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2025年までのEV販売勢力予想が公開!テスラは2024年にVWに追い越され、トヨタは中国メーカー3社に抜かれてなんとか10位、BMW、ホンダ、日産は蚊帳の外へ

2022/06/18

テスラ・モデルY

| ただしこの予想はあくまでも「現在の数字をベースにしたもの」で不確定要素は含んでいない |

そしてボクはEV販売に重要なのは「ブランド力」だと考えている

さて、ブルームバーグが今回「電気自動車の販売に関する新しいレポート」を発表し、これを見ると”予想よりも早くテスラの王座が陥落し、1年半以内にフォルクスワーゲンに抜かれるだろう”ということがデータとともに示されています。

この根拠となるものは、現在すでに欧州市場において、フォルクスワーゲングループ(ポルシェやアウディも含む)がテスラの17万台に対して31万台を販売しており、かつVWグループは2020年に比較しても倍の販売台数を記録し、成長基調にあること。

そしてVWグループはまだアメリカ市場において販売が大きくはなく、しかしここが伸びればワールドワイドでの販売を一気に伸長させることが可能だと見ているようですね。

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2025年の「EV販売予想図」はこうなっている

ブルームバーグの報告では、2025年までに(自動車販売における)EVのシェアは現在の6%から15%の上昇するとしており、そしてこの牽引役は中国と欧州だとしています(アメリカ市場は2025年に6%に達するとしている)。

ただ、中国市場においては現地自動車メーカーの存在感が強いだろうとも見ており、巨大市場である中国での販売台数を反映する形にて、2025年時点での(全世界での)EV販売台数第3位には中国のBYDが入り、さらに4位がフォード、5位に長安汽車、6位にGM、7位にステランティス、8位に吉利汽車、9位にメルセデス・ベンツ、10位にトヨタという予測が出ています。※1位は2024年にテスラを逆転するフォルクスワーゲングループ、2位はテスラ

なお、4位~8位は混戦状態、そして遅れて9位のメルセデス・ベンツ、さらにガクンと落ちて10位のトヨタ。

トヨタの評価が低いのは現在の「あまりEVに積極的ではない」姿勢がそのまま出ているのだと思われ(昨年末にEV販売計画を引き上げたが、実際には目に見える行動として現れていない)、そしてBMW、ホンダ、日産+ルノー+三菱が完全に蚊帳の外なのも興味深いところですね。

フォルクスワーゲン製EVの人気は「本物」か?

そしてここまでフォルクスワーゲンが販売を伸ばしていたというのはちょっと意外で、その理由についてはちょっと謎。

フォルクスワーゲンはテスラを(非常に強く)ライバル視しており、価格・スペック面(つまりコストパフォーマンス)でもこれを越えようとしてペネトレーションプライス(市場貫通価格。数量を販売するために利益度外視で安く売る)を採用していると報じられていて、実際に「利益が出ていない」というコメントも発せられているので、もしかすると現在の人気は「安いから」という理由なのかもしれません。

ちなみにフォルクスワーゲンのEVにつき、2022年の生産予定分はすでに「受注で埋まっている」とも言われますが、これは各社とも同様であり、とくにサプライチェーン問題に悩まされる現在、「完売」は人気をはかる指標としては用いることができないかも。

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このレポートは現在の数字からの「予測」にしか過ぎない

なお、この報告書は、ブルームバーグも言及しているとおりに「現在のデータをもとに推測したもので」であり、予想外の事態を考慮に入れていないのには要注意。

実際のところ、ここ数年でコロナ、原油高、戦争、それらに起因するサプライチェーン問題、加えてバタフライエフェクトが発生しており、これから数年はさらに新しい要因や既存の問題に起因する苦境に悩まされる可能性も。

そうなったとき、いかに「逆境に強いかどうか」が実際の販売台数に現れるとも思われますが、フォルクスワーゲンは上述の通り「EVでは儲かっていない」ようなので、今後の値上げは必至かもしれません。

そして値上げとなるとフォルクスワーゲンの顧客は一気に離れてしまう可能性があり(VWが好きというよりは、割安なEVという理由で購入している人が多いと思われる)、風向きは「その顧客に値上げ耐性がある」プレミアムブランドに有利に働く可能性も。

たとえばテスラは「いかに値上げしても顧客離れが起きない」ことで知られていますが、似たような例だと、つい最近「シャネルの利益が、値上げによって3倍になった」というものも。

顧客の忠誠心が強いブランドはどれだけ値上げしても顧客がついてくるので、「不況時ほど強い」とは言われますが、現代の不透明な状況において「値上げについてこれる顧客を持つ自動車ブランド」は少ないかもしれません。

ちなみにブルームバーグでは、フォードだと「F-150ライトニング」が成功するだろうと見ていますが、これもまた「どれだけ値上げしても購入希望者が後を絶たない」クルマかもしれませんね。※ハマーEVもそれに近いかも。そう考えるとEVはブランニューモデルではなくビッグネームを用いるという手法が正解か

参考までに下の円グラフは各社の利益(EBITDA)ですが、テスラは販売台数(94万台)の割にトヨタ(テスラの10倍である951万台)、VW(888万台)よりも大きな利益を得ていることがわかり、これがつまり「企業の体力」。※ある意味フェラーリもスゴい。販売台数は1万台ちょっとなのにルノーの5倍近い利益をあげている

今後EV製造の原価は(人件費や原材料費の高騰にて)どんどん上がってゆくと想定されますが、自動車メーカーはそれに対応すべく値上げを行う必要があり、しかしメーカーのブランド力に応じ、どこかで消費者が離脱することになります(ブランド力が高ければ高いほど離脱ポイントも高い)。

これは今回のレポートには入っていない「想定外の要素」であり、それを加味すると、実際のEV販売予想台数(勢力図)はもうちょっと違ったものとなるかもしれませんね。

参考までにですが、テスラは販売直前まで進んだと言われる「安価なEV」計画を突如キャンセルしており、それは「今後製造原価が上がることになり、安価なEVはもはや安価ではなくなり、安価なEVを求める顧客は中国製のEVに流れ、利益に貢献しない」と踏んだからだとも推測しています。

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参照:InsideEVs, Bloomberg intelligence

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