| どこもインターナショナル・ハーヴェスター・スカウト」を買収していなかったことにむしろ驚き |
たしかにフォルクスワーゲンが「トラックを発売」というウワサはあったが
さて、フォルクスワーゲンはつい先日「ピュアエレクトリックトラックを発売するかもしれない」というコメントを出していますが、今回は公式に「インターナショナル・ハーヴェスター・スカウト」をピュアエレクトリックブランドにて蘇らせる、とコメント。
ただ、インターナショナル・ハーヴェスター・スカウトは日本市場ではあまり馴染みがなく、ここで説明しておくと、これは1960年代から1980年にかけ、アメリカではジープのライバルとして販売されていたクルマ。
「インターナショナル・ハーヴェスター」がメーカー名で、「スカウト」が車名ということになりますが、インターナショナル・ハーヴェスターは乗用車のほか、トラクターやトラックなどヘビーデューティーかつプロフェッショナルな車両を製造しており、しかし1985年に廃業することに。
ただ、そのうちトラック部門は「ナビスター・インターナショナル」として存続しており、フォルクスワーゲンは2020年にこのナビスター・インターナショナルを買収することで「スカウト」の名称使用権を手に入れたのだと思われます。
ちなみにインターナショナル・ハーヴェスター・スカウトはこんなクルマ(カスタム済み)。
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新生スカウトは「独立した新会社」に
そして今回フォルクスワーゲンが発表した内容だと、新しいスカウトはひとまずアメリカ向けとして展開され、ピュアエレクトリックブランド、そしてフォルクスワーゲンとは独立した新しい会社になるということ、さらにはエレクトリックトラックとSUVを2026年から生産開始する、ということ。
フォルクスワーゲングループのヘルベルト・ディースCEOによれば「フォルクスワーゲンブランドが米国での再建に成功した後、私たちは、EVにとって最も重要な成長市場の一つ、米国における当社の地位をさらに強化する機会を得ています。電動化によって、グループとして非常に魅力的なピックアップとR-SUVのセグメントに参入する歴史的な機会をここに提供し、米国市場で重要なプレーヤーになるという我々の野心を明確にすることになります」。
そしてこの新会社名は単に「スカウト」を名乗り、フォルクスワーゲンのバッジエンジニアリングではなく、プロトタイプの設計、エンジニアリングから生産仕様車の製造までを「独自に」行うことになるもよう。
THIS IS FOR YOU - #USA! 🇺🇸🛻
— Volkswagen Group (@VWGroup) May 11, 2022
⚡ We will produce an all-electric pick-up and rugged SUV
⚡ The strong Iconic brand #Scout get's electrified
⚡ Production will start in 2026 pic.twitter.com/blZy8b0Z29
フォルクスワーゲンによると、まずは今年末に「スカウト」が正式に設立され、2024年には新型ピックアップとSUVのプロトタイプが登場し、その後すべてが予定通りに進めば2026年にはプロダクションモデルが実際に路上を走行することに。
現時点ではどこで製造されるか(工場所在地)は不明ですが、スカウトそのものは米国を拠点とする予定だというので、その工場もやはりアメリカに置くのかもしれません。
アメリカではエレクトリックトラックがひとつのブーム
フォルクスワーゲングループのCFOであるアルノー・アンティリッツ氏は、「今年設立する会社は、フォルクスワーゲングループ内の独立したユニットとブランドになり、独立して運営されます。これは、新しいグループ運営モデル、すなわち機敏に行動し、当社の技術プラットフォームにアクセスすることで相乗効果を発揮する小規模なユニットに合致するものです」と述べており、フォルクスワーゲングループの持つ資産を活用しつつ、その国や地域にマッチしたクルマをより早く開発・製造して販売することを目指したものだと考えて良さそう(今後はこれの中国版、南米版などが出てくるのかもしれない)。
そして米国においてその存在感を示そうとなると「トラックとSUV」以外に道はなく、これはフォードがEVへと参入するに際してマスタング・マッハE(SUV)とF-150ライトニング(トラック)を、GMがGMCハマーを、そして新興EVメーカーであるローズタウンとリビアンもピックアップトラックを選択していることからも明らかです。
「ハーベスター・インターナショナル」がこれまで買収されずに残っていたことにも驚きですが、フォルクスワーゲンがこれを買収したことにも驚かされ、フォルクスワーゲンが本気でトラック市場に参入するという決意のあらわれだとも捉えることができそうですね。
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