｜ テスラは現在2つの工場だけで年間50万台を生産していた ｜
イーロン・マスクCEOは最大で年間2000万台の生産を視野に入れているというが
さて、テスラの新しい生産拠点「ギガファクトリー・ベルリン」がついに着工から2年を経てオープン。
テスラは現在カリフォルニアと上海に工場を持っていますが、今回のベルリンは欧州で初の生産拠点となり、単一工場への投資額としては自動車史上最大と言われる50億ユーロが注ぎ込まれています。
なお、このギガファクトリー・ベルリンでは、「この工場が環境に優しくない」という環境団体による抗議やデモが繰り返されたこともあり、予定よりも数ヶ月遅れての稼働開始となっていますが、それだけにイーロン・マスクCEOにとっては「よろこびもひとしお」だったようで、記念祝典の際に思わず踊りだしてしまう姿が目撃されています。
ちなみにテスラの株価も大きく（前日比73ドル）上げていて、ぼくの「フェラーリ296GTB購入基金」も大幅にその額が増えています。
ギガファクトリー・ベルリンの開所式が盛大に開催される
このギガファクトリー・ベルリンの稼働開始記念祝典は3月22日に開催されており、ドイツのオラフ・ショルツ首相、ロベルト・ハーベック経済・気候変動担当連邦大臣、その他連邦政府や地方自治体の高官が出席し、自動車業界のみならず、過去に例を見ない最高レベルの名誉ある式典になったといい、この場ではテスラのマスタープラン第3弾の発表が行われた他、生産されたモデルYの引渡式も執り行われたようですね。
ちなみに当日の予定は事前に公表されており、「現地時間11時から13時まで工場見学、13時から13時20分まで簡単な挨拶、そこからモデルYの引き渡し（13時30分から14時30分）、集合写真（15時）、祝宴（15時から21時）」、そしておそらくどこかでイーロン・マスクCEOのダンスも含まれるとされていたので、同氏が踊ることについては「想定済み」だったということに。※じっさい、上海ギガファクトリー開所式の際にも踊ったことがある
なお、この工場の稼働開始については本来の予定であれば8ヶ月前に実現をしていたはずだったものの、環境（主に水の供給）問題と政治的な問題で様々な遅れが生じていて、しかし稼働開始に伴い車両組立工場と隣接するバッテリー工場にて新たに（最大で）12,000人を雇用するといい、地元にとっては嬉しい存在なのだと思われます（この工場はブランデンブルク州で最大の雇用主となる）。
ただ、イーロン・マスクCEOによると、生産能力の最大化には工場建設に要した2年よりも長い時間がかかる述べており、これは今までの経験則に基づいたものだと思われ、つまりは「イキナリ何十万台も生産することはできない」ということですね（同氏が、リビアンについて、生産開始後こそが正念場だと語ったことが思い出される）。
JPモルガンの予測では、この工場は2022年に約54,000台、2023年には28万台、2025年にはようやく50万台までに生産能力が拡大するということですが、テスラも経験を積んでいるので、もしかすると（上海工場の例を見ても）この予測より早く生産能力が最大化する可能性も否定できません。
そしてバッテリーについては最大で50GWhぶんのバッテリー生産を持つことを想定しており、これらが予定に達すれば「欧州で最大のEVそしてバッテリー工場」になる、とも報じられています。
ベルリン・ギガファクトリーでは30台のモデルYが納車
そしてベルリン・ギガファクトリーの開所式においては30台のモデルYが顧客に引き渡されたと報じられ、その顧客はもちろん、その家族も招待されて記念すべきイベントが開催されており、イーロン・マスクCEOは「これは工場にとって素晴らしい日だ。持続可能な未来の方向への新たな一歩となる」というコメントも残したようですね。
しかしながらその一方、工場の外では水の使用量に反対するデモ隊の姿が見受けられ、約1年前に違法な配管工事によって排水が地元の飲料水源に流れ込んだ可能性があるとして調査が行われたこと、工場建設に携わった労働者の賃金が低く、危険な居住環境に置かれていという問題などを掲げて抗議を行う様子も散見された、とのこと。
テスラは4月から本格的に車両の生産を行う予定だとしていますが、これによって現在上海から欧州に輸送しているコストを削減でき、上海で生産した車両は中国内で販売できるようになるために（中国での供給を圧迫することはなく）市場ごとの効率化がなされると考えてよく、「溜まってゆく一方の」受注解消に向かって動き出すことになりそうです。
ギガファクトリー・ベルリン開所式の様子を収めた動画はこちら
参照：InsideEVs, Bloomberg Quicktake: Now