｜ 以前はこういった話も珍しくはなかったが、今でも同様のしきたりがあろうとは ｜
場所を確認しなかったオーナーにも責任がないとは言えないが
さて、ホンダ・フィットのオーナーがゼネラル・モータースの駐車場にクルマを停めていたところ、「駐車違反」の警告を受けたとして話題に。
このホンダ・フィットのオーナーによると、GMのミズーリ州ウェンツビル・アッセンブリー・センターでは「GM車専用駐車場」「GM以外の国産（アメリカ）車専用駐車場」「外国車用駐車場」の3つがあり、GM車専用駐車場は施設のすぐ近くにクルマを停めることができるものの、ほか2つの駐車場は施設から離れたところに設置され、クルマを停めたのちに歩いて施設へと向かう必要があるのだそう。
ホンダ・フィットが停めていたのは「GM以外の国産（アメリカ）車専用駐車場」
なお、このホンダ・フィットのオーナーが自身のクルマを駐車したのは「GM以外の国産（アメリカ）車専用駐車場」とのことで、なぜ「日本車」であるのに「アメリカ車専用スペース」に駐車したのかは不明ではあるものの、戻ってきた際にはGMのスタッフによって駐車違反警告がワイパーとウインドウとの間に挟まれており、そこには「駐車違反10176。PK (Parking) in Domestic Only Lot＝国産専用スペースに駐車」と記されています。
もちろん指定場所以外に駐車したオーナーの落ち度ではありますが、今回ネット上では「GMは、GM車以外、そして外国車を差別している」として話題になっていて、しかし実はこの”ルール”は数十年前からあるものだといい、これを制定したのはGMではなく全米自動車労働組合（United Auto Workers＝UAW）なのだそう。
現在もこのルールは全米自動車労働組合が運営しているというので、GMのみではなく、フォードやほかのアメリカンブランドの工場では同様の掟があるのかもしれませんね。
ちなみにこのGMの駐車場につき、「3つの」駐車場があることについて述べましたが、「GM車以外」の駐車場は外部から見えないところに駐車するように設計されていて、つまり周囲からは「GM工場の駐車場に停まっているのはGM車のみ」に見えるように配慮されているもよう。
もしこれが「GMの意向で」こういった設計となっているのであれば、GMの従業員、そして出入り業者に「GM車を購入することを強制している」ように受け取ることも可能ですが、全米自動車労働組合がこのルールを作ったのであれば、その真意はそこにあるのではなく、そのブランドに対する忠誠心を養うことや団結力にあるのかもしれません。
過去には「テスラが外国車と間違われた」ことも
参考までに、2年ほど前にもGMにおける「駐車場」が話題になったことがあり、この場合は「テスラを、GM以外の国産（アメリカ）車専用駐車場に停めていたら違反切符が切られた」というもの。※この場合、テスラオーナーは正しい位置にクルマを駐車している
テスラは完全なるアメリカ車なのですが、この件に関しては、GMの駐車場を管理するスタッフが「テスラをアメリカ車だと認識できなかった」ために起こったと報じられており、当時のテスラはその程度の知名度しかなく、しかしこの2年でテスラのポジションが大きく変わったということにも驚かされます。
日本でも同様の事例が存在する（存在した）
ちなみにですが、ちょっと前の日本でも同じような例があり、たとえば三菱の工場への納入を行う際、三菱車以外だと「敷地内に入れてもらえない」ということがあり、当時ぼくがバイトしていた資材問屋では「三菱に行くときは必ず三菱の営業車に乗ってゆくように（ほかにもホンダやトヨタの営業車もあった）」ということが徹底されていたことを思い出します。
もちろんこれは「以前」の話であり、今はそういったこともないのだと思われますが、自社の敷地内に他社のクルマが停まっていることを許容できない（それをほかの来客に見られたくない）企業の気持ちもわからないでもありません。