| どんな「バーンファインド」もその裏に隠されたストーリーが興味深い |
そしてポルシェ911はやっぱり頑丈なクルマだった
さて、納屋から発見される希少なクルマたち、つまり”バーンファインド”は世界共通の人気コンテンツですが、その人気の秘密は「なぜ長い間納屋で眠ることになったのか」「そしてなぜそれが発見されたのか」というドラマがあり、ときにそれが人の心を打つからだと思われます。※バーン=納屋
そして今回紹介するポルシェ911もまた固有のストーリーを持っており、所有者にとっては忘れがたい一台なのですが、ここでその物語を見てみましょう。
このポルシェ911はメンテナンスがなされることなく納屋に眠る
このポルシェ911の現在のオーナーはヘレン・コルベットさんなる人物で、彼女はこのクルマのことを忘れていたわけではなく、ずっとここにあることを把握しており、しかしおそらくは感傷的な理由で「手を触れずに」置いていたもよう。
まず、この1978年式ポルシェ911SCはもともと彼女の義父が所有していたもので、その後ヘレンさんの夫の手に渡ったと説明されています。
そして”バーンファインド・ハンター”ことジョニー・スミスさんがガレージを開け・・・。
登場したのはブルーにペイントされたポルシェ911SC。
このポルシェ911の横に停まっている黄色いクルマはトライアンフTR6。
これはヘレンさんの夫が「定年退職後にレストアしようと」手に入れたクルマですが、このガレージから出ることは一度もなかったのだそう。
その理由は悲しいかな、ヘレンさんの夫が他界してしまったから。
ヘレンさん自身はこれらのクルマを運転することなくこのままの状態にしており、しかし1980年代なかばに義父がこのポルシェ911を購入したときからの資料をすべて保管しているのだそう。
こちらは修理明細。
そしてまだこのポルシェ911が元気に走っていた頃の写真も。
なお、ヘレンさんの夫はポルシェ911の整備を行うべく工具やオイル、スパークプラグ、エアフィルターなどを用意していたものの、それらは使用されることなくガレージに保管されたままとなっています。
早速このポルシェ911SCの「救出作業」がはじまる
なお、どういった経緯でジョニー・スミスさんが呼ばれたのか、そしてなぜヘレンさんがこのポルシェ911を再び走らせようと思ったのかは明かされていませんが、いずれにせよジョニー・スミスさんはこの911の状態をチェックし、ひとまず納屋から出すことに。
しかしもちろん自走できないので、クルマを「押して」ガレージから出さねばならないのですが、ブレーキが固着していて動かない状態。
よってタイヤとホイールを外し・・・。
ハンマーでブレーキを叩いて固着を外します。
その後は助っ人とともにポルシェ911を押してガレージの外へ。
なんとか出た!
見たところ外装に問題はなく、各パーツも揃っており、比較的状態が優れているようですね。
その後は長年の埃を洗い流し・・・。
ヘレンさんの夫が用意していたオイルや・・・。
スパークプラグを取り付け、新しいバッテリーに接続して始動を試みますが、スターターは回っているものの点火がなされず、どうやら燃料が供給されていないもよう。
そこで燃料パイプをバイパスしてエンジンにガソリンを送り込むと見事にスタート(さすがポルシェ、頑丈である)!
それでもエンジンがかかるものの回転数を維持できず(アイドリングしない)、しかしさほど手間を掛けなくてもすぐに路上を走行できるようになるかもしれませんね。
ちなみにポルシェは昔から「整備にオーナーの手をわずらわせない」ことを設計思想の中に盛り込んでおり、もともとタフで故障しにくく、かつ整備性の高いクルマです。
一方で都市伝説的に「ポルシェは壊れる」という人もいますが、ぼく自身がポルシェを5台所有していた経験からいえば「まず壊れない」スポーツカーであり、自走できないようなトラブルに見舞われることもないクルマ。
それはポルシェが今までに生産したクルマのおよそ70%が今も現役で走っているという事実も証明していて、その観点からも、今回のポルシェ911がすぐにもとどおりの調子に復活するであろうと信じています。
長年納屋に保管されていた、亡き夫のポルシェ911を再び始動させる動画はこちら
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