| こういったエレクトロモッドは大歓迎 |
ガソリン車同様の感覚がどれくらい残されているのかが非常に気になる
さて、ここ数年のEVの進歩には眼を見張るものがあり、ちょっと前だとEV=遅い、環境のために何かを我慢して乗らねばならないといったイメージがあったものの、最近のEVだとガソリン車にできることのほとんどができたり、直線加速においてはガソリン車を寄せ付けないものも多数登場しています。
そのため、「EVでないとドラッグレースに勝てない」といった認識も一般的になりつつあり、今後さらにその傾向が強まるのかもしれません。
一方で「EVは楽しくない」とも
その一方、EVはやはり楽しくない、エモーショナルではないという意見も多く、その理由としては「エンジンやエキゾーストシステムが奏でるサウンドが存在しない(そのため、ハーレダビッドソンの電動バイク、ライブワイヤーはあえてギアセットを用いてメカニカルノイズを発生させている)」「変速機がない」「エンジン回転数とともにパワーが盛り上がるといったドラマに欠ける」といったものが多数を占めると思いますが、今回紹介する、イギリスはオックスフォードに拠点を置くエレクトロジェニック社はその多くを解決しているように見え、ここでその仕事っぷりを見てみたいと思います。
ポルシェ356をピュアエレクトリック仕様へとコンバート
このエレクトロジェニック社はこれまでにも多くのクラシックモデルをEV化しており、たとえば一例を挙げるとフォルクスワーゲンバス、ビートル、ロールスロイス・シルバーシャドウ、ハドソン・コモドールなど。
そしてこれらに共通するのはなんと「(EVなのに)トランスミッションを持つ」ということです。
今回紹介するポルシェ356だと、もともとのベース車両に積まれる4速トランスミッションを使用しており、エンジンとそっくり入れ替えられたエレクトリックモーターは車体後部に積まれ、このモーターが発生したパワーがトランスミッションへと送られる仕組みです。
エレクトリックモーターが発生するのは120馬力ですが、これは純正のフライホイール、プレッシャープレート、クラッチを介してトランスミッションへと入力されており、つまりは単純に「ガソリンエンジンがエレクトリックモーターと入れ替わったのみ」。
よって発進の際にはクラッチ操作が必要であり、空ぶかしをするとフライホイールが回転する(うなる)音も出るとのことで、このあたりのノイズは気分を盛り上げてくれそう。
なお、マニュアル・トランスミッションを用いることで、操作する楽しみの他にも、「巡航時や高速走行時のモーター回転数を抑えることができる」ためにバッテリーの過度な消耗も防ぐことができると思われ、効率の向上にも役立っているものと思われます。
もちろん、ノーマルの「1.1リッター、40馬力」エンジンからは大幅にパワー/トルクが向上しており、かなりアグレッシブな走りも楽しめるようですね。
見た目では「エレクトリックカー」だとわからない
そしてこのポルシェ356の見た目からはエレクトリックカーだということを想像するのは難しく、判別できる材料があるとすればウインドウに貼られたエレクトロジェニック社のステッカーくらい。
ちなみにテールパイプも残されているので、この点でも「見た目はガソリン車」。
フロントトランクにはスペアタイヤが積まれ、しかしその奥にインバーターが位置するのは「かろうじて」ノーマルとは異なるところ。
モーターやバッテリーはリアスペースに積まれています(ちなみに空冷)。
インテリアもやはりノーマル同様。
この「エレクトリック356」へのコンバート費用ですが、車体を抜きにして約460万円~780万円くらい(航続可能距離にもよる)。
けして安い価格ではなく、かつ「ポルシェ356をエレクトリック化するなんて」という非難もありそうですが、エンジントラブルやメンテナンスを気にせず、気軽にポルシェ356を楽しめるという観点では、こういった改造も「アリ」だと考えています。
ポルシェ356のエレクトリックモッドを紹介する動画はこちら
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参照:AutoTrader