さず、一方で企業はその手段=プロセスを重視する)。
なお、一部の地域はさらに「前倒し」の目標も掲げていて、たとえば、英国は2030年にガソリン車とディーゼル車を、2035年にハイブリッド車を禁止すると述べ、カナダは2035年に燃焼発電所を閉鎖する計画を公表しています(リフォルニアとニューヨークも2035年にこれらの計画を実施すると誓約)。
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参照:Reuters