| それでもボクは「テスラの株は下がったときが買い」だと考えている
ただし今年の前半はテスラにとってかなり苦しい戦いになるだろう
さて、テスラは昨日第4四半期の決算発表を行い、その場で「半導体不足のため、2022年は新型車を発売しない」と発表。
これはつまり、2022年にはサイバートラックも、セミ(トラック)も、2万5000ドルと言われたエントリーモデルの発売もないということで、エントリーモデルに至っては「現在取り組んでいない」ことにも言及されています。
反面、プラス材料として提供されたのが完全自動運転機能の提供が2022年になるという予想、そしてオプティマス・ヒューマンロボット(テスラボット)に関する詳細の説明です。
なお、利益そのものについては「7.6倍」となったものの、これはすでに織り込み済みの材料であり、これに関しては「スルー」されたようですね(テスラの場合、決算で利益を出したとしてもあまり反応はなく、むしろ今後の計画に注目されることが多い)。
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2022年にはなぜ新型テスラが登場しないのか?
そこでなぜ2022年にニューモデルが登場しないのかということですが、これは上述の通り「チップ不足」が主な理由。
仮にサイバートラックを発売したとしても、そのぶん(サイバートラックにチップを回すので)ほかモデルの生産が減るだけであり、イーロン・マスクCEOは新型車を発売してもトータルでの販売台数は変わらない(同氏の表現を借りれば”意味がない”)、と述べています。
「2万5000ドルのベイビーテスラ」プロジェクトを進めていないことも同じ理由だと思われ、仮にこれを発売すると、より利益単価の低いこのモデルに販売が集中することは間違いなく、そうなると「販売台数が同じであれば、そのぶん利益総額が低くなる」ために現在は”見送り”としているのかもしれません。
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そう考えると、いつも大きな話を展開しているイーロン・マスク氏も「実際は堅実派」であることがわかりますが、実際のところテスラはサイバートラック、セミ、ロードスターの開発を続けているものの、それらのデビューよりも、現在の工場(米国カリフォルニア州/中国上海)の生産能力を増強し、新拠点(米国テキサス州/ドイツベルリン)での生産を開始することに注力しているともコメント。
この理由はもちろん、既存モデルの需要を満たすことが(現在)できていないためで、長い納車待ち期間を短くすることが先決であり、作れば作るだけ「売れる」ということを意味し、よって生産能力拡充が利益増加の近道だという理論です。
このほかイーロン・マスクCEOの口から語られたのは自動車の基本機能(電動シートや電動ウィンドウなど)を動かすチップの供給が限られているため、半導体の使用を最適化すること、そして「オプティマス」と呼ばれるテスラロボットの開発継続についてですが、今回「明るい材料」が出てこなかったことに対し、投資家が大きく失望することとなったわけですね。
テスラ株は12%下げる。今後の見通しは?
そして失望に連動した「失望売り」も大量に発生していて、昨年11月9日以来の大きな下げを記録し、終値は829ドルとなって「前日比12%安」。
ちなみにぼくはこの状況でもテスラ株を売らずに持っていて、それは単に「また上がると考えているから」。
その理由はいくつかありますが、まずは上述のように、「飛び道具よりも、地道な利益を獲得する方向で動いている」こと。
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これは非常に重要であり、なんだかんだ言って基本となるのは「生産能力」であり、これがないと(初期のテスラのように)いかに優れたニューモデルを考えたとしても実際に発売できないわけですね。
これは現在リビアンが直面している問題であり、おそらくは予約好調なフォードF-150ライトニング、GMCハマーEVもゆきあたる問題かと思われます。
もちろんサイバートラックがこれらに比較して「出遅れた」のは非常に痛い事実ではありますが、生産能力を拡大し、そこから満を持しての挽回は十分に可能なレベルであり、そこからベイビーテスラを投入してもまだ遅くはない状況だと考えています。
むしろ、今の段階で「市場シェアを獲得しようと」焦って低価格EVを投入したメーカーは利益を削られるだけになり、そしてその後に「価格を上げる」ことはできないので(安価なEVメーカーだとレッテルを貼られている)、競争の中で体力を失い、そこで「高価なクルマを販売しているテスラ」が安価なEVを発売すれば(そこに人気が集中し)一気にシェアを獲得できる可能性も。
その他の理由だと、インドやトルコなど新しいマーケットへの進出、そして自動運転技術の開発。
この自動運転についてはなんだかんだ言われているものの、実現すればけっこうなビジネスになり、というのもすでにテスラのクルマには自動運転が可能となるハードウェアがすでに搭載されており、あとは「ソフト」のみ。
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よって、このソフトが完成すれば、テスラはサブスク、もしくは買取にて「すでに納車した」オーナーに対してオファーでき、そこからの収入も得られるということになります(これを可能とするためにも、とにかく今は生産能力を拡大せねばならない)。
多くの人はテスラに対して「予想以上のもの」を期待し、そして今回それが裏切られたと感じているのだと考えていますが、実際にテスラは「もっと先」のことを考えていて、その先をぼくは評価したいと考えています。
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参照:CNBC