| 現在、日本人の井野龍之介さんが日産車のにおいをグローバルでコントロールする頂点に立っている |
ボクはにおいに鈍感なのでこの仕事はできそうにない
さて、日産は車内の匂いを改善するため、昨年9月に「匂いエンジニア」を採用したと発表していますが、今回は厚木の日産テクニカルセンターにて「車室内空気室テクニカルエキスパート」として働く井野龍之介さんを日産公式コンテンツ「日産ストーリーズ」にて紹介しています。
日産いわく、「車内の匂いは、快適にドライブするための重要な要素」だと位置づけており、”非常にこだわっている”とのこと。
そしてその匂いをより良くするために井野龍之介さんが日夜業務をこなしているわけですが、彼は「幼い頃からなんでも匂いをかぐのが好きだった」といい、横浜出身ということもあって「店ごとの肉まんのにおいも嗅ぎ分けられる」そうです。
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「ニオイマイスター」としてグローバルリーダーのポジションを獲得
なお、井野龍之介さんは車内では「ニオイマイスター」と呼ばれており、日本仕様の日産車だけではなく世界中の日産車のにおいの基準を設定しているといいます。
そして同氏によると、人間の嗅覚は非常に強力であり、においは前頭葉眼窩皮質、扁桃体、海馬といった、記憶や感情をコントロールする脳中枢まで届き、よってにおいは記憶とつ強く結びつくことがあるもよう。
たしかに、ぼくもすでに売ってしまったクルマに関し、その記憶につき「エアコンが臭かった」ということを真っ先に思い出したりするので、クルマにとってのにおいは重要なのかもしれませんね。
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クルマのにおいの調査に関してはいくつか心がけていることがあるといい、まずにおいは「一番近いところから感じられる」ため、すべての座席に座って(7人乗りであれば7つのシート)においを確認すると述べています。
さらには運転中や乗車中と同じ動作、つまりサンバイザーを操作したり、グローブボックスを開けてみたりという動作を行いつつにおいをかぐ他、シートのみではなくヘッドレスト、ダッシュボード、ルーフ、カーペット、マット、カップホルダーのにおいも個別にかぐようですね(同じパーツでも、サプライヤーが異なれば、サプライヤーの数だけにおい評価を行う)。
そしてにおいの確認は、「鼻が慣れる」のをふせぐために数分以内に行うといい、もし「慣れて」しまった場合は鼻を「リセット」する必要があって、井野龍之介さんがいつもやっているのは「自分の肘のにおいを嗅ぐ」。
慣れ親しんだにおいを嗅ぐことで別のにおいを判別しやすくなるためだそうですが、他のにおい専門家だと外気を吸う、もしくはコーヒー豆のにおいをかぐ場合もあるようですね。
そのほか、外的状況によっても車内のにおいがかわるため、日産の施設内には太陽光に匹敵する照明装置を持つ閉鎖環境もある、とのこと。
もし、におい評価において「基準を満たさない」となると、何度でもにおいを嗅ぎながらその原因をつきとめ、ときには生地や接着剤を製造するメーカーと交渉することもある、と述べています。
どうすればにおいエンジニアになれるのか?
なお、嗅覚は数値にてテストすることが難しく、この職業に就くための試験はキャメルや靴下などの「わかりやすい」もので行われ、最終的には「クルマに使用される部品やにおいまで嗅ぎ分ける」厳密なテストに合格せねばならないといい、そして日産ではこういったにおいを嗅ぎ分けるための能力開発も行っているようですね。
そして「好まれるにおい」は地域によって異なるため、欧州(日産テクニカルセンター・ヨーロッパ)ではピーター・カール・イーストランド氏、アメリカ(日産テクニカルセンター・ノースアメリカ)ではトリ・カール氏が評価を行っている、とも紹介しています。
参考までに、中国では(多くの地域で好まれる)新車のにおいが好まれないといい、この対策を行う自動車メーカーもあるようです。
ニオイマスターの仕事を紹介する動画はこちら
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参照:NISSAN